2009年06月02日
共認機能による実現態を探る vol.1
共認機能ってなに
共認機能だけで、どんな事が実現できるの
真猿の段階で獲得した共認機能ですが、人類はその共認機能を下敷きにして、観念機能を生み出し、飛躍的に進化を遂げてきました。観念機能を持つのは人類だけですが、共認機能だけでもかなり高度な集団を構築できるんです。このシリーズでは、共認機能の可能性を探ってみたいと思います。
下の写真の、ヒト・マントヒヒ・ゲラダヒヒ、ここには一つの共通項があります。
なんだかわかりますか
生物史の中で、重層社会を実現し得たのは、この3種しかいないのです。
しかも、マントヒヒは【父系集団】による重層社会、ゲラダヒヒは【母系集団】による重層社会を構築しています。このマントヒヒとゲラダヒヒの重層社会を探ることは、同じ生息域に生存していた初期人類の集団形態及び、共認機能の進化を推測する上で、大きな鍵を握っていると思います。
今日は、ゲラダヒヒの母系集団による重層社会の共認世界を、覗いてみたいと思います。
ヒヒにとって、ボスの雄は、ユニットの中心的存在で、ユニットの統合と防衛において、大きな役割を果たしています。ボスがいなくなったとしたら大変です
同じ重層社会をもつ、マントヒヒ【父系】のユニットはボスが何らかの原因でいなくなれば、ユニットは崩壊し、雌はばらばらになってしまいます。しかし、ゲラダヒヒ【母系】のユニットは、雌どうしが緊密な社会関係をもち、雌だけでもよくまとまった集団をつくっているといわれています。
では、実際にボスがいなくなればユニットは、どのようになるのか
崩壊してしまうのだろうか
具体的に見ていくことで、共認機能によって作られた重層社会の仕組みを紹介したいと思います。今回は、『人類進化のかくれ里-ゲラダヒヒの社会-』河合雅雄著書より、紹介します。
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ハヤアラカ(ボスザル)は、雌8頭を擁し、その子たちを合わせると27頭にもなる大集団の領袖です。河合さんは、このハヤアラカを捕獲すると、ハヤアラカユニット(以後ハヤユニット)はどうなるのか
いう実験を試みます。
Q:ボスが突然捕獲されてしまったユニットは、果たしてどうなるのか?
(注:ワンメイルユニットで雌が8頭いるのは最大級のユニットです。ハヤアラカは、集団統合力の秀でたボスだといえます。)
捕獲は麻酔弓で行なわれました。矢が刺さったハヤアラカは、歯をむき出しにして悶えました。突然の事態に、ユニットの雌たちは戸惑い、大声をあげ騒ぎ出します。その声を聞いて、遊びに行っていた子どもたちも走って帰ってきました。ハヤアラカは突然捕獲され、連れさらわれてしまったのです。
ボスを失ったユニットに対して、雄達の動きは10分後に起こりました。雌たちの騒ぎを聞きつけ、アフェンチャという雄が、ユニットに接近してきたのです。そして、ユニットの雌にマウンティングを試みます。しかし雌は拒否。何度か試みる最中に、次なるアラットという雄が登場。ここで一匹の雌が、アラットにマウンティングを許したのです。これを見たアフェンチャは雌集団を離脱。その後、他の雌たちのアラットに対するプレゼンティングで、ものの30分たらずで、アラットユニットの誕生です。
★POINT
・ボスの不在はすぐに、周り(バンド内)にわかる。
・ボスは雌が選ぶ。雌はこれぞわが主と判断すると、自分から積極的にプレゼンティングし、降伏を示すと同時に性的に受け入れる。
・雌集団になった時点で雄グループが、ずっと追随していたが、雌たちは彼らには、一度もプレゼンティングをしていないので、雌が特定の雄を選別している事がわかる。
追記:実は、ハヤユニットの雌の一頭、ハナだけはアラットを嫌い、アラットが接近すると必ず逃げていたのですが、7日目には、ハナの方からプレゼンティングを繰り返し、これに対してアラットはマウンティングを行い、雌集団の全ての雌がアラットに収束する形になりました。共認機能によってなしえた母系の重層社会、そうした母系集団の雌とは、自分の好き嫌いよりも、雌集団の共認に従うのです。
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ボス交代のとき、全ての雌が発情して新しいボスと交尾するにいたるが、雌がどうして発情するか不思議です。プレゼンティングという性行動の基本形を、優位、劣位の関係の中で繰り返す事により、発情という生理的な状態を引き起こすのかもしれません。
新しい雄と雌が一体になって暮らしていく為には、性を媒介にした社会的統合が非常に重要になります。性行動を繰り返すことによって、雌雄の性関係の絆が強化される事になるのです。
ゲラダヒヒの場合、新しい雄がボスとして迎えられ、ユニットに定着するには、基本的に3つのプロセスが必要になります。
★PROCESS
①順位関係の形成
②性関係の確立
③毛づくろいによる親和関係の設定
という3段階を踏むのです。
今日はここまでです。
次回は、ハヤアラカを釈放です。ハヤアラカのユニットは、アラットに乗っ取られてしまいました。10日後、釈放されたハヤアラカは、急いで自分のユニットに戻っていきますが、・・・・・・。
そのとき凄い事が起こります。ハヤアラカの結末は如何に
To be continued.
- by yidaki
- at 00:10



comments
>共認機能によってなしえた母系の重層社会、そうした母系集団の雌とは、自分の好き嫌いよりも、雌集団の共認に従うのです。
!!
メスがボスを選ぶのにはおどろきました。そして、全てのメスが、メス仲間の評価にしたがうんですね~すごい。好き嫌いを超えてしまうんだ。
それにしても、ハヤアラカこんな実験しなかったらボスでいれたのに~かわいそうです。
>ちむにーさん
コメントありがとうございます。
ゲラダヒヒ(母系)を見ていくと、初期人類の家族形態・集団形態を、潜在思念のレベルで感じてしまいます。
奇しくも、重層社会を実現できたのは、同じ生息域に生存していた上記三種のみなんです。
枝分かれしたチンパンジーは実現できていません。
環境や地域特性により、上記三種の共認機能は進化したようです。
続きを楽しみにしてくださいね♪
チンパンジーではなく、ヒト・マントヒヒ・ゲラダヒヒだけが、重層社会を実現し得た、といのは興味深いですね。
なぜでしょうか?他のサルとの同類圧力の有無が、社会形態に影響しているのでは?ゲラダヒヒは近くに他のサルがいないようだし、人類はもっぱら自然外圧を対象に生き延びてきましたから。
ぜひ「環境や地域特性」の違いを掘りて、ヒト・マントヒヒ・ゲラダヒヒの共通点、相違点を掘り下げてもらえたら、と期待しています。
ゲダラヒヒシリーズ、楽しみにしています。
ボスの話より「重層社会」で盛り上がっていますが、何をもって重層社会と言うのかは慎重にしたほうがいいと思います。
特にヒトはいつから重層社会を形成したと言えるのか?
縄文時代でも怪しい気がします。弥生時代の部族連合はどうか(ただ時代がかなり新しい)。遊牧部族が史上初の重層社会では?となりそう。
そうするとヒヒ段階の重層社会って本当?という気もします。
>さいこうさん
コメントどうもです。
さいこうさんのおっしゃるように、重層社会成立過程を見ていくためには、同類圧力の有無、環境や地域特性の違いなど、この3者の相違点を整理していく必要がありそうです。
同じ重層社会でも、マントヒヒ(父系)・ゲラダヒヒ(母系)の相違点は何なのか?その辺りも興味のわくところです。
何か情報あれば、情報提供して頂けるとありがたいです。引き続き追求してみます。
>大杉さん
いつもありがとうございます。
>何をもって重層社会と言うのかは慎重にしたほうがいいと思います。
そうですね。今度、重層社会と単層社会についても整理した記事を書こうと思います。
>ヒトはいつから重層社会を形成したと言えるのか?
なるほど!重層社会の起源ですか!
私自身、漠然と重層社会の起源は、ヒトが200万年前に観念機能を獲得する前だと考えていました。
>遊牧部族が史上初の重層社会では?
ここも、あいまいには出来ない点ですね。
ゲラダヒヒは新しいシリーズとして、継続追求して行こうと思っているので、この論点も事象を整理して、記事にさせていただこうと思います。
新たな課題設定ありがとうございます。
なんだかワクワクしてきました。