2021年11月05日
哺乳類の集団構造・知能発達の中間まとめ
これまで哺乳類からサル、類人猿を追求し、これから人類史の99%を占める極限時代の人類へと追求を進める前に、いったんここで中間整理します。
そもそも何で哺乳類に遡って追求しているのか。それはこれからの人類の集団のあり方を考えたとき、もっとも確かな答えは生物の適応の歴史にあるからです。子育てを最初の開始した生物、それは哺乳類。原始哺乳類の現モグラ、そこからサル、類人猿を経由して人類へ。この進化の過程でどのように集団が形成され進化してきたのか。
その目的、本質を明らかにすることで、生命原理に則った集団の在り方も見えてくるはずです。
■■哺乳類は母子集団かつ母系集団
原始哺乳類の現モグラは、繁殖期以外はオスメス夫々単体で行動しています。そして、繁殖期になると、オス同士はメスとの生殖を巡って激しく闘争(性闘争)します。勝ったオスは概ねメスの3倍くらいの行動圏を持ち、3匹くらいのメスの縄張りを包含します。負けたオスは縄張りから追い出され死に絶えます。
メスは妊娠すると子育てに入りますが、この母子の生殖集団が哺乳類の集団の原点となります。現モグラから集団形態を高度化させたライオンやゾウ等の哺乳類も、母子集団が基本です。
また、子どもから大人になったオスは集団から放逐され、娘だけが残留する母系集団を形成していきます。ゾウのような大きな集団を形成している哺乳類は、血縁関係のない複数のメスの母系集団が集まって集団を作っており、そこでの集団の紐帯は血縁よりも親和関係が主となっています。
これからの人類集団を考えた時、母系集団の再生は一番大事なところかもしれません。
[過去のブログ記事]
初期哺乳類の雌雄、生殖期間以外は敵
哺乳類の集団構造とは
■■知能進化は、哺乳類固有のスキンシップが原動力
単一的な行動しかない魚の群れと違って、哺乳類の集団は高度な連携ができ、知能が格段に発達しています。
そのきっかけになったのがスキンシップによる皮膚感覚の発達。哺乳類は授乳や子どもをなめる、じゃれ合う等のスキンシップで、皮膚感覚がドンドン発達していきました。
皮膚は、外部情報を察知する受容体機能だけでなく、受容した外圧に対し最適な皮膚の反応を促す駆動物質も有しています。(青ざめたり、サブいぼが出たり、代謝を調整したり・・)つまり、その他の感覚器官と違って、皮膚は判断機能も有しています。これは、考えてみれば当たり前で、脳を持たない海の生物はたくさんいて、皮膚は脳よりも先に出来た脳といえます。
スキンシップによる皮膚の判断機能の発達が、脳の判断との突き合わせにより脳の判断機能の発達も促し、同類の状況把握→連携行動を可能にしました。加えて、皮膚の繊細かつ総合的な識別機能を脳に転写し同類識別が可能になったと思われます。
これはヒトも同じ。
乳幼児の母子スキンシップが、皮膚感覚の発達⇒脳の発達⇒同類認識の発達の土台をつくっている。
スキンシップがとても大切なのです。
[過去のブログ記事]
なぜスキンシップすると知能が発達するのか
■■哺乳類は後天的に獲得する能力が、適応力を規定している
エゾリスのじゃれあい画像はこちらからお借りしました
ほぼ全ての哺乳類は、子どもの遊び行為が盛ん。じゃれあい、追いかけっこ、つかみ合い。遊びには3系統あり、
①守る、逃げる、狩る等の集団行動の訓練
②性闘争の訓練(専らオス)
③親和行為・スキンシップ
があります。何れも大人になるまでの演習ですね。
知能が発達した哺乳類は、予め備わった本能だけでなく、後天的に獲得する行動力や判断力の必要性が増加し、その演習の場が遊びとなっています。
しかも、楽しい!
嫌々やるような厳しい訓練ではなく、遊びは充足を伴う楽しいもの。だから、もっと充足するためにどうするかを勝手に追求するし、何度も繰り返すことで身につくスピードも速い。
人も同様ですね。嫌々勉強を強制していても生きる力は身につかない。
外遊びを通じて、もっともっと充足するには、と子供達が勝手に遊びを追求するなかで脳は発達し、生きる力を育みます。
[過去のブログ記事]
哺乳類の群れは、他の生物よりの群れよりも何故高度に進化したのか?
- posted by kida at : 2021年11月05日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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