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2009年02月08日

人類の祖先と進化

ネアンデルタール人、ホモ・エレクトスと、初期人類に関する興味深い投稿が続いています。
そこで、今回は「人類の祖先と進化」に関する脳とDNAによる研究状況を、ニューズウイークインターネット版の要約という形で紹介したいと思います。 リンク【引用、抜粋】

2001年にアフリカのチャドで、チンパンジーではない人類の最も古いと言われる化石が発掘された。もしこれが人類につながるヒトの化石なら、チンパンジーと人間が分離した後(600万年前)に生きていないとならない。しかしこのトウマイ(現地の言葉で子供を意味する。学名はサヘラントロプス・チャデンシス)と名づけられた化石は700万年前に生きていたと判明した。遺伝子解析では、人類とチンパンジーの分離はそれから少なくても100万年後を示しているから、このトウマイは現生人類の直接の祖先ではない事になる。もしトウマイが我々の祖先で無かったら、何故、500万年前の人類の祖先と同じような顔つきと歯並びをしていたのか?「700万年前の原人は最初の人間らしい顔つきを持ち始めた原人なのだろう。でもずっと後に出てくる原人とはかなり違う」とジョージ・ワシントン大学の古人類学のベルナード・ウッド氏は言う。だがトウマイが直接の我々の祖先ではないにしても貴重な発見であった。何故なら、今まで信じられていたようなトウマイがオーストラロピテカスを生み、オーストラロピテカスがホモハビリスを生み、ホモハビリスがホモエレクタスを生み、ホモエレクタスが現生人類のホモサピエンスを生んだという単純系譜概念を破壊したからだ。

即ち、2足歩行、大きな脳の獲得は一度ならず起きていたのだ。進化は行き当たりバッタリに進み、色々な形状を持った原人が現れてその多くが死に絶え、次ぎに現れた新種の原人が、前にあった形状を再度復元し進化発展させている。「同じ進化の形態が一度ならず起きて消えていった。だから進化した化石を発見したからと言ってそれが現生人類につながるとは断定出来ない。人類の歴史では色々枝分かれした亜人種がそのまま消えているのです」とウッド氏は言う。

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一体どんな変化が現生人類への進化を導いたのであろうか。ここからは遺伝子と脳が登場する。昨年HAR1 (for human accelerated region)と呼ばれる遺伝子が発見された。「この遺伝子は鳥、チンパンジー、人間を含む全ての動物に存在するが、3億1千万年前(鳥とチンパンジーが分かれた年代)から500万年前までの物凄く長い期間に、僅か118化学文字中2化学文字しか変化していない。それに比べて、チンパンジーと人が分かれた僅か600万年の間に18化学文字が変化している」とカリフォルニア大学のキャサリン・ポラード等が報告している。このような急速な遺伝子の変化は、その遺伝子を持つ動物の進化が有利に進んでいる証明であり、それはオーストラロピテカスから始まっている。脳は臓器の中でも一番遺伝子的優位性を生かしたであろう。

HAR1遺伝子は脳が活発に成長する妊娠から7~8週間でその活動のピークを迎える。この遺伝子は脳皮質の6層を形成する神経細胞の中に特に多く見出される。HAR1遺伝子は皮質の構造、配置を決定する重要な役割をするのであろうとポラードは言う。HAR1遺伝子は我々の祖先が複雑な脳皮質のシワを発達させるのに有利に働いたと思われる。

遺伝子の変化は脳の構造を変化させたばかりでなく、脳内の化学物質も変化させた。2005年、デューク大学のマシュー・ロックマン等は、PDYNと呼ばれる遺伝子が我々の直接の祖先が現れた700万年頃から変化始めているのに注目した。この遺伝子はプロディノルフィンと呼ばれる分子の生産をコントロールしていて、プロディノルフィンは脳の中で多岐にわたる神経化学物質を作り出す役割をしている。「遺伝子こそが、何が原人に現在の脳を獲得させて言葉を可能にさせたかを語る」とアメリカ博物館の副館長であるロブ・デサレー氏は言う。確かに脳を発達させ、一気に現代人類を導いたのはこのプロディノルフィンの奇跡だけではないであろう。カリフォルニア大学の神経遺伝子学のダニエル・ゲシュウィンド等は、チンパンジーや人の高度の思考をつかさどる脳の皮質を調べて、どの遺伝子が活性化しているか調べている。人で活性化している遺伝子は、電気シグナルを早く伝達する役割をしているもの、神経細胞間の連結を強化する役割をしているものであった。何れも学習と記憶、脳の成長に関係するものであり、このような遺伝子がルーシーがサバンナに出現した頃から活発になっている。

ルーシーであるアファレンシス原人の女性、男性は立ち上がると1mから1m50cm位の身長で、体重は30kgから50kgであった。彼等の歯は果物や木の実を食べるのに適した小さな歯であり、肉を食べるには適していなかった(当時棲息していた動物は熊ほどの大きさのハイエナ、ライオン、大型の爬虫類、猛禽類であり、菜食以外にはあり得ない)。初期の人類は狩をすると言うより、獰猛な動物の餌食になっていたと考えられると、ワシントン大学人類学のロバート・サッスマンは言う。化石頭蓋骨を見るとライオン等に傷つけられた穴や猛禽類のかぎ爪の跡が見られるから明らかだ。

人類の祖先は狩をする側では無く捕食される側にあったという事実は、伝統的な種の繁栄理論を根底から覆した。過去何十年もの間、人間の進化を導いていたのは狩をする能力と競争相手を打ち負かす力だと考えられていた(批評家によれば、20世紀の男性優位の人類学の現場により育成された理論と言う)。捕食される側は生存する為に気転と社会性を選ばざるを得ない。弱い者は互いに助け合い、共同体の中に住んだ方が安全であり、進化はこの方向に進んだ。これが我々が先祖から受け継いだ遺産である。

遺伝子学、古神経学双方ともにこの進化を支持している。オキシトシンというホルモンがあるが、女性の陣痛と乳分泌に関連し、男性・女性とも脳の中でも働いている。ラブホルモンとも呼ばれて人同士の信頼感を醸成し、グループを共同の目的の為に邁進させる。チンパンジーと人間のゲノムを比較して、専門家はオキシトシンは両方の先祖に存在していたと推定する。しかしその後、脳がそのホルモンにどの程度敏感に反応するか、あるいはどれほどの量のオキシトシンを生産するかで変化した。この研究は未だ結論が出ていないが、多分人間の夫婦単位の生活が確立した170万年前頃にこの変化が起きたのでは無いかと推定している。助け合う人間同士の強い絆が脳の構造に影響を及ぼした。

捕食される側であった人類は、唯一、脳機能の進化に可能性をかけるしかなかったようです。
次回は、脳構造の変化に焦点を当てます。

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comments

 自然外圧が、婚姻制や集団性にどのような影響を与えてきたかが解るとなかなか面白くなってくると思います。
是非、その観点で続編をお願いします。

  • The Ginyu Force
  • 2009年5月7日 23:17

■【主張】温室ガス中期目標 実現可能な数値にしたい―地球温暖化二酸化炭素説がいつまでも主要な学説であり続けることはあり得ない!!
こんにちは。私は、地球温暖化二酸化炭素説ならびに、地球温暖化災厄説は間違いだと思っています。そうして、日本の温室ガス削減目標は、最も低い4%に設定すべきと考えます。なぜなら、日本の省エネ技術はすでに10年くらい前から実質上世界一であり、産業構造など考えると、世界で最もco2削減に貢献しているからです。さらに、地球温暖化二酸化炭素説がいつまでも、主要な学説であり続けることはあり得ないからです。事実、昨年あたりから太陽の黒点活動が停滞しており、この影響で地球寒冷化に向かう可能性もあります。詳細は、是非私のブログをご覧なってください。

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