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2008年07月18日

哺乳類 メス同士の結びつきから群れ社会が生じた必然性

哺乳類の群れ社会の原型は、メス(母親)とその娘を核にした母系的な結びつき で紹介されていたように、以下の論点は重要です。
ペア型は子どもの分散を前提に成立する社会であり、それ自体がひとつの完結系であるので、集団化の諸端にはなりにくい。哺乳類の群れ社会の主流は、メスの血縁的な結びつきから出発し、餌の量や分布、天敵の圧力といったさまざまな生態的条件と結びついて複数のメス群が合流し、その上に高い繁殖成功度を求めてオスが加わり、多様で複雑な群れ社会が構築されていった。
霊長類学では、霊長類学の家族の起源2 霊長類の社会構造 にあるように、ペア型から類人猿の群れへと進化したと考えられており、哺乳類と異なっています。また非母系であることも、真猿の主流は母系集団なので特殊です。
類人猿の社会を検証するためにも、哺乳類の「メス同士の結合から群れ社会が生じた」必然性を見ておきたいと思います。『哺乳類の生物学4~社会』(三浦慎吾著、東京大学出版会 1998)より。
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*******************(以下、要約)********************
哺乳類の群れ社会の成立には、分散の問題が深く関係している。メスが生まれた子供を、性に関わりなくホームレンジ(行動圏)から外へはじき出せば群れ社会は成立しない。しかし、何らかの理由で分散が遅れたり、分散しないことになれば、群れ社会ができる土壌が生まれる。もともとメスには、生まれた土地にとどまる定留性(または残留性)が強く存在する。
それは何故か?オスとメスの適応度の違いに立ち返って考えてみよう。
メスの適応度は自分の子どもを直接産むことで実現される。繁殖には大きなコストがかかるから、産み出すことのできる子どもの数には限度がある。だから繁殖のチャンスがあれば確実に捉え、成功させていかなくてはならない。メスの繁殖の成否は、なんといってもエネルギーを供給するホームレンジの資源量(食物量)に影響されるだろう。従って、メスにとって最も大切なことは、豊かな資源をもつ土地と安定して継続的に結びつくこと、言い換えれば、良好なホームレンジを確保し続けることであろう。これがメスの生活原理である。
そこでもし、資源が豊富に存在し、複数の個体の生存を許容できるような条件が生まれるとすれば、どのようなことが起こるだろうか。
第一に、母親は自分のホームレンジに娘をとどまらせようとするだろう。遺伝子の一部を共有している娘を優遇することは自己の適応度の増加に確実につながるからである。第二に、娘もまた母親のホームレンジにとどまろうとするだろう。何故なら、母親のホームレンジは自分が生まれ育った、間違いなく実績ある土地だからである。
この二つの相乗効果によって、母親は娘と同じホームレンジを共有するようになる。やがて日常的な相互作用を通じて、母親と娘との血縁的な結合(クラン)へと成長していく。
これに対してオスは、もともと土地や資源との結びつきが希薄である。何故なら、これらはオスの繁殖成功には直接的に影響を与えないからである。
オスは、メスに比べると繁殖のコストがはるかに少なく、繰り返し何度でも繁殖に参加できる高い能力をもっている。オスの繁殖の成否は、交尾相手であるメスの数や交尾の回数に依存している。その意味で、オスの適応度の源泉は土地ではなくメスにある
オスはより多くのメスを獲得し、交尾機会を増やすには、出生地を出て、新天地を求める必要がある。何故なら、出生地にとどまることは父親との競争が避けられない。特に若い個体にとっては、父親を排除できる力はない。同時に父親も誰であろうと若い競争者はできるだけ排除しようとする。
一方母親にとっては、息子を優遇することに利益はない。逆に資源の消費者であると同時に、交尾相手として近親交配の危険をはらむというマイナスさえある。このように、オスの子どもの分散は必然性があり、結果として母親との近親交配を回避することにもつながっている。
こうしてオスの子どもは、ほぼすべての哺乳類で、性的成熟に達する前後に、自分の出生地を切り捨てるように長距離の分散を行う。それは両親との対立を契機にしているというより、子ども自身の自立性、自発性にもとづく、適応度を高めるための旅のように見える。
群れ社会と単独社会の間には、その後の協同行動の展開という意味では大きな隔たりがあるが、ほんのわずかに過ぎない。それは、適応度の性差にもとづくメスの子どもの分散様式の違いに由来している。メスの子どものホームレンジが母親のホームレンジと重なったり、隣接して確立される傾向が強いことは、群れ社会が成立する以前の単独性社会にも広く見られる。
群れ社会の萌芽はすでに単独性社会の中に形成されているのである。
*******************(要約おわり)********************
図式化すると以下のようになります。
単独―┬→母・娘同居―→複数の母・娘群合流―→さらにオス同居の群れへ
└→ペア(完結系)
単独といっても授乳段階は母・子集団(生殖集団=家族の起源)を形成しており、思春期になると子をはじき出す―→次に、子のうち息子だけをはじき出し、娘はそのまま残留すれば、母・娘集団が形成される。
確かにこの変化は、資源量の豊富さでスムースに移行できそうです。
一方、ペア型は父・母同居で、授乳段階は父・母+子の集団で、思春期になれば子をはじき出す。はじき出された子は新たなペアを形成する。
これはかなり完結した形態ですね。
これから集団化、例えば娘だけを残留させれば、息子だけが分散し、いずれ息子の誰かがどこかの集団の父と交代する。
これは、ペア=父・母の結びつきから―→集団化=父・母の結びつき+母・娘の結びつきの2つの結合軸が存在する集団に移行することになり、原理的に複雑化する、または中心が母・娘の結びつきに移行してしまう可能性があります。
やはり、ペア型からの集団化は困難を伴いそうです。
では、類人猿はこの困難をどう克服したのでしょうか?または本当にペア型から集団化したのでしょうか?再整理する必要があるようです。

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comments

いつもすごい図解ありがとうございます。今回も労作ですね。どこかに展示室を設けたいくらいです。
朝鮮の比率までまとめてもらって大変参考になりました。
O3系統の多さは予測していましたが、O2b(長江文明)が51%とトップであることと、C3(シベリア)系統がかなり残っていること、それになんといってもD2(縄文)系統が壊滅してしまっていることに驚きました。
ほんの少し海を隔てているだけですが、掠奪闘争のきつさの違いなのか、疫病によるものなのか…気になりますね。

  • 2008年10月14日 00:05

岡さん、コメントありがとうございます。
Y染色体系統ごとに色分けしてみると、日本は実に多様な人種で成り立ち、かつ共存してきたことを実感しています。
今後、古墳~飛鳥~奈良時代の渡来人と呼ばれる人々(O2b・O3e)について、もう少し詳しく調査してみたいと思っています。

  • マツヒデ
  • 2008年10月14日 12:29

コメントを入力してください
前の遺伝子の棒グラフ、復活していただけませんでしょうか。あのページ、別のサイトから?コピーしたのを持ってはいるんですが、他の人に送って上げたいとき、アドレスだけで一発で送れないんです。何故でしょう?
英語ブログで、日本人は朝鮮人の移民だと認めよとの話題が出たとき、あの棒グラフのアドレスを送った所、一発で議論は終了しました。百聞は一見にしかず。パワフルな効果が有りましたよ。どうか復活して下さいませ。

  • ゆすらうめ
  • 2009年5月30日 16:26

コメントを入力してください
わ!出たなつかしの棒グラフ!これをブックマークにして
アドレスだけを送ろうとしても何故か出来ません。ブックマーク出来る様にして下さいませんでしょうか。私のハードは、マックです。。。

  • ゆすらうめ
  • 2009年5月30日 16:31

>ゆすらうめ さま
コメントありがとうございます。下記アドレスから、ブックマークできると思います。
http://bbs.jinruisi.net/blog/%EF%BC%B9%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93%EF%BC%92.JPG
画像自体は、文献を基に私が作成したものですが、ご自由に使っていただいて結構です。尚、引用される場合、一言コメントいただければ幸いです。

  • マツヒデ
  • 2009年5月30日 21:43

はじめまして、とても面白かったです。
昔NHKに 鈴木健二の「歴史への招待」という番組があって、そのなかで言葉の共通性とか習慣とかを考えると日本人の起源はチベットではなかろうか。とやや結論付けた回があったのを思い出しました。
当時は中学生だったので、随分遠いな、半分こじつけなんじゃないの?みたいな感じで番組を見ていましたが、日本とチベットだけの共通が34%もあるというのを見て、文化や文明は変化しても、変わらない性質というものがはっきりあるんだなと感じています。

  • はっちゃく
  • 2012年4月28日 19:48

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