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2009年01月29日

中山太郎の「日本婚姻史」から~共同婚~☆4☆つと入りと薮入りは性的解放の名残

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こんにちは。早いもので、もう平成二十一年の十二分の一が終わろうとしています 一月はいく、二月は逃げる、三月は去る…とは、うまく言ったものですね。
さて、またまた昔の驚きの日本の婚姻をご紹介しますので、忙しさをしばし忘れて、昔の人になったつもりでお読みください。
続きの前に、今日もカチカチッ とお願いします。

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今回は、第四節:高媒の俗信に由る共同婚の痕跡からご紹介します
(※高媒とは、媒酌・仲立ちという意味のようです。)
前回の投稿にもありましたが、西洋から一対婚が輸入されるまでは、村落共同体では、性は個人が独占するべきものではなく、みんなの共有するのが当然と考えられていました。それを前提に、この節は書かれています。以下、要約しながらの引用です。

 部落の共有物である女性が一人の男子に独占されるについては、女子にも男子にも部落から相当の義務を負担させられるのが当然の帰結である。この義務は女子は幾人かの男子に許すことであり、男子には部落からの制裁があった。前者は「性的に解放」される行事となって残り、後者は「むこいじめ」の土俗となって存している。
性的解放には、1)時間的にある限られた日時において行なわれる、2)空間的に神の名によってある限られた場所において行なわれる、の2種類がある。
★つと入りと薮入りは性的解放の名残
第一に、今(※引用者注:昭和の初め)でも、子供の遊戯として各地に残っている、『今日は二十五日、お尻の用心御用心』と歌いながら尻をまくるのは、かつてこの日に限り性的に解放されたことがあるのを伝えたものである。さらに昔は、諸国に『つと入り』ということが行われた。この日だけは、無断で他人の家に闖入して、家宝やその他何でも見ることを許されていた。
近古には伊勢の山田にのみ残っていたので、『山田のつと入り』として俳諧の季題にまでなっていた。見る目的が、『妻、娘、妾』など、女性に重きを置いた点からも、この『つと入り』がこの日に限って性的に解放された日であったことは、南方熊楠氏が私に語ったところでもある。
これとは少し趣を異にするが、甲斐の国では、武田信玄の遺法といって国内に遊女を禁じ、その代償として端午から八朔(八月一日)まで、領民が戸締りをして寝ることを許さず、専ら男女の交会に自由と便宜を与えた。もし戸締りして若者の出入りを拒むときは、それを打ち破っても罪とはならなかった。八朔から重陽(九月九日)までは、『もらい』と称してこの土俗を続けた。これも類例として挙げられる。

「お尻の用心」って。。 色んな行事が例としてあがっていますが、決められた期間に限って、かなりオープンな性的関係が営まれるところが共通点ですね。もともとみんなのものであった「性」を男が独占できるという規範ができあがり、その代わりにある一定の期間はもとのようにみなで「性]を共有する規範ができたというのが筆者の考え方です。性が、共有するもの=集団みんなの充足源であったことは、疑いの余地はありませんね。
引き続き次の事例をご紹介します。

 合わせて考えるべきは、正月七日の各十六日に行われる『薮入り』の土俗である。
豊後国の村落では、春秋二季の氏神祭の夜に、祭礼が済むと男女が携えて本能の命じるままに親しむが、これを『やぶ入り』と称し、この夜だけは総てが許されるということである。この一例しか承知していないが、『薮入り』なるものが、山田のつと入りと同じように、古くは性的に解放される日であったと考えられてならない。
第二に、高媒とは、神の名によって配偶者を選定する義であって、支那の周代において、玄鳥の来る日を以て天子が自ら神を郊外に祭り、国民の配偶者を定めたのと同じ信仰に属するもので、『佐草めの刀自』とは、この行事を司っていた巫女の後裔である。この配偶者選定法の源流が共同婚制にあることは明確である。
神の名によって配偶者を選定するが如き土俗は、決して突如として古代人の間に発生したものではなく、その以前に行われた共同婚制が漸く崩壊した時代に工夫された方法であって、その基調には在りし昔の共同婚の思想が力強く働いているのである。当事者の意志を全く没却してひたすらに神の命ずるままに配偶者を定めるには、前代において共同婚の制度に馴致されていたからであって、さればこそかく神の名に従順であったのである。次に、こうした高媒の信仰による婚姻の方法を列挙していく。

神の名による配偶者の選定は、共同婚の崩れた後の方法だというのが中山太郎氏の主張です。性を共有することが当然だったからこそ、神に配偶者を定められることにも抵抗がなかった。つまり、個人の「好き嫌い」に基づかない男女関係という意味では、同じということですね☆
事例まで載せるとかなり長くなってしまいますので、それは次の回にお届けしますお楽しみに

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