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2021年10月12日

ヒトは乱交(繁殖戦略)により生殖器を進化させた

今回は婚姻史につながるかまだ未明ですが、ヒトの生殖器の進化について追求してみたいと思います。まずは、類人猿のオスの1回あたりの精子数や睾丸の大きさを比較してみました。

 

 

 

チンパンジーは複雄複雌の集団形態で乱婚(乱交)。精子形成が活発。発情したメスは複数のオスと交尾を重ねるため、精子競争が働き、他のオスより多くの精子を作れるように他の類人猿に比べて極端に睾丸が大きくなっています。またヒト同様、睾丸を外に露出させることで熱を放散させ強い精子を作れるようになっています。

ゴリラは、単雄複雌の集団形態で配偶者が決まっている。1ないし数頭のメスとの交尾は、メスが発情したときしかないため、精子形成は活発ではない。睾丸には、①精子形成、②アンドロゲン生産、③性的アピールがあるが、ゴリラは、躯体を大きくするアンドロゲン分泌に特化しています。

オランウータンは、単独行動が基本であり交尾回数は少ない。特徴的なのはヒト、チンパンジー、ゴリラより先体が大きく明瞭。先体は生体反応に必要な酵素を含んでいるなど、受精の過程で大きな役割をもつ。これは精子の受精効率が高いことを示すとされています。精子形成はヒトにもっとも近い。

 

上記を見ると、性的体格差が大きいゴリラ、オランウータンは、強いボスがメスと交尾するため、精子競争をさせる必要性が少ないことが分かります。一方で性的体格差が小さいチンパンジーは、乱婚でメスの生殖器のなかで他のオスの精子との受精をめぐる争いに勝つ必要性から、多量の精子を生産するように適応しています。

では、ヒトはどうなのでしょうか?

精子の数はチンパンジーの半分以下だが、ゴリラやオラウータンの4~5倍。睾丸の大きさは、体重比でオランウータンと同じ。ヒトはどのような繁殖戦略をとってきたのか、考えていきたいと思います。

 

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人類は樹に登れないカタワのサル、奇跡的に数百万年生き延びて人類につながっています。洞窟に隠れ棲み、共認機能を武器として過酷な外敵闘争に対応。この極限時代はボス集中婚による闘争集団だが、1~2万年前(※)の弓矢の発明とともに洞窟を出たあと、外圧が急激に低下する。それ以降、男の性欠乏上昇により乱交(乱婚)に移っていきます。その時期から精子競争のために生殖器を進化させていったと考えられます。

メスのチンパンジーは、発情すると高頻度交尾を行います。1日に10頭以上のオスと50回以上交尾し、1回の妊娠に対して平均して600回交尾を行います。そのため交尾時間が約7秒と驚くほど短いのです。交尾に親和はなく、徹底的に精子闘争を高めています。外圧の高い父系集団であることが要因と考えられます。一方ヒトはスキンシップによる性充足を高めた母系集団。ヒトがチンパンジーよりも精子数が少ないのは、同じ乱交(乱婚)であっても、父系集団と母系集団の差が影響していると考えられます。

 

共認機能や親和機能が発達したオランウータンに近い種であるのなら、弓矢の発明前に、投石や石器により外圧を低下させ、早い段階で乱交(乱婚)となった可能性が高い。脳容量が飛躍的に大きくなる猿人が700万年前、原人が250万年前には火の使用や言語の形成、道具の製作を行っている。

 

一方、メスも乱交により生殖器を進化させています。「性の進化論」では、メスの子宮は一番先に射精したオスの精子が、受精確率が高いわけではなく、異なる免疫を持つ遺伝的に適合する精子が生きやすい子宮・膣内環境を整えるように進化してきたと紹介されています。

こちらからお借りしました。

スウェーデンの研究においても、卵子が受精する精子を「選り好み」している可能性を発表しています。

また、卵子を透明帯や放射冠で包み、障壁をもうけている。射精された精子がこれを突破するには、長い生殖管の粘液中を泳ぎ、受精能を獲得したのち、数十の精子が卵子に到達し、先体の酵素によってこれらの障壁を溶解していかなければならない。

⇒ヒトは乱交(乱婚)により生殖器を進化させたと考えられます。

 

 

(参考)

性の進化論(クリストファー・ライアン)

霊長類進化の科学(京都大学学術出版会)

オランウータン精巣における精子形成の特徴(霊長類研究Primate Res.26)

 

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