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2009年08月23日

文法は赤ちゃんの脳から生まれてくる。(赤ちゃんとサルの言語習得の違い)

 以前、言語誕生の前夜  で、ニカラグアの聾学校で、年長の子供たちが使い始めた、原始的な手話を、年少の子供たちが、文法を持った、言語に洗練していった話を投稿しました。
 さて、2つか3つの単語を組み合わせただけの言葉が、時制などの文法を持ち、抽象的な表現が出来る言語に成長するために、必要なものは何だと思いますか。
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マイケル・コーバリスの「言葉は身振りから進化した」によると
 

植民地の拡大が続いた帝国主義時代、ヨーロッパの商人や入植者たちは、先住民族と「ピジン語」と呼ばれる間に合わせの言葉でコミュニケーションを取った。ピジンには時制もなく、実質的に文法がないといってよい。しかし、商売上のやりとりのような簡単な情報の伝達には十分に役に立つのである。
 ハワイで行われた研究から、ピジン語が世代を経ると洗練されることが分かった。この洗練されたピジン語を「クレオール語」と呼ぶ。ピジン語と違い、クレオール語ではきちんとした文法がある。クレオールの文法は赤ちゃんの脳から生まれてくるのである。クレオール語の文法の誕生に必要なことは、赤ちゃんをピジン語に触れさせることだけだ。なんと、両親の助けがいっさい無くとも子供たちは文法を勝手に創り上げてしまうのだ。これには子供たちの脳に組み込まれた本能的な文法機構が関与していると思われる。

 つまり子供たちは、普遍文法に関する知識を持って生まれ、生まれてから触れる言葉に適合させる(パラメーターを設定する)ことによって、それを母語として習得していくのです。
 また、「言語誕生の前夜」では、赤ちゃんの手話を通して、言語能力と発話能力が別々に発達していることについても投稿しました。

 赤ん坊の脳はすでに話ができるほど発達しているのに、まだのどから声が出せないために手を使っているのである。 私たちがこの時期にしゃべれないのは、知力が足りなくて話す内容をおもいつかないからではない。神経経路や、のど肺や舌が発達していないために言葉を発せられないだけだ。 


 ところで、サルに言葉を教える挑戦もすでに50年続いています。 
 類人猿も、発話能力に乏しいため、最近は、チンパンジーやボノボに、手話や無意味図形を使ったコミュニケーションの研究が行われているようです。(ジェスチャーや現実を模した図形は解釈が難しいため)
 これまでのところ、サルに声を出して話させようとしても無駄だが、言葉を聞いて理解することには驚くほどの能力を示すサルもいる。 また、少なくとも大型の類人猿は、視覚的な手段を使えばとてもうまくコミュニケーションができるということがわかっているそうです。
 つまり、サルも教えれば、「ピジン語」のように数語の単語を並べる程度の言葉は、使いこなせるようになるが、世代を経ても「クレオール語」への進化は出来ないのです。 
この赤ちゃんとサルの言語学習の違いは、本能として、言語能力(普遍文法)を、獲得しているかどうかにあるようです。
 マイケル・コーバリスの「言葉は身振りから進化した」では、ホモ・ハビリスから200万年をかけて、本能として、言語能力を獲得し、ホモ・サピエンスになって、発話能力を獲得したと考えているようです。 次の投稿から、その内容を検証しながら、紹介していきたいと思います。

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