2010年09月03日
集団を超えた、共認原理に基づく婚姻体制って過去にあるの?7~ビルマ「カチン族」に代表される【全面交換】~
当シリーズ6では、オーストラリア(アポリジニ)に代表される[親族の基本構造]交叉イトコ婚【限定交換】を紹介しました。
今回は、もう1つの[親族の基本構造]交叉イトコ婚【全面交換】を紹介したいと思います。
レヴィ=ストロースは『親族の基本構造』で
全面交換は、Aの男がBの女と結婚すれば、Bの男はCの女と結婚する、というように互酬関係が方向づけられた関係で(限定交換の対がA→BかつB→Aと二重の婚姻関係を含意するのに対し)、全面交換の対は相互的でなく一意的、つまり一方のセクションに属す男を他方のセクションに属す女に結びつけるのみである。
と述べています。
シリーズ6のとおり【限定交換】が「双分組織(2およびその倍数の婚姻セクション)」でしか成立しないのに対して、【全面交換】は「3分組織(3つのセクションまたは3の倍数のセクションからなる)」以上のどれだけの数のセクションでも含むことができるのが特徴です。
全面交換は
民族的・地理的にかけ離れた諸集団を、1つの同じ社会構造に統合する
ことができるのです。
例えば民族移動などによって縄張りを接する(出自や文化が異なる)集団が増えていく時に、この交換関係の中に組み込むことで、 『集団間に生じる同類(緊張)圧力を、友好的・秩序的に整除することが可能な【究極の贈与】の仕組みである』とも言えます。
↑図は「FOR BEGINERSシリーズ84レヴィ-ストロース」現代書館より拝借
【限定交換】では代が進むにつれ、より限定された単位に分割されていく傾向を孕むのに対し、【全面交換】では娘(息子)が一方向に循環するだけなので、比較的柔軟に組み替えられ、交換関係の輪を拡大しやすい(逆の減少方向にも対応可である)と言えます。
ポチッとしてから真髄をどうぞ!
- posted by nandeyanen at : 2010年09月03日 | コメント (3件)| トラックバック (0)