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2019年06月30日

千島学説による生命・細胞・血球の起源2~赤血球と原生生物との類似性

●最初の生物について、千島喜久男は次のように述べている。

「生物の進化過程には履歴反復性がある。生命は歴史的所産であり、その歴史は反復して繰り返されるという重要な根本原理を基礎として研究するとき、生命の起源の探求に対しても大いに役立つものだと確信する」
『新生命医学会』「生命・細胞・血球の起源⑤【10】細胞の起源と微生物との共生現象」より

地球上に初めて出現した生物が、葉緑素をもち自ら養分を合成する植物だったか、或いは自然に合成される有機物が存在し、その上に発生してその有機物を摂取し成育する他養性のものであったかはまだ解明されていない。また、最初の生物がバクテリアであったか、それとも藻類であったかも未解明である。

千島喜久男は、物質代謝の方法については有機物上に藻類が発生したという他養説をとる。即ち、有機物を母体として細菌が自然発生するという説である。
また生命形態については藻類よりバクテリアが先に発生したというバクテリア説を支持している。藻類が現れる前に、肉眼では観察できなかったバクテリアがずっと先に発生していた筈だとしている。実際、藻類の化石中に細菌が含まれているという証拠があり、細菌が藻類よりも原始的で、細菌→藻類へ進化するという千島の主張が正しいということを暗示している。

●生殖細胞と原生生物との類似
生物体中で最も根本的な存在である赤血球と生殖細胞とが原生生物その他の下等生物に似た性格をもっている。

卵子はアメーバの休止期に、精子は鞭毛虫或いは帽針状腐敗菌に似た形をもっており、生殖細胞は分化した多細胞生物が再び原始の状態に戻ったものだと考えられる。生殖細胞と下等微生物との形態や習性に類似点があることは単なる偶然の一致ではない。生殖細胞は多細胞生物発生という原始状態に戻り、過去の歴史を反復する段階にあるものである。

●赤血球と原生生物との類似
現代の血液学では赤血球は最高度に分化した細胞だと定義づけしているが、千島喜久男は「赤血球は生殖細胞より一層に原始的で細胞以前のもの」と述べている。

赤血球がまだ原生生物的形質を多分にもっているという証拠は、カバースライド法で両棲類、鳥類や哺乳類などの生きた赤血球を観察することで理解できる。

    

【1】カエルの赤血球は一部が細長く延長し、その先端は鞭毛状になって緩やかな鞭毛運動を示す。(図1)
また赤血球の表面にはしばしば鞭毛状の突起を生ずる。
ニワトリやウサギ、ヒトといった哺乳類の赤血球を体外に取り出すと、ときに飴の金平糖のように変化する。(図2)
浸透圧が異なった状態が加わるとこのような変化は一層はっきりするが、全血液そのままでも往々にしてこのような現象を見ることができ。突起は鞭毛虫の鞭毛に相当するものだと千島は述べている。ミンティンは原生生物の繊毛は進化論的に鞭毛に先行するものだと述べているが、金平糖状赤血球の突起が鞭毛に該当し、アメーバ状運動をする白血球はその後から現れるという千島の観察はミンティンの説にも合致している。しかも、このような変化は血管内を流れている赤血球では生じない。血流の停止、或いは体外に取り出した時はじめて見られる現象である。しかし、オタマジャクシの尾部毛細管を生きたまま観察していると、赤血球が毛細管壁を通過する際に、鞭毛状の突起を出して管壁を穿孔し赤血球内容がこの小さな孔を通って血管外に出ると、それは白血球に変わるという不思議な現象を見せる。

赤血球が原生生物に似た行動を示すのは、赤血球が白血球に分化する途中及び白血球に変わってからである。

【2】各種動物の赤血球は始め円盤状だが血流が停止すると同時に球形に姿を変える。これは卵子やアメーバの保護嚢に似て一種の原始状態への復帰と考えられる。哺乳類の赤血球の球形化と金平糖状変化はあい伴って起きる。

【3】白血球が偽足を出してバクテリアその他を貪喰するかのような行動を示したり、アメーバ状の運動をすることは周知のことであるが、これは形態、機能ともにアメーバと同じだと言える。生体内のアメーバと言えるだろう。

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