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2019年06月30日

千島学説による生命・細胞・血球の起源1~封殺された細胞新生説やバクテリア自然発生説

生物学の定説では、細胞は分裂によってしか増殖しない(自然発生しない)とされているが、千島学説は細胞新生説やバクテリアの自然発生説を唱えている。それが事実だとしたら、生命の起源や進化史の前提が大きく変わることになる。

『新生命医学会』「生命・細胞・血球の起源③【7】細胞生物学の提唱【8】初期細胞新生説時代」より。

●封殺された細胞の自然発生説→細胞分裂説一色に
1838-1839年、ドイツのシュライデンやスクワンは生物体は細胞から構成されていると提唱、細胞学の基礎を樹立した。同時に、彼らは細胞新生説であった。ところが、細胞の自然発生説を極度に軽視する現在の生物学者や細胞学者はシュライデンたちの説を完全に棄却してしまった。

ウイルヒョウは1858年、シュライデンたちの細胞新生説を否定し、有糸分裂による細胞連続説をたて、今も信奉されている『細胞は細胞から』を主張した。
ワイズマンはウイルヒョウ流の細胞説を強調、遺伝と細胞の関連を説明。その生殖質連続説はその後における遺伝学説の主流となり現在に至っている。この説は遺伝学のみならず、生物学全般に対しても強い影響を与えた。
1900年 メンデルの法則が再発見され、モンゴメリーやボバリーはメンデルの法則を細胞分裂と細胞核の行動に結びつけ、ワイズマン流の染色体学説を正しいものとして説明した。

しかし、封殺された細胞新生説やバクテリアの自然発生説を再評価する必要がある。

現代の発生学は受精卵の卵分割、発生初期の細胞分裂像が生涯にわたって続くものと仮定し、それが真実の現象だと信じている。しかし、胎生6ケ月以降、さらに出生後は細胞分裂は全くなしに体細胞は増殖していることは常識になっている。

これからは生科学のあらゆる分科に正しい細胞概念を浸透させるため、また細胞を基礎とした生命現象の統一的把握のために、新しい細胞生物学の必要性を千島は提唱している。

新しい細胞生物学の樹立のために、細胞分裂に対する過大評価を早急に改める必要がある。それには先ず、定型的な細胞核が凡ての細胞に存在するという考えから脱却しなければならない。高等動物の細胞はともかくとして、バクテリア、単細胞藻類、酵母などに定型的な細胞核が存在するか否かについて、現在においても諸説が入り乱れている。千島喜久男も観察の結果として大きな疑問が残ると述べている。高等生物の細胞においても細胞発生の一定段階では核の存在が明確でない場合がある。さらに核分裂が細胞増殖の唯一の方法だという考えには大変な無理が伴っている。

正常状態では細胞分裂像が見られる機会が余りにも稀なため、種々の細胞分裂誘発剤(ナイトロジェンマスタード、カイネチン、その他)や物理的処置(放射線照射)によって、またカラー顕微鏡写真用の非常に強い光源の照射によって分裂像を観察できたと報告するものが多い。このような化学物質や放射線、光などが細胞分裂を誘発することは確かだが、生命体の自然状態における活動を研究するというのが本来の科学であって、人為的に自然の現象を従来の定説に当てはまるよう操作するのでは研究の意味が失せてしまう。これからの生物学は、いわゆる細胞分裂に対する固定観念を改め、根本的な再検討を加えなければ、一層の行き詰まりに至ることは必定である。

『新生命医学会』「生命・細胞・血球の起源④【9】細菌の起源」より。

●原生物界と前生物界
連続的である自然や生物を人為的に分類する無理がある。千島喜久男は定型的な細胞構造をもっていない、バクテリアや菌類、単細胞藻類などを一括して原生物界(動物界、植物界の共同祖先界)とする説をとる。そして、バクテリア界の下次段階として前生物界を設け、リケッチアやウイルスをこれに含めるのも一方法ではないかと提案している。

●細菌に細胞的構造はあるか?
生物の構成単位は細胞であるというのが現在の生物学における常識になっている。そして細菌は生物であるとされているが、生物だとしたら細菌は果たして細胞なのかという疑問が生じる。千島喜久男は細菌が定型的な細胞構造を持つという説には多くの疑問があるとしている。細胞がより高等な生物に分化するという可能性については認めている。

●細菌に核はあるのか?
その結論は出ていないが、千島喜久男は、次のように述べている。「細菌増殖は分裂によってのみ起きるというのは間違った考え。動植物細胞は凡てDNAを含む定型的な核ばかりではない。鳥類、哺乳類、両棲類、昆虫その他の動物でも、高等植物の細胞でも、いつも定型的(化学的にも形態的にも)な核をもつとは限らない。言い換えれば、生理的ウイルス→細菌→動植物細胞という過程をたどる核合成過程は、細胞の核質を形成する過程として動植物に共通の現象である」。

多くの研究者が動植物の細胞核に共通した核の存在を主張しているが、これについても千島喜久男は彼らが提示している図を見ても「いわゆる分散核の域を出ないものであり、また細胞分裂像だとしている図も両端染色性菌の範囲を出ないもので、当然に紡錘糸や染色体などは示されていない」としてその妥当性を否定している。

正統派の研究者たちは細菌の核は一般の細胞核と同様に分裂すると主張しているが、それはウイルヒョウの正統細胞学の原理を細菌の世界にまで適用しようとしているため。自然状態では決して細菌の細胞は分裂するものではないことを千島喜久男は確認している。細菌は有機物質から自然に発生し、また細菌はいつまでも細菌のまま存在するのではなく、融合と分化によってより高次の生物へと進化するのが通常の発育過程である。

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