2010年12月22日
現在、世界の婚姻形態は、どう成っているのでしょう?Vol.4 ~自由の国、アメリカ編~
先進国の現代の婚姻事情シリーズの5回目です。
イギリス、フランス、スウェーデンと見てきましたが、今回はヨーロッパを離れアメリカを見てみましょう。ヨーロッパ圏とはまた違った事実が見えてきます。
まずは現在のアメリカの婚姻の様相です。
kon 国で見る結婚・離婚さんからの引用です。
■現状 アメリカでは、96%の人が結婚を望み、90%が結婚する。
そして、その半数が離婚する。
それでも、「結婚はもうたくさん」というわけではなく、「相手を変えればうまくいくだろう」と、離婚経験者の75%が再婚し、そのうち10組に6組は離婚する。
アメリカでは、2組に1組の割合で、離婚するといわれている。
年間の離婚件数は120万。20代の3人に1人は親の離婚を経験している。
なかにはシングルで通す人も多い。
それが“選択”になり、以前より社会に受け入れられやすくなった。
しかし、、そういう生き方を積極的に選んでいる人が多いというよりは、パートナーに求めるものが大きく変わったため、妥協して結婚するくらいなら、ひとりでいた方がいい、という人が増えたようである。
■離婚率増加の理由
①離婚改正法の実施。
アメリカでは、どちらかに不倫や虐待などの”落ち度”がなくても結婚を解消できるという制度が、もう数十年前から設けられている。
結婚生活がやり直し不可能であれば、夫婦の合意がなくても一方の意思で離婚できる。
それまでのように、相手の非を証明するために、激しく争う必要はなくなった。
不倫などの理由がなくても、あるいは少なくとも1年間ほど別居すれば、離婚が成立する州がほとんどである。
この「無責離婚(no-fault divorce)」法は、全米に先駆けてカリフォルニア州で1970年に制定(これに署名した当時の州知事はレーガン元大統領)されると、一気に全米に広まった。
②女性が経済的に自立できるようになり、男女の賃金の差が縮まった。
③男女の役割分担が曖昧になり、家庭でのストレスが増えた。
④宗教の存在が弱くなった。
⑤離婚を認めないカトリック教会は、結婚を無効にし、存在しなかったものとみなす形で、実質的に離婚を認めている。これは「婚姻無効宣言」と呼ばれるもので、アメリカでは年間約5万件が認められている。こうすれば、教会で再び結婚することができる。
⑤ 離婚が社会的に受け入れられ始めた。
引用終わり
ヨーロッパ諸国でも婚姻制度(法律婚)は形骸化し、様々な事実婚の形態が顕在化しつつありますが、一方で民族的な気質や宗教的価値観の残存により、婚姻に対する観念は今尚残っています。
これに比べて米国の制度崩壊の勢いは、遙かに抜きん出ていると言えます。
では、アメリカの結婚や家庭のありようが大きく変わったのはいつからでしょうか?
以下、年表で見てみましょう。
■結婚・家族の定義
年代別
・1950年代
家族は、一家の稼ぎ手の夫に、専業主婦の妻、二人の子どもというのが典型的である
・1960年代
伝統からの解放、性の解放が叫ばれる。
・1970年代
非婚や離婚は、自立した女性の象徴となる。親になることよりも、キャリアを積み、自分らしく生きることがトレンドとなる。
シングルやDINKS(デインクス)-共働きの子どものいないカップル-がもてはやされる。
・1980年代後半
キャリア一筋ではなく、家族のあり方を見直す風潮が強まってくる。
キャリアもいいが、パートナーや子どもたちとの関係も大切にしたいと思う。
ようやくキャリアも家庭も手に入れられる社会になった、という手ごたえを女性たちは感じ始める。
同時に、これまでキャリアを優先してきたベビーブーマーたち(1946年から65年に生まれた人々)が、出産のタイムリミットを目前に、結婚や出産を真剣に考えざるを得なくなった。
なかなか子どもができない人たちは、日進月歩の勢いで進歩する生殖産業に飛びついた。
・1990年以降
家族はさらに多様化していく。
養子縁組はよりオープンになり、海外からの子どもたちが目立ち始める。
卵子提供や代理母による出産が急増する。
ゲイやレズビアンたちも家庭を築き、子どもを育てる。
生殖技術や養子制度は、不妊夫婦だけのものではなくなり、
非婚カップルやゲイ、シングルにも子どもという大きな夢を実現させることになる。
さらに、以下のような事象もあります。
離婚カップルの3分の2は子どもがいて、年間で100万―120万人の子どもが親の離婚を経験している。
子どもはもはや離婚の歯止めになっていない。
結婚は個人の幸せのためにあり、十分に満足がいかないなら、子どものために夫婦が一緒にいるべきではないと考えるようになった。
子どものために離婚しないように努力すべきだと、60年代半ばまではアメリカ人の半数が考えていたが、
94年には20%に減少した。
子供のために離婚しないよう努力すべきである
YES NO
1965年 50% 50%
1994年 20% 80%
こうしてみると、アメリカにおける結婚観、家庭観の変化は1960年代以降に顕著であることが分かります。
この時代先進諸国では、ウーマンリブ運動に代表される、男女同権、女性の解放を謳った
運動が繰り広げられます。
これは日本でも例外ではありません。
しかし、その中でもアメリカは特に先鋭的、観念的な印象を受けます。
この理由は何なのか?
考えられるのは、アメリカに特に顕著な
①市場拡大を第一とする「自由主義」の信仰
②宗教的観念の希薄さ
です。
ここには、アメリカ合衆国の建国とその歴史が色濃く影を落としています。
白人によるアメリカの歴史は、400年に過ぎません。
近世以降、北米大陸にはヨーロッパ各地から入植者がやってきます。
その後の白人移民の象徴となった有名なメイフラワー号による移民団も、元来はイギリス国教会から追われたプロテスタントであり、キリスト教的な観念は強かったはずです。
しかしながら、
・迫害から信仰の自由を求めたという歴史
・「自由」を標榜し勝利した独立戦争
・その後の拡大政策による先住民迫害の正当化等
を経て、アメリカは個人主義や自由主義といった観念に強く収束して行きます
また南北戦争後の資本主義経済の勃興は、市場拡大を第一とする世論を形成しますが、そのバックボーンとなったのもまた、際限ない「自由」と「個人」です。
さらに移民による多民族国家であり、またヨーロッパからの宗教的な開放を志向した為に、宗教的規範観念が欧州人よりずっと希薄な国民なのではないでしょうか。
今日のアメリカの結婚観には、この「自由」「個人主義」といった観念が深く影響しています。
ヨーロッパに比べて、婚姻制の崩壊が格段に進んでいる背景には、
歴史的、宗教的、民族的なしがらみが弱い分、この観念に極めて強く収束した、という理由がありそうです。
最後まで読んでくれて有り難う!
応援もよろしくお願いします!!
- posted by yama33 at : 2010年12月22日 | コメント (4件)| トラックバック (0)
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