2010年04月29日
本格追求シリーズ2 世界婚姻史の構造解明(その1)「第4回 採取時代の婚姻形態 採取部族編2」
前回(本格追求シリーズ2「第3回 採取時代の婚姻形態 採取部族編1」)は採取生産時代初期の婚姻様式を見てきました。
前回の内容を簡潔にまとめると、生産力発展→圧力の衰弱→ボス集中婚が崩れ乱交制へ→集団規模拡大により単位集団に分割していく中で兄妹婚(=単位集団内での乱交)が生まれた、と言うことだったと思います。
そして、今回はその後、兄妹婚がどのように変化していくかを見ていくことにしましょう。
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今回扱う部分はこの部分です。
結論から先に開示しますが、兄妹婚はその後は交叉婚に変化して行きます。
交叉婚とは・・・兄妹婚が“単位集団内の乱交”、に対して単位集団内の婚姻を禁止し、部族内の他の集団との婚姻を制度として決定したものです。
では何故、単位集団内の婚姻を禁止し、部族内の他の集団との婚姻を制度化する必要が出てきたのでしょうか?単位集団内の婚姻では何が問題だったのでしょう
それは“集団”の持つ必然構造にありました
“集団”は常に固有の共認と求心力を形成します。言い換えれば固有の共認と求心力が強ければ“集団”としてのまとまりは強くなります。とりわけ、生産・生殖一式を揃えた集団の場合は自ずと閉鎖性・自立性が高くなります。そうなると「我々の仲間達っていいでしょ?」と言うような他の集団と一線を画するような意識が少なからず生まれてきます。そう排他性が生まれて来るんですね!
(みなさんもこれまで色んな集団に所属してきたと思うので、イメージはできるでしょう?)
そうなると、今度は部族集団の統合が難しくなるります。おそらく兄妹婚の時代、分派・独立してゆく単位集団が多発し、そのような部族は集団崩壊と言う危機的状況になったに違いありません。
そこで、その打開策が先の交叉婚だったんです。単位集団内の婚姻を禁止し、部族内の他の集団との婚姻を制度化する(要するに成員の入れ換えを行う)ことによって部族集団の結束力を高めたんですね。
(これは現代においても会社組織等ではよくやっていますよね。会社組織ではあくまでも結婚ではなく、他部署への移動ですが・・・)
それでは交叉婚の事例を見てみましょう。
オーストラリア原住民のカミラロイ族は、6つの氏族に重なる4つの婚姻班があり、第1班の姉妹たち(or兄弟たち)は第4班の兄弟たち(or姉妹たち)とのみ通婚が許され、第1班の女と第4班の男の間にできた子はと第3班の属する等の取り決めがある。(第1班と第3班は同系の胞族なので、子供は広義の母系氏族に所属することになる。)
北米インディアン ヤヒ族
Monkey-ATAXにお借りしました
北米インディアン70部族では、父の兄弟と母の姉妹だけを自分の父母とし、父の姉妹を伯母、母の兄弟を伯父と区別しており、また男は兄弟の子供だけを自分の子供とし、女は姉妹の子供だけを自分の子供としている。つまり男にとって姉妹はもはや妻ではなく(女にとって兄弟はもはや夫ではなく)、その子供を表現するために、甥・姪→伯父・伯母という新しい言葉が必要になったことを示している。
また、上記のように一口に交叉婚と言っても部族によって様々な制度があるようです。
はじめは自集団外ならどこでもよいという程度のものであったと思われます。ただし外圧低下に伴い人口が増えると同類闘争圧力が上昇し、統合圧力が再び上昇すると、AとC、BとDという様に、部族が単位集団間の婚姻相手を決定する形態に移行しました。 (ちなみに、これがモルガンが言うところの半血族婚です。)
交叉婚って系統図がないと良くイメージができないと言う方はこちらを参照!
【図解】交叉婚って何?(1)
【図解】交叉婚って何?(2)
【図解】交叉婚って何?(3)::スキンネームの謎に迫る
今回は以上です。兄妹婚→交叉婚への変遷について理解が深まったでしょうか?
では最後に兄妹婚・交叉婚を通して重要なポイントを1つ押さえておきましょう。
それは、この時代はまだ近代のように個人が婚姻単位であるという発想は無く、集団が婚姻の単位であったという点です。
それではまた。。。
- posted by mrran at : 2010年04月29日 | コメント (3件)| トラックバック (0)
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