2008年12月08日

初期人類は骨を食べていた!vol.12(直立二足歩行に関する仮説紹介-1)

vol.9(ヒトとサルの足の構造)で予告して以来、のびのびになっていた、直立二足歩行の謎 m052 における様々な学説を、島泰三著『親指はなぜ太いのか』より3回に分けて紹介させていただこう思います。

今だ人類が何故二足直立歩行になったのか m052 謎の部分があります。島泰三さんは「口と手連合仮説」によって、vol.7で紹介したような推測をしておられますが、それまでも様々な学者がこの難問に挑んでいます。

今日は、これまでの学者の見解を紹介したいと思います。

左の写真は、【ラエトリの足跡】といわれるもので、370万年前にアウストラロピテクス・アファレンシスが直立二足歩行していたまぎれもない証拠として見つかった足跡 m075 です。

ではでは、下のぽちっとして、500万年の旅に出発してください。
いってらっしゃいませ。 m071 m071 m071 m113 m071 m071 m071 m113
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■P・E・ホイーラー「体温調整仮説」

みなさん風邪で熱が出たことありますよね、熱が40度 Embarassed を超えたとなると大変な事態ですよね。ご存知のように人類の大脳は温度が4度上昇 m032 しただけで、致命的な障害 m181 を受けてしまいます。イギリスの生理学者ホイーラーは、人類の直立を大脳冷却の為と仮説を立てました。

多くの哺乳類は大脳の温度上昇を防ぐ為に、鼻孔の静脈の網の目を使っています。まず長い鼻づらの中の鼻腔で水分を蒸発させて熱を逃がし、そこに広がっている静脈の温度を下げます。脳に行く動脈は鼻腔の奥でこの冷やされた静脈の網の目を通り過ぎるので、そのとき熱を交換して動脈の血液の温度を下げる仕組みをとっています。

しかし、人間を含め霊長類には、この静脈の網の目がありません。この冷却装置を持たない人類が炎天下 m005 にさえぎるものがないサバンナにでなくてはならないとしたら、大脳の温度上昇 Embarassed をどうやって防ぐかが問題になります。

そこでホイーラーは、地上2mと地表面では温度差があることに着目し、風が吹けば対流により冷却もあるので、温度は地表面から離れるほど低くなることから、立ち上がるほうが熱調整のうえで有利だと考えたのです。

しかし、日光 m005 を避けるという問題だけなら、他の動物たちはもっとましな方法を取っているし、日陰のない草原というものは想像の世界にしかない話 m003 で、それを認めたとしてもなお、太陽があがりきったときしか有効でない姿勢をわざわざ選ぶ生き物がいるでしょうか m050

しかも、四足で地表面から50cmと考えると、二足で立ち上がって125cm(ホイーラーが仮定する動物の頭の位置)の差では風速や気温に差は、ほとんどありません m049

しかし、ホイーラーの論文では地表面と地上2mの比較に終始していたようです。
現在では、結局直立姿勢と脳の冷却にはなんの関係もなかったとみられているようです。

■レイモンド・ダート「武器使用仮説」

狩猟・肉食仮説の提唱者レイモンド・ダートは、同時に骨歯角文化を提唱した武器使用による直立二足歩行論者です。ダートは南アフリカ、マカパンスガットの洞窟で発掘した骨をアウストラロピテクスが武器に使ったと信じ、それができたからには、直立二足歩行 m071 もできたと結論付けました。

しかし、これはアウストラロピテクスが他の動物の角や骨や歯を武器としてそのように使ったとしたら、という仮定のもとで成り立つ話しです。
彼の原論文の具体的なデータからは矛盾が見えるだけで、アウストラロピテクスが恒常的に武器を使った形跡は見えないようです m109

■ロジャー・ウェスコット「威嚇仮説」

人類学の解説書には、いつも直立姿勢の威嚇の効用という話しが載っています。ウェスコットはその元祖とも言える学者です。
木の上ではテナガザルが、地上ではゴリラがそれぞれ脅しの姿勢として立ち上がる。
そして、クマから人類まで、哺乳類では多くの種が立ち上がった姿勢をとって相手を脅す。「敵対する意思表示だけが人類の立ち上がった原因ではなく、道具を運んだり、獲物を移動させたりすることも四足 m081 を放棄する要因ではあっただろうが、それでも私は威嚇姿勢 Twisted Evil が重要だと言いたい。」と、ウェスコットは唱えました m049

しかし、この説に対してクリフォード・ジョリーが適切に批判しています。
「ウェスコットの仮説では、二足で立って威嚇するゴリラが二足歩行にならなかったわけを説明できないし、また最初の威嚇姿勢と次の威嚇姿勢の間も立っていなければならない理由も、あきらかでない。いくらサバンナの生活が危険に満ちているとしても、年がら年中威嚇しどおしの生活を考えるのは不自然である。」と。

サバンナの捕食者は、体重200kgにもなる強力なライオンに対して、威嚇しようと立ち上がるのはただの無謀であり、「ごちそうさま m027 Twisted Evil 」とライオンに言われるのが関の山ですよね m252

ウェスコットはサバンナでライオンに会ったことがあるのだろうか m050 ・・・ m003

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様々な学者が、ユニークな着眼点によって仮説を立てていますが、自論を正当化するために必要な根拠で構成されている感が拭いきれません。この後も様々な学者が、仮説を立てています。引き続きもう少し紹介しようと思います m049

・・・つづく

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comments

むむむっ。色んな説があったんですね。考えてたくさんアイデアを出してみるのはいいけれど、その説に反する事実や説明できない事実がでてきたときにそれを組み入れないと、トンデモな仮説になっちゃうんですね。。

  • まりも☆
  • 2008年12月13日 17:29

>まりも☆さん
コメントどうもです。私もまりもさんの意見に同感です。
何故、学者は一度世に出した自説に拘ってしまうのでしょうね!

つづきを、初期人類は骨を食べていた!vol.13(直立二足歩行に関する仮説紹介-2)という形で、アップしました。

こちらも、なかなか面白いですよ。

  • yidaki
  • 2008年12月13日 21:52
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