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2010年06月24日

「本格追求シリーズ3 共同体社会に学ぶ子育て」1.現代社会の子育て問題の実態

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ついこの前まで日本では、「放っておいても子は育つ」と言われていました。
「子育て」という言葉さえ無かった時代、子は、大人達に守られ、地域共同体・村落共同体の中で、自然に成長していくものでした。
母親も子供のことで不安や分からないことがあれば、まわりには大先輩のおばちゃん達がいて、相談する前に察知して手を差し伸べてくれました。
子は、お腹がすいていれば、近所のおばちゃんにお菓子をもらったり、畑のトマトや柿を盗んだり、悪いことをすれば恐いおじさんに怒られ、自然に規範も身について成長していく環境がありました。
しかし、戦後市場社会の浸透と核家族化により、この子育て環境は次第に解体され、母親は子育ての不安を一人で抱え、頼るものは夫のみ。
家庭は密室化し、虐待も年々増加しています。また、母親の囲い込みによる子供の精神的な不安は増大し、精神疾患やアトピーの子が増え続けています。
この状況の中で、男女関係は、一対婚家庭への可能性を見いだせず、晩婚化・未婚が年々増加し、少子化が続いています。

この状況に対して、現在の国の方針は、市場社会の中で生きるために金(こども手当)を出すことと、厚生労働省→地方自治体による子育て支援施設の設置を打ち出しています。
しかし、これで問題は本当に解決するのでしょうか?そもそも問題の実態はどうなっているのでしょうか?
「本格追求シリーズ3 共同体社会に学ぶ子育て」プロローグに引き続き、現代社会の子育て問題の実態を調べてみました。
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●少子化ってどうなってる?
まずは、少子化について見ていきます。(各グラフはクリックで拡大します。)

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資料:「人口動態統計」厚生労働省より

2006年値で出生率(合計特殊出生率)は、1.32。以降この数値は、多少上向き2009年値では、1.37になっています。
(出生率:一人の女性が一生に産む子供の数を統計的に示した数値です。)
1年間に生まれる子供の数は、1970年代前半では約200万人。それが2006年で110万人弱と半減するスピードです。また、人口を維持するための出生率は2.07ぐらいですが、1.37では人口減少・高齢化は避けられない状況です。
この出生率を先進国の中で比較したグラフがありましたので紹介します。
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資料:社会実情データ図録

・韓国      :1.15
・日本・イタリア:1.37
・スウェーデン :1.88
・英国      :1.9
・フランス    :1.99
・米国      :2.09
先進国の中でも結構差があるのが分かります。欧米は結構高い数値を示しています。
またグラフより、ここ数年フランス・英国・スウェーデン等が伸びているのが分かります。この原因は、社会的な婚姻形態の変化があるようです。具体的には「婚外子」が社会的に認められ、子供が増えているのです。これが、厳格なカトリックのイタリア、韓国・日本との差として表れています。
なんとスウェーデンでは、全体出生数の55.4%を、未婚の母など結婚していない母親から生まれる婚外子が占めている状態です。下記グラフ参照。
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資料:世界各国の婚外子割合

実は、一対婚は、既に世界的に崩れ始め、新しい可能性に向かって動き始めているのです。
(一方欧米では、この制度の支援に多額の税金がつぎ込まれていることも押さえておく必要があります。)
●晩婚化が進んでいる
一対婚制度の中で晩婚化が進んでいるのは、みなさんの実感通りです。
ここ最近、草食男子も増加、女性を中心とした婚活等、いろいろ話題になっていますね。
では、具体的に数値で見てみましょう。
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資料:「人口動態統計」厚生労働省

晩婚化も1970年代前半以降、一貫して上昇しています。 この動きは少子化の流れと一致します。一対婚の婚姻制度に可能性を見いだせず、晩婚化が進み少子化に至っていることが分かります。
では、一対婚家庭を作り、子育てを始めた人達はその後どうなっているのでしょうか?引き続き「子育て不安」「児童虐待」「アトピー性皮膚炎の増加」について見ていきます。
●子育て不安の変化
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資料:子育ての悩みや気がかり Benesse 教育研究開発センターより

この調査では、食の安全性と犯罪・事故を中心に分析されています。それ以外の悩みについても見ていくと、「ほめ方、しかり方」「ひつけのしかた」「子供との遊び方」等が増加し、全体的に「子供にどう接したらいいか?わからない?」と、母親が一人で苦しんでいる様子が見て取れます。
●児童虐待の増加
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資料:児童相談所の虐待統計は政府統計・社会福祉行政業務報告(子供の虹情報研修ンセンター)

児童虐待事件は、最近ニュースでも増えていますが、上記の相談件数だけでも毎年異常なスピードで増えています。一方で児童虐待については、マスコミの大騒ぎが、子供との接し方に「とまどい」を生じさせていると言う問題もありそうです。この点については引き続き後日追求していきます。
●アレルギー・アトピーの子供の増加
アトピー性皮膚炎は、平成17年の厚生労働省調査では、全国で38万4千人です。
参照:主要な傷病の総患者数
年齢別でみると、乳児の15~20%、学童の6~10%、青年の2~4%に患者がいるとされています。アトピー性皮膚炎は、戦前から症状として確認はされていましたが、ごく一部の発症事例しかなかく、戦後急激に増加しています。
以下の厚生労働省の調査データによれば、92年から02年までの間だけでも2倍に増加していることが分かります。
0歳4ヶ月
1992年  6.6%
↓      ↓
2002年 12.8%
1歳6ヶ月
1992年  5.3%
↓      ↓
2002年  9.6%
東京都福祉保健局の調査では、2009年と1999年を比較すると、「食物アレルギー」と「アレルギー性鼻炎」にかかる3歳児が10年間で2倍に倍増しています。
参照: 小児の「食物アレルギー」10年で2倍 花粉症の増加と関係アリ?
アレルギー・アトピー増加の原因としては、ハウスダスト等アレルゲン物質の増加、食生活の変化、遺伝原因等が言われていますが、人工乳の問題とスキンシップの問題が大きいと考えられます。
以下るいネット参照。
母乳ってすごい!粉ミルクってどうなん?
人工物質(薬)と母乳とスキンシップと免疫機能の関係
アトピー体質
■まとめ
世界カ国の状況を見た場合、現在の一対婚婚姻制度にこだわれば、少子化が進んでいくのは先進国共通の状況であり、ここに何らかの手を打つ段階に来たのだと思います。
しかし、欧米のように個人主義の体制下で、多額の税金をつぎ込み、子育てを金銭的に支援するのが、今後の日本の進む方向なのか??多いに疑問が残ります。
共同体体質が残る日本にとって、もっと人を中心とした、期待・応望関係を生かし国民全体の活力上昇を目標とした解決策があるのではないでしょうか。
子育て不安や児童虐待の増加は、共同体の解体と、核家族化→密室家庭の中で生まれた問題です。これに対して現在、厚生労働省→地方自治体にて「子育て支援施設」の設置が進められています。
参照→ 子育てを支える「家族・地域のきずなを再生する国民運動」 > 都道府県・指定都市の取組・事業
しかし、この方針には、、生産と生活の両方を対象とした「共同体」をどうやって再生していくか?と言う視点が抜けているのではと思います。子育てとは、生産と一体ではないでしょうか。そう考えた場合、地域の施設を拠点とするのではなく、生産機能をもった各企業を中心に考えるのが可能性があるのでははいでしょうか。
アトピーや精神的疾患の増大は、当然食生活変化や環境問題も大きいですが、自然の摂理に則った戦前の子育てスタイル(母乳子育て+スキンシップ)が失われた結果、肉体的疾患(アレルギー・アトピー・ぜんそく)も精神的疾患も増大してると考えられます。そして、これらの問題が更なる子育て不安を生んでいるのではないでしょうか。
今後、更に詳細に調査し、今後の子育てに何が必要なのか?追求していこうと思います。
次回も、お楽しみに・・・・・

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