2008年08月20日
家族・婚姻に関する人類学の系譜3
『家族・婚姻に関する人類学の系譜2』で扱ったモルガン社会進化主義を論旨は、以下の3点にまとめられます。
①親族名称を比較研究することで、人類社会の歴史を類推できる。その結果、
②人類の社会は原初の時代から単線的に進化してきた(=社会進化主義)
③婚姻・親族については、原始乱婚→母系の集団婚→父系の単婚に転換した
元々社会進化主義は、イギリスを中心に発達した思想であり、産業革命を経たヨーロッパ人を進化の最先端に位置づけて発想されています。こうした時代背景の下、植民地支配を正当化する思想としての性格を帯び、更に人種差別観念に結び付いていきます。実際、人類学における未開部族の調査も、現地人が労働者としての資質を有しているかを目的とした側面があります。
そのような風潮の中、20Cに入ると、社会進化主義を批判する動きが出てくることになります。その代表格として、アメリカの人類学者F・ボアズ(1858~1942)と、イギリスの人類学者B・マリノフスキー(1880~1942)のニ人があげられます。
今回は、20C初頭、モルガン社会進化主義がどのように批判・否定されていったかを整理したいと思います。
- posted by matuhide at : 2008年08月20日 | コメント (1件)| トラックバック (0)