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2010年03月02日

人類の進化 5 観念機能の進化 ~言語の起源~

 
画像は「生物史から自然の摂理を読み解く」よりお借りしました。

前回の記事では初期人類の観念機能獲得の前夜と言える猿人段階の脳進化を扱いました。
約700万年前の猿人が
①歩行訓練における共認機能の発達
②食生の肉食化(死肉食)
③遺伝子の変化。により知能発達=脳進化を遂げて言ったのです。
そして「二足歩行」でさらに脳の高機能化をはかった種が観念機能の獲得に至った、
と記述しました。
今回は知能発達した猿人がいつから言語を話し始めたのか調べてみました。
るいネット”の「ヒトはいつから言葉を話し始めたのか」と言う投稿を紹介します。
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ヒトはいつから言葉を話し始めたのか(1)

言語の起源についての究極要因や直接要因を考える前に、人類学の成果からの基礎的な事実を少し押さえてみたいと思います。
ヒトがチンパンジーとの共通祖先から分岐したのは約600~500万年前と言われていますが、もちろん当初から言語が使えたとは考えられていません。
約400~300万年前に生息し、すでに二足歩行していたとされるアウストラロピテクス属では、体重が24~60㎏、脳容量が約400ccで体に対する脳容量はチンパンジーやゴリラよりやや大きい程度です。左前頭葉にブローカ野(発話を司る言語野)の痕跡が見られず、言語を操ることはできなかったと考えられています。
約250~150万年前のホモ・ハビリスは、主に右手で道具を扱い、すでに「利き腕」が存在していたことが知られています。脳容量は最大775ccでブローカ野の痕跡も見られ、簡単な言語を操っていたのではないかと推察されています。
しかし、ホモ・ハビリスよりやや新しい190~130万年前の地層から、9歳の少年にして身長160cm、脳容量880ccを有する骨格が出土したホモ・エルガスターについて、この化石の報告者は彼らが言語を話せなかっただろうと結論付けています(詳しい根拠は分からないのですが)。
さらに下って、しばらくの間、現生人類の直系祖先と目されていた180~20万年前のホモ・エレクトス(ジャワ原人、北京原人の系統)では、脳容量800ccから後期では1000ccをゆうに超え(現生人類は約1350cc)、言語を使用していたと推察されています。ただし、この種も厳密には現生人類に直結しない共通祖先からの派生種と考えられています。
現生人種ホモ・サピエンスは約20万年前に出現したと考えられていますが、脳の形態や大きさは現代人と変わりありません。私たちは20万年前の脳を今も使っていると言えるようです。


以上をまとめると
⇒約600~500万年前ヒトがチンパンジーとの共通祖先から分岐したが、当初から言語
が使えたとは考えられていません。
⇒約400~300万年前のアウストラロピテクス属には左前頭葉にブローカ野(発話を司
る言語野)の痕跡が見られず、言語を操れなかったと考えられています。
⇒約250~150万年前のホモ・ハビリスはブローカ野の痕跡も見られ、簡単な言語を
操っていたのではないかと推察されています。
⇒190~130万年前のホモ・エルガスター(9歳の少年)はしゃべれなかっただろう、
と記されていますがその後の研究により   によりしゃべれなかったのではなく、
器用にはしゃべれなかっただけだと言うことが分かっています。
⇒さらに下って、180~20万年前のホモ・エレクトス(ジャワ原人、北京原人の系統)
では、言語を使用していたと推察されています。
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ホモ・ハビリス     ホモ・エルガステル    ホモ・エレクトス

  
ヒトはいつから言葉を話し始めたのか(2)

言語の有無は直接証拠が残らないので推測するしかないのですが、アウストラロピテクス属から脳容量が倍増した約200万年前の前後は、かなり注目すべき時代のように思います。
現生人類に至る約500万年の間に、現在知られているだけで20弱に上る「ヒト科の種」が盛衰を繰り返していたことが分かっています。特に、この200万年前から前後100万年間は、現在のチンパンジーなどと比べてもかなり知能が高かったであろう4~5種のヒトが同時並存していた可能性も考えられるのです。
前出のホモ・エルガスターは、「二次的晩熟性」と呼ばれる肉体的変化を遂げています。これは、母体に負担をかけずに大容量の脳の成長を実現するため、脳が極小の状態で新生児を生み、出産後の1年間に急速に脳成長させるもので、現在では人類のみに見られる成長様式です。
また、約180万年前のホモ・ハビリスと同定された化石の中には、手が長く足が短いという樹上適応型の体系に逆戻りした個体も見つかっているようです。
種間闘争圧力の時代とみるか、適応放散の時代とみるか微妙なところですが、言語能力をはじめ、僅かな知能の差が淘汰圧となって、現生人類に至る進化の方向性を決定付けたのがこの時期と言えるかも知れません。
参考資料:「神に迫るサイエンス」角川文庫、
「複雑化する人類進化の系統」朝日総研リポートNo.150



サルや小鳥でも鳴き声で仲間に危険を知らせたり、異性や親を呼んだりするのである程度の意思疎通を行なっていると思われます。
しかし、そういうものは本能的な行動に近いもので、人間の言語とはかけ離れている。
違いはそういう鳴き声には文法体系がないということです。
単なる本能的な合図と、複雑な文法体系をそなえた人類の言語とはあまりに遠い。

イヌを見たときに、イヌという固定名詞をあてはめて認識し、反対にイヌと記号(文字)を見てイヌの姿を思い起こすと言った観念機能が「言語」だと思う。

初期人類を見た時、ホモ族の胸骨には、発声に関係する大きな違いがある。
250万年前のアウストラロピテクスの胸骨の形は真っ直ぐだが、ホモ・エスガステルの胸骨は膨らんでいる。発声機能の基本である、呼吸を調整するための神経はホモ・エスガステル以降に発達しているのだ。

そして、さらに注目すべきなのは、脳の大脳皮質、前頭葉の活動だという。この部分はサルからヒトへの変化において、脳が最も、拡大している部分だ。
この前頭葉は前述した言葉の基本となる記号化を担当している。
記号化とはものごとを置き換えて認識する力といえるかもしれない。

カリフォルニア大学のケビン・ディーコン博士は人類の脳の驚異的な発達は言語によるものだという仮設を唱えている。脳と言語が共通化したというのだ。
前頭葉の発達が、記号と記号を結合して文章を作り出す言語能力に繋がったという。

一度このシステムが出来上がると脳と言語はお互いに影響しあって進化する。
脳は言語に合わせて、記号化の神経網を発展させ、そして言語は脳により、適した、
かたちに変化していくという。

つまりお互いに影響しあって、脳と言語能力は爆発的に進化したと、ディーコン博士は考えている。

小脳、胸郭、そして大脳皮質。人類の言語能力は、200万年の長い年月の積み重ねのなかで、育まれた能力だ。それが私たちホモサピエンスの時代を迎えて、爆発的進化を遂げたのだ。

200万年以上に亙る踊り(歩行訓練)と、サル時代に獲得した共認機能を自然対象へ振り向けた祈りの結果、人類は観念機能を獲得し、言葉や道具を使えるようになった。人類は200万年前にはほぼ直立できる(→頭の重量を支えられる)まで進化し、また道具や言葉の使用によって生存条件=食糧事情を改善できた。これらによってさらに脳を大きくすることが可能となり(猿人の約2倍)、より知能を発達させた原人に進化して行ったのである。

次回は今回の「言語」と同様に直接証拠が残らない人類の生活をどう復元するか?
という問題を、ネアンデルタール人を例に考えてみたいと思います。

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