2020年07月17日
【世界の各部族の婚姻形態シリーズ】交叉婚・半集団婚を経て短偶婚に至った部族
短偶婚とは、短期で相手が変わる一対婚で女性の選択特権に基づくことが特徴です。
集団婚の風習も残してはいますが、個人的婚姻の様相出てきます。 リンクより
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■マサゲト人:カスピ海北カザフ高原
遊牧民。ヘロドトスの記録によると、各人は一人の妻を持つが、全ての妻は共有とある。第一の夫とその他の夫の区別がなされていたことを示し、個人的婚姻と集団的婚姻関係の併存状態。
※半集団婚のなかで、第一の妻というかたちで個人的婚姻が併存。短偶婚への過渡期と見られる。
■ナヤール族:インド
インド南端部、アラビア海岸地方に住む。
全ての少女は、名目上の夫によって金の板を首の回りにつけてもらう。婚姻儀式を終えると、誰とでも同衾することが許されており、普通数名の恋人を持つ。名目上の夫にはいかなる婚姻上の権利もない。
また女と複数の男たちの関係も、極めてルーズな束の間のものであり、同居も伴わず、父親としての義務も無視されている。
※娘一人に対して男複数の半集団婚姻的関係にあるが、名目上とは言え、1対1の婚姻関係が成立しており、短偶婚にかなり近い。男女関係の拘束力は極めて弱く、比較的短期で相手が変わっていく様子から、女の選択特権に基づく短偶婚の特徴が見て取れる。従って、半集団婚から短偶婚への移行期の婚姻形態と位置づけられる。
■ディエリ族:オーストラリア
親族関係による制限に従う(兄妹婚禁止?)以外は、自由に通婚できる。婚姻には、幼児婚約によって生じる個人的婚姻(一夫多妻が許されている)と集団婚的関係(男女共に数人の夫・妻を持つことができる)の2種類あるが、個人的婚姻が集団婚的関係より優先する。個人的婚姻を結んだ夫を持つ妻の集団婚的関係が成立するのは、夫の兄弟がヤモメになったとき、夫と同じ婚姻クラスに属する男が訪問したとき、妻の気に入った男に対して夫が承認を与えた場合で、夫の規制力が強い。
※個人的婚姻が集団的婚姻関係より優先されており、集団婚の風習も残してはいるが明らかに短偶婚に移行している。集団対集団の婚姻関係が、娘一人対男兄弟というかたちで解体されてゆき(半集団婚)、ここにおいてついに個対個の婚姻制度が成立する。夫の規制力が強いことから、男の主導権が強いと思われる。
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- posted by KIDA-G at : 2020年07月17日 | コメント (0件)| トラックバック (0)