2010年12月02日
現在、世界の婚姻形態は、どう成っているのでしょう?Vol.3 ~スウェーデン編~
イギリス、フランスに続き、今日はスウェーデンの現代の婚姻形態について見て行きたいと思います。
スウェーデンでは、フランスと似たような婚姻形態である、「サムボ婚」と呼ばれるものがあり、近年急速にこのサムボ婚のカップルが増えています。これは婚姻法に基づく婚姻様式(法律婚)ではない為、事実婚の一種ですが、なぜこのような婚姻形態が増えてきたのでしょうか。
実はサムボ婚も「サムボ法」と言う法律によって、様々な保障や規制が定められています。
その違いを見ながら、現代サムボ婚が増えてきている理由を探ってみたいと思います。
応援のほうも宜しくお願いします。
まずは以下のブログからの引用です
(「働く女性を幸せにするブログ~?岡本 千景」より)
◆婚外子とサムボ制度
婚外子つまり「出生時に法律婚をしていない両親から生まれた子ども」の割合を、比較したデータがあります。⇒(社会実情データ図録『世界各国の婚外子割合』)
日本は1.7%と他国と比べて著しく低いのが見て取れますね。
一番はスウェーデンの55.3%ですが、スウェーデンといえば5月25日の記事でキメ細やかな社会福祉制度についてご紹介しました。(スウェーデンの女性労働(5/25))
スウェーデンの注目すべき特色として最近(ー年)法制度化されたサムボという制度があります。
サムボとは「一緒に住む人」「一緒に住むこと」という意味で、いわゆる日本で言う同棲を表す言葉です。この言葉が使われ始めた頃は一種の差別的用語として用いられたそうですが、今では公式用語としてもこの言葉が使われ、一般生活でも差別的ニュアンスはなく使われています。
サムボ法は1987年に成立、88年に施行され、サムボのような事実婚カップルをを法律婚カップルとほぼ同様に保護しています。
また、サムボ制度はお試し婚としての意味もあるので、形にとらわれる事無く平等な関係を求められるため、DVの発生率減少に寄与している、という分析結果もありました。
色々な国にそれぞれの文化や制度があり、しかもそれは時代によって一定ではなく変化しています。
日本でも、同棲カップルや結婚前妊娠、核家族の増加など、結婚や家族の形は、変わってきていますね。
異色なもの、新しいものを否定的な目で見るばかりでなくバランスを取るための施策をする。
サムボにしても、はじめは差別的な見方をされていたものを実情に合わせて法制度化することで人々の意識を変えたということは、大きく評価するべきところだと思います。
内閣府がH16年にまとめた「スウェーデン家庭生活調査」によると、法律婚とサムボ婚の違いは、大きく以下のようにまとめられます。
【法律婚】~婚姻法および親子法
①夫婦は共同で家庭を営む。
②婚姻中は夫婦双方で経済力に応じて家計負担を担うが、離婚した場合は各自で生計を立てる。
③結婚後に得た財産は基本的に全て夫婦の共有財産となり、離婚時の分割の対象となる。
④離婚時に16歳以上の子供がいる場合は、6ヶ月間の考慮期間必要。
⑤子供は自動的に夫婦の子と認められる。
⑥離婚後も子供の養育は両親が共同で行う。一方が放棄は出来ない。
【サムボ婚】~サムボ法
①夫婦は共同で家庭を営む。
②同居が解消された後は、経済力が弱い一方に対し、最低限の生活を保障する。
③結婚後に得た財産でも個人名義のものは、離婚時の分割対象にはならない。
④考慮期間はない
⑤子供は、父親を認定(書類提出のみ)しないと、夫婦の子供として認められない。
⑥離婚後は自動的に母親が養育権を得る。但し養育責任は双方が持つ為別居親は養育費を払う。申請すれば共同養育権を得られる。
これを見ると、(事実上の)結婚後、離婚をするのはサムボ婚のほうが簡単なことが分かります。しかもサムボ婚の場合離婚後も経済力の弱いほうは最低限の生活保障が受けられる為、シングルマザーになっても経済的な不安は少ない。
この為、スウェーデンの婚姻形態は、まず「お試し婚」としての事実婚を経て、本当に気の合うカップルであることが確認されると法律婚による夫婦となるケースが多いようです。(法律婚夫婦の90%以上が、サムボ婚を経験している。)
◆世界各国の婚外子割合
出生率を回復させた国々における出生率回復の要因のひとつとして、結婚しないまま子供を産むことが社会的に認知されている点があげられることが多い。
そこでここでは、各国における結婚していない母(未婚の母、離別・死別後再婚していない母)からの出生(婚外子・非嫡出子)の割合を掲げた。
「社会実情データー図録」よりお借りしました。)
対象国は、12カ国、非嫡出子割合の高い順にスウェーデン、フランス、デンマーク、英国、米国、オランダ、アイルランド、ドイツ、スペイン、カナダ、イタリア、日本である。
一目瞭然、目立っているのは日本の婚外子割合の低さである。日本と欧米の文化の差を感じさせる図録であるが、欧米とアジアとの差なのか、特殊日本的な特徴なのかは、この図だけでは分からない。
欧米の中では、スウェーデンが2005年に55.4%と5割以上であるのが目立っており、次ぎにフランス、デンマークが48.4%、45.7%で続いている。北欧のスウェーデンやデンマークは1980年でも3割を越えており、かなり前から高かった。
欧米の中でもスペイン、イタリアといった典型的なカソリック国では相対的に婚外子の割合が低い。またフランスやアイルランドといったその他のカソリック国、あるいはオランダ、英国といった国も1980年段階では低かったが、その後は、大きく上昇しているのが目立っている。
欧米で婚外子割合が高い要因としては、結婚に伴う法的保護や社会的信用が結婚していなくとも与えられているという側面と若者が未婚でも後先考えずに子どもを生めば後は何とかなる(国、社会が何とかする)という側面の両面があると考えられる。出生率回復に寄与しているのは主として後者の側面であろう。
自由を求める人間精神はついに結婚制度を変容ないし瓦解せしめているともいえる。
この様に社会保障制度が整うことにより、結婚も離婚も、更には労働も、経済事情や子育てなどに縛られること無く、個人が自由に選択できるシステムであると言えます。
それ故、個人にとってみれば最低限の保証が得られ、一方で縛りの少ないサムボ婚のほうが法律婚よりメリットが高い(“自由”の追求には都合がよい)と考えるのも、ある意味必然ともいえそうです。
しかし、出産に関しても、同じヨーロッパでもカソリック系の国は婚外子は少なく、同様に集団性を残す日本も少ない。この様に、結婚制度とは個々人の都合に合わせてカップルになったり離れたりするものなのか、集団共認によってその関係が成立するものなのかの考え方によって異なるようです。そのあたりは、もう少し各国の婚姻形態を見たうえで考察したいと思います。
- posted by saah at : 2010年12月02日 | コメント (2件)| トラックバック (0)
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