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2012年12月09日

【共同体社会の原点(集団)を追究する】第15回~『集団を構成する本能・共認図解』最終回~

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早いもので、今年の1月8日にスタートした
【共同体社会の原点(集団)を追究する】シリーズも15回目を迎え、今回で最終回となります。
7回目に、それまでの“中間まとめ”として
原核単細胞生物⇒多細胞生物⇒魚類⇒両生類、爬虫類、鳥類への進化をみてきました。
そして、その後、哺乳類を探索しました。

外圧に適応する為に集団を形成してきた生物は、真猿になると大きな転換期を迎えます。それまで“本能”によって集団が形成されていたものが、共感⇒“共認”機能を獲得したことによって共認によって集団が形成されていきます。そして、それは、私たち人類に受け継がれています。
前回の 『集団を構成する本能図解』 に新たな機能が塗り重なっていく
『集団を構成する本能・共認図解』を作成しました。
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『集団を構成する本能・共認図解』
まずは、前回の
中間まとめを、ダイジェスト版で見て行きましょう。
●原核単細胞生物の誕生
最初の生命体は、単体では外部環境に全く適応できず、そもそも生物としては存在し得なかったものと考えられます。現存する単細胞生物も群れで生存しており、単体で生き続けている生物はいません。
危機逃避」や「代謝」や「種の保存」といった始原生物の適応機能は、群れる(=集団を形成する)ことで初めて獲得できたと言えそうです。
●多細胞生物への進化
多細胞生物とは、単細胞生物の集合体と言い換えてもよいでしょう。それぞれの細胞同士がより密な関係を形成することで、一個体には無い多様な機能を生み出すことを実現しました。これら多細胞生物が外部環境に一気に適応放散したことにより、生物に働く外圧として、それまでの自然外圧に加えて、新たに「種間闘争圧力」が初めて登場します。
種間闘争圧力という新たな外圧に適応するためには、闘争機能を急速に進化させる必要がありました。そこで獲得したのが「闘争」と「生殖」の機能分化(=性分化の実現です。これにより、闘争機能、生殖機能共にさらなる進化を促進することが可能になったのです。
●魚類への進化
群れ全体の一糸乱れぬ俊敏な動きは非常に高度な機能ですが、これも群れ=集団を前提にすれば、群れ全体で外部環境に適応するために、追従本能に導かれた群れの行動が、群れを形成する個体の運動機能を発達させ、進化を促進することに繋がっていると考えられます。
●両生類、爬虫類、鳥類への進化
海中から陸上で生きる道を選択した生物は、乾燥や寒冷、重力といった、水中とは全く異なる自然外圧に晒されることになります。それまでの海中のように卵を大量に産み落とすだけでは幼生が生き残れなくなった種は、卵から孵化した幼生が陸上の環境で生きていけるまで見守るという保育機能【保育本能】を確立していったと考えられます。
ここからは、以降の続き、8回~14回目
●哺乳類への進化
気温の低下と乾燥化は、元々温暖な地域で生息していた単弓類とって卵を産み難くなる状況となりました。その為、単弓類は内温化(体温調整機能)を獲得し、寒冷な状況下でも卵を昼夜温め続ける事が出来るよう進化しました。さらに体温を保温するために体毛獲得をします。一方で、哺乳類は小型化で適応する戦略をとりました。昼間は恐竜に見つからない石の下や木の落葉の中に隠れ、恐竜が寝静まった夜に活動しました。そのような厳しい気候や脅威となる外敵の存在がいる中で、哺乳類の祖先は夜行の密漁捕食となり土中生活を送っていた弱者だったのです。
寒冷化への対応として卵生そして卵胎生を経て胎児の出生確率をより高める胎盤(胎児への栄養補給)を獲得しました。
土中という暗闇の中で、授乳を通じ、匂いによる母子認識を発達させ、嗅覚聴覚を発達させました。  
胎内保育は、授乳を通じ母子間の親和、充足回路を発達させました。そして、母子関係におけるホルモンや親和物質は、その後のヒトへの脳の発達を促しました。
第8回目『始原哺乳類の獲得機能8始原哺乳類での獲得機能』 
第10回目『匂い、フェロモン~嗅覚機能と母子関係』 
第11回目『哺乳類の集団の原型は母子関係』 
その後、進化過程の中で人類と枝分かれした、草食・肉食哺乳類をみても、
草食・肉食共通して、集団は母子関係=母系で貫かれています。オスはある程度成長すると、母子関係を中心とした家族的集団を出て、その外側で暮らすようになります。また、必ず、集団=種を存続させるための「生殖集団=母子関係=母系」が常に中心にあります。
哺乳類における(集団防衛本能とでも云うべき)庇護本能の原点は、あくまでも生殖(を包摂した集団)を守るという集団原理に貫かれています。それは、雄が闘争役割を担い、雌が生殖役割を担うという内雌外雄の役割分化を進めたことで実現しました。
第9回目『母子関係と弱オス集団』 
第12回目『雌雄の役割分化による集団適応』 
●原猿への進化
人類に直線上に繋がる祖先であるサルは、“樹上”という新たなニッチを手に入れて適応進化しました。外敵がほとんどいない樹上には食糧も豊富にあり、原猿は一気に繁殖して森林はたちまち飽和状態になりました。
サルは、それまでの集団本能を基にした生物集団とは異なり、本能ではなく新たな機能(共感⇒共認機能)を生み出して新しい集団形態を実現して行きます。
原モグラは追従本能を封鎖して性闘争本能を強化して生き延びた哺乳類であるため、生殖期間中の雌雄を除き基本的に同類は縄張り争い上の敵です。本能が混濁した極限的な不全状態において、何とかその苦痛から脱したいという根源的な欠乏からあらゆる可能性を探索します。
まずは性闘争を互いに抑止し、封鎖されていた追従本能を解除します。そして唯一の可能性であった母子関係を元にした親和本能(哺乳による子育て期間中の母子関係には安心・充足の親和本能が働く)に全的に収束・強化し、過去(乳児期)の安心・充足の体験記憶をたよりに、敵同士だった相手との同一視(共感)を初めて可能に(共感機能を獲得)したと考えられます。この機能の獲得により、相手と互いに依存し合うことで初めて苦痛を和らげることに成功したと考えられます。
恒常的に飢えの苦痛に苛まれ、いつ襲ってくるか分からない敵=首雄の攻撃に怯えながら暮らすという極限的な性闘争=縄張り闘争圧力の中で、原猿弱者たちは、+回路によって怖れや怯えや危機逃避をマヒさせ=捨象し、仲間+縄張り闘争+へと+共認収束することによって、期待・応望回路を発達させ個間闘争ではなく、闘争集団を形成し、縄張りを確保する事が可能になりました。
オスメス関係
絶え間ない縄張り争いによって負けザルは、恒常的な不全状態になったと同様に、縄張りを持つボスザルも大きな不全感を抱えることになります。またメスもまた、ボスザルに守られているとはいえ不全感が上昇していきます。
負けザルの間で形成された共感機能の遺伝子が、代替わりによってオスにもメスにも遺伝していき、生殖本能共感機能を塗り重ねることで、ボスザルとメスとの間に互いに充足感が生まれました。
このオスメス共感充足回路を元に、お互いの共感充足期待から初めて生殖期間以外のオスメス同居を可能にしたと考えられます。生殖本能に加えてオスメス間に働くこの「引力」の登場は、全く新しいオスメス関係が生まれたことを意味します。
第13回目『本能を超えた共認機能はどのように形成されたか』 
ニ.サル時代の同類闘争と共認機能 参照 
●真猿への進化
原猿時代は、あくまで同類間の個と個との闘いで、真猿時代になると同類間の集団対集団の闘いとなって行きます。
真猿集団では「集団対集団の闘い」が圧力となり、「集団間の闘いにどのように適応するか?」「如何に他集団に勝つか?」が最大の課題になります。そして、共認機能を獲得したことによりこの課題を集団内で共認する事が重要になりました。
原猿弱者たちは、プラス回路によって怖れや怯えや危機逃避をマヒさせ=捨象し、仲間プラス、縄張り闘争プラスへとプラス共感収束することによって、約3000万年かかって遂に闘争集団を形成し、同類闘争(縄張り闘争)を第一義課題とする真猿集団が形成されました。親和収束⇒プラス収束を母胎にして、より上位の闘争系の課題を共認し、その課題共認に基づいて役割を共認し、規範を共認し、縄張りを確保する事が可能な段階に達しました
ポイントとなるのは、集団内の充足です。前の段落で紹介した雄雌充足期待に留まらず、雄同士の毛づくろいを積極的に行っていますが、その母体となっているのは母子のスキンシップが背景にあります。集団内の充足があるからこそ、敵に挑む事ができる。闘争と充足を雄雌の役割として共有できている環境が真猿集団にはあります。
ここで得られるプラス回路の充足感で恐怖感を捨象して闘争へ向かっています。序列原理の中ではボス猿しか雌は獲得できないので、弱雄同士で毛づくろいをします。こうした身の寄せ合い、肌の触れ合いで相手の気持ちを看守できるようになったと考えられます。同様にグルーミングも集団内の充足を育む一つの行為と言えるでしょう。
オスメス関係  
真猿集団は、同類闘争(縄張り闘争)を第一義課題として共認しています。ところが、本能に基づく外敵闘争ではなく闘争共認に基づく同類闘争になると、体格が劣るメスは全く戦力にならない存在となり、存在理由を失って終います。その結果、メスは極度に依存性を強め、首雄に強く依存収束する(強固な依存収束回路を形成する)ことになります。他方、同類闘争(縄張り闘争)を闘うオスたちの不全感→揚棄欠乏は大きく、とりわけ性闘争・序列闘争の覇者たる首雄の雌雄充足期待(その中心が性的期待)は極めて大きいものがあります。
そこで、依存収束したメスたちは、首雄の強い雌雄充足期待(その中心を成す性的期待)に応合すべく、自らの全存在理由をかけて性機能(挑発機能発情機能)を発達させて行きました
第14回目『共認による統合を実現した真猿集団』 
ニ.サル時代の同類闘争と共認機能 参照 
●始原人類
足の指が先祖返りして、それ以前の獣たちと同様、足で枝を掴むことが出来なくなった人類は、樹上に棲めるという本能上の武器を失った結果、想像を絶するような過酷な自然圧力・外敵圧力に直面しました。
本能上の武器を失った人類は、残された共認機能を唯一の武器として、自然圧力・外敵圧力に対応し、共認機能(≒知能)を更に著しく発達させました。
人類は直面する過酷な現実対象=自然を凝視し続ける中で、元来は同類を対象とする共認機能自然に対して作動させ、自然との期待・応望=共認を試みました。そして遂に、感覚に映る自然(ex. 一本一本の木)の奥に、応望すべき相手=期待に応えてくれる相手=精霊を措定する(=見る)。人類が万物の背後に見たこの精霊こそ、人類最初の観念であり、人類固有の観念機能の原点です。直面する現実対象(例えば自然)の背後に精霊を見るのも、物理法則を見るのも、基本的には全く同じ認識回路であり、従って精霊信仰こそ科学認識=事実認識(何なら、事実信仰と呼んでも良い)の原点なのです。
人類は、生存課題の全てを本能共認観念(精霊信仰)へと先端収束させる事によって、観念機能(→二〇〇万年前の言語機能を含む)を発達させ、その事実認識の蓄積によって生存様式(生産様式)を進化させていきました。そして遂に1万年前、弓矢の発明によって外敵と対等以上に闘える段階にまで生存力(生産力を含む)を高めて、過酷な生存圧力を動物一般レベル以下にまで克服しました。
ヘ.人類:極限時代の観念機能 参照 
●まとめ
ここで、第1回目に振り返ってみてみましょう。【集団論:共同体社会の原点となる「集団」を追求する】~プロローグ 
の『集団論の要点』より
◆生物が雌雄分化したのも、集団を形成したのも、全ては外圧に適応するためである
◆雌雄の結びつきにより集団が形成され、その核は雌雄の性引力である
◆集団には闘争集団と生殖集団とがあり、生殖(集団)のための闘争(集団)という関係が形成される

改めて、振り返ってみても、上記のことが言えます。
生命の誕生から一貫して、常に外圧に対して“集団を形成”し適応して来た永い歴史があり、それは、これからも変わらない。
今後の「集団」のあり方を考える上で、上記3つの内容は、重要かつ今後益々、“男女の役割”と“充足”が問われることになる。
女を中心とした生殖集団は、男を中心とする闘争集団があって(に守られることによって)はじめて集団が成り立ち、逆に、分断された集団は適応不全を起こすであろう。
意識潮流(潜在思念)上のみんなの期待である“共認(共に認め、解り合える)充足”は、男女、そして集団を通じてより深まっていく。

今回のシリーズの幕を閉じたいと思います。永い間、ご愛読ありがとうございました。

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