2009年08月08日
共認機能による実現態を探る vol.4 (マントヒヒ編)
【共認機能による実現態を探る vol.3】に続き、今日はゲラダヒヒ(母系)とは対照的なマントヒヒ(父系)の重層社会を紹介させていただこうと思います。
共認社会におけると父系重層社会とは、どういった社会構造なのか?
それではアフリカのエチオピアに重層社会を覗きに行って見ましょう
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母系の重層社会があれば、父系の重層社会があってもよいですよね 😀 自然界には見事な父系の重層社会をつくる種がいます。それがマントヒヒなのです。ゲラダヒヒにしろマントヒヒにしろ、重層社会社会をつくる種は、完全な地上生活者である点が注目されますね。
マントヒヒはエチオピアの北東部及び、アラビア半島のイエメンの、半砂漠ともいえる乾燥地帯に生息しています。
マントヒヒはその名の通り、雄は肩に垂れ下がる美しいマント状の毛を持ち、赤い尻は座布団のように肉厚にふくれていて、地面に座るために、うまく適応した形態をもっています。雄の体重は平均19キロですが、雌は平均12キロで、マントがないので、外見は雄の半分くらいにしか見えず、性的二型が著しい種です。
マントヒヒは最も乾燥した地に適応したサルで、乾季には草は完全に枯れ果て、点在するアカシアの木の芽や実や根茎などをあさって食べていますが、広く分散している食物を採るために、毎日数キロ、時には十数キロという長大な距離を歩かなければなりません。
こうした生態条件が、彼らの特異な社会構造を形成する大きな原因なったものと考えられます。
マントヒヒ社会は、おそらく霊長類の中で最も複雑な重層構造をもった種だといってよいのでしょう。
★マントヒヒの父系重層社会の社会構造★★★★★★★★★★★★★★★★
★ ワンメイル・ユニット
マントヒヒのワンメイル・ユニットは、雌と雄の二つの求心的要素によって成立しています。雌はおとな雄に対する強い依存性を持っており、一方、優位な雄は、雌を自分のもとに集めようとする強い性質があります。この両性の指向性が合致したとき、ワンメイル・ユニットが成立するのです。
マントヒヒでは、雄は雌対してほとんど毛づくろいをしません。ゲラダヒヒと違い、雄は雌を親和性よりも攻撃性によって強く関係づけています。そのため雌が少しでも離れると、腕力による厳しい制裁を加えるようです。
また、雌どうしの毛づくろいも非常に少ないのです。そのため、ボスが消失すれば、雌たちはばらばらに解体されてしまいます。雌間の社会的紐帯はとても弱いのです。
しかし、雌の中にも中心雌という存在がおり、中心雌とその他の雌という雌間の社会的関係や役割分担が存在るようです。
★ クラン ⊃ ワンメイル・ユニット
ゲラダヒヒの場合、雄は、原則的に性成熟するとユニットから離脱し、フリーランスか雄グループのメンバーになりバンドの一員として存在したが、マントヒヒでは、雄はユニットを出ると、クランのメンバーとして居残ります。
ユニットの周辺には、サブアダルトや若いおとな雄など、成熟したおとなになるまでの年齢の雄たちがいます。これらの雄をフォロワー(追随者)雄と呼びます。フォロワーは、全員ユニットからの出身者であることが特徴です。
ユニットのボス雄は一頭であるからフォロワーたちの多くは異母兄弟ということになります。
ユニット及びユニットの周辺にいる雄たちを含めた集団を、クランと呼ぶようです。
クランのフォロワーたちはかなり閉鎖的な存在のようですが、少年たちは開放的で、子どもの雄は他のクランやバンドに遊びに行くことがあります。そして、他のクランやバンドから雌を誘拐してくるのです。これが図の初期ユニットです。
この構造は、インセスト回避にもなっているようです。
初期ユニットはこうして、クランの中にワンメイル・ユニットと併存することになります。クランは2つのユニットとフォロワーによって構成されるのが基本構造のようです。
★ バンド ⊃ クラン ⊃ ワンメイル・ユニット
マントヒヒの場合、いくつものクランの集合体がバンドになります。しかし、ゲラダヒヒにのバンドよりもずっと組織化された社会集団です。
ゲラダヒヒのバンドはメンバーシップをもったルーズなユニットの集合体で、ユニットはときにバンドから別れ自由行動をとったりもしますが、クランはそのような自由行動をとりません。
ゲラダヒヒのバンドには、リーダーシップをとる個体もしくはユニットは皆無ですが、マントヒヒのバンドには、前リーダーという長老がおり、危急の際にはバンドの行動を決定します。ユニットのボスと長老の間にはI・Dロールの分担があり、バンドは長老の決定に従う組織集団として行動するようです。
★ トゥループ ⊃ バンド ⊃ クラン ⊃ ワンメイル・ユニット
社会的上位な単位として、バンドの集合体をトゥループと呼ぶようです。
しかし、ゲラダヒヒのバンドは、お互いに対立関係がなく、ときには複数のバンドが合併してマルチバンドをつくりました。そのために、コミュニティーという複数のバンドによる上位の社会構造を形成しています。
しかし、マントヒヒのトゥループは、コミュニティーとは本質的に異なっており、トゥループは対立するバンドの集合体にすぎません。この観点からバンドの上位社会と位置づけることはできないのかも知れません。
マントヒヒの社会は、ワンメイル・ユニット、クラン、バンドという三層の構造をもつ父系の重層社会だと言うことができます。
人類以外にも、かなり複雑な社会構造をもつサルがいることを、お解りいただけたでしょうか?
次は、重層社会がどうして成立したのか 少し詳しく紹介します。
- posted by yidaki at : 2009年08月08日 | コメント (5件)| トラックバック (0)
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comments
それまでのDNA進化という生物史を覆す、全く新たな進化機能が「共認機能」の実現だった!!
サル・人類にロマンを感じますね。
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サルは、系統的にもいくつもの分類があり、多様な種別のサルがいる。つまり,DNA進化を行って環境に適応する事で住む事ができる場所を広げて来たのである。
それに引き換え、人類のDNA変化は、肌の色や、骨格の多少の差が有るが、オリンピック競技を世界的な人類で行えることから見ても、サルに比べると殆ど同一種であると言える。
しかし、人類ほど地球上のどこにでも居る動物はいないのでは無いかと思う。人類は、あらゆる自然外圧(暑さ、寒さ、乾燥、気圧の低さ等)に対して、食べる物、着る物、住む場所を変えて、さらには集団の組み方を組み替えることで適応して来たからである。
殆ど体のDNA的な進化を行うことなく、共認内容の組み換えで適応して地球上のあらゆる所に、進入していった。
これまでのどの動物にも成しえなかった手法で地球を制覇した。確かに、共認機能は『生物史を覆す、新たな進化機能』であると言えそうだ。
しかし、世界中のあらゆる場所に進入した人類も、私権獲得競争の市場を世界経済の限界まで広げた。その結果、共認した「世界市場経済」が破綻して世界中の誰もどうしたらよいかの答えが出せないという閉塞状況に陥ってしまった。人類最大の危機であると言える。
共認内容の組み直しは、どこまで遡るべきなのかと言う視点での議論は殆ど成されない。世界の頭脳出ると言われる人たちも、国家の資金を市場にもっと投入すべきであるなどの目先レベルの対応しか話されない。
人類最大の危機であるならば、今までの共認内容のどこが違っていたのかを、分析して組み換えが必要である。つまり、人類としての共認機能の発生原因とその構造、仕組みを理解した上で、人類史上のどこから組み替え直しが必要であるかの検討が始めてできる。
人類的な危機であると言う認識から、現在こそサル・人類の起源から始る共認機能の深い構造認識が必要な時代に成ったといえる
>真猿以降は生存が集団によって保障される事によって生存圧力<同類圧力となり、性闘争や期待・応望(相互解脱)や同類闘争(縄張り闘争)などの同類圧力を主圧力として、更に共認機能を発達させていった。(実現論:前史)
なるほど。共認機能をさらに発達させた要因として外圧の変化を中身を抑える事は、外圧=内圧という概念からもより理解が出来ます。
これを現代に引きつけてみると、私権圧力が衰弱した状況やどうしていいか分からない社会不全(未明課題)とが同時に起こっている状況は、明らかに期待が大きい事が分かります。
まずは、原因構造の解明が優先の課題となりますが、この期待に応える事は、更なる進化にも繋がるのではないでしょうか・・・。
生まれたばかりの赤ん坊は母親とのスキンシップを通して親和充足を得て安心基盤を確立し、未明課題に挑戦出来るような実現回路を強化するらしい。
サルが共認回路を獲得していくプロセスと同じではないでしょうか。
人類は共認機能⇒観念機能を獲得へと進化したが、先進国(特に日本)においては豊かさ実現から収束不全に陥ると同時に充足・安定志向(女原理)に向かった。るいネット 「潮流9:経済破局を突き抜けてゆく充足・安定・保守の潮流」
観念でしか捉えられない現在の社会問題・不全の克服も、充足基調を基盤とするプロセスは同様と思われます。
お世話になります。とても良い記事ですね。
mbt sport 共同体社会と人類婚姻史 | サル・人類の機能獲得と弱点2 ~共感充足から+統合へ、そして共認統合へ~
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