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2009年02月07日

初期人類:出生時から大きいホモ・エレクトスの脳が教えてくれること

るいネット

原人の中で最も広がったのは、最後期の原人であるホモ・エレクトスである。先述したグルジアから、ジャワ、中国まで化石が確認されており、ホモ・エレクトスはユーラシアを完全に横断したことになる。
ホモ・エレクトスは、脳容量900ccと一気に発達し、前頭葉も著しく発達している。また、発声上重要な喉仏の形状変化、小脳の発達、胸骨の発達も起こっており、多様な言語を使いこなしていたことが解る。
石器も高度なハンドアックスを使用しており、最初に火(自然火)を利用したのも、ホモ・エレクトスである。

原人の中でも、最も各地に拡散したと考えられるホモ・エレクトスについて興味深い記事を見つけたので紹介します。
詳しくは続きをどうぞ・・・・・・

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National Geographic Newsより
出生時から大きいホモ・エレクトスの脳

ヒトの祖先であるホモ・エレクトスの骨盤の化石から、従来の想定以上に大きな脳を持つ子どもが生まれていた可能性があることが分かった。2001年エチオピアでほぼ完全な形で見つかっていた120万年前の女性の骨盤を調べた結果、明らかになったという。
これまで、ヒトやヒト族(ホミニン)の祖先が脳容積の大きな子どもを産んでいた証拠としては、40万年前のものが最古と考えられていた。また、以前の復元による調査は今回よりも完全度の低い化石に基づいており、そこからホモ・エレクトスの女性の腰の幅は狭く、その分だけ生まれる子どもの脳も小さいとみられていた。
しかし今回、新たに大きく幅の広い骨盤が確認されたことで、ホモ・エレクトスの子どもの頭蓋骨は想像されていたサイズに比べ30%大きかった可能性が示された。「つまり、ホモ・エレクトスはこれまで考えられていたより発達の進んだ状態で生まれてきていたようだ」と、研究を率いたアメリカ、オハイオ州にあるケース・ウェスタン・リザーブ大学のスコット・シンプソン氏は語る。
同氏によると、ホモ・エレクトスの乳児は現生人類に比べて成長が速く、乳離れの時期も早かったのではないかと推測されるという。現生人類が誕生したときの脳容積は成人の約4分の1にすぎないが、今回の調査からは、ホモ・エレクトスの脳容積が乳児の段階で既に成人の30~50%に達していたことが示唆された。平均的な成人の脳容積は、ホモ・エレクトスが1000cc程度、現代人は1400cc程度とされる。

調査対象となったホモ・エレクトスの化石は、20代前半で死亡した女性のもので、身長135センチ程度だったと推定されている
従来の研究では、ホモ・エレクトスの成人は熱帯地方での生活あるいは長時間走ることに適応した結果、長身でスレンダーな体型になったと考えられていた。
ハーバード大学の人類学者ダン・リーバーマン氏はこの研究を評価しつつも、「疑問もたくさんわいてくる」と話す。例えば、ホモ・エレクトスは性別により体格に差があったのではないかと指摘されていた種だが、今回調査された化石に基づくと、その差は非常に顕著で、男性が女性に比べかなり大きかったことになる。
「この骨盤がホモ・エレクトスの女性のものだというなら、男性は非常に高身長で細身、女性は非常に低身長でどっしりした体型というように、従来の想定以上の性差を考えなくてはならないが、どうも納得しかねる」と同氏は言う。
暑いアフリカでは長身でスリムな体型の方が熱を逃がしやすいため、背が低く横幅の広かったホモ・エレクトスの女性がどうやって熱を発散していたのかという疑問が出てくるのだ。「多くの骨格的特徴から、ホモ・エレクトスは東アフリカの真昼の太陽が照りつける中で活発に動いていたことが分かっている。男性だけが暑さに強く、女性は適応していなかったということがあり得るだろうか」と同氏は首をひねっている。


写真上部は、320万年前のルーシーと呼ばれる成人女性の骨盤(左)と、今回調査された骨盤(中央)、現代女性の骨盤(右)を比較したもの。
記事を要約すると、
ホモ・エレクトスの乳児の脳は従来の想定よりも大きく、その容積比率は現生人類の乳児と比べて大きい事がわかった。
⇒乳児は現生人類と比べて成長が早く、乳離れの時期も早かったのでは?
ホモ・エレクトスの女性は、低身長でどっしりした体型。
⇒体格差は、非常に顕著で男性が女性に比べてかなり大きい。
⇒暑いアフリカでは長身でスリムな体型の方が熱を逃しやすいが、低身長でどっしりした体型のホモ・エレクトスの女性は不利。どうやって適応したのか?
というところでしょうか。
世界各地に拡散した、ホモ・エレクトスは既に観念原回路を獲得していたとかんがえられますが、乳児の脳容積が当初考えられていたより大きかったという事実の発見は、これと無関係ではないでしょう。
以下は仮説です。
どっしりとした体格であることは、既に外圧適応のために観念回路を発達させる必要があり、そのために脳の大きな子供を生む必要から、所謂安産型のどっしりした体形の方が有利であったためではないか?
メスの体格による熱の発散(不適応)についても、それだけ熱の発散には不利な体形であっても脳の大きな子供を生む事(観念回路を発達させる事)の方が、集団としてより適応的であったのではないか?
またこれらの結果、メスがオスへの依存収束を高め、より生殖存在への比重を高めていった過程と考えれば、オスの庇護の元で比較的日射の少ない場所に落ち着くことで体格による熱発散の不利も解消できたと考えられないか?

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