2010年01月05日
遊牧部族の父系制社会から私有婚誕生までの歴史構造-4<遊牧部族の父系制転換~略奪闘争まで、集団の共認内容の変貌>
みなさん、こんにちは。
行き詰まりを見せる現在の婚姻制度=私有婚制度の成立構造を解明し、私有婚制度の本質とは何か?に迫るシリーズ『遊牧部族の父系制社会から私有婚誕生までの歴史構造』。今日は第4回をお届けします。
写真はコチラから
第1回、第2回で、母系制であった集団が、「遊牧」という生産様式故に人類史上はじめて母系制から父系制へと転換。安心基盤を失った女の不安が増大、それに応えるかたちで自集団の蓄財意識が強くなり、次第に私益的色彩が強くなってゆく流れを押えました。
第3回では、集団の「共認内容」によってはじめて本能に無い「同類殺し」が可能になることを押えました。
続いて、今回は遊牧部族が父系制へと転換し、略奪闘争(同類殺し)の引き金を引くまでの、集団の共認内容の変貌、その共認内容に迫ります。
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○集団私権意識=蓄財第一意識の登場
牧畜部族は人口の増大に伴って、男だけの小集団が遠征部隊として、遠方へと遊牧に乗り出すことになる。
しかし、そのままでは遠征集団に子どもが生まれない。加えて集団間の紐帯が失われてしまう。そのためやがて、男達の遠征小集団に娘が送り出されるようになった。こうして人類史上初の、(哺乳類では極めて例外的な)父系制が登場する。(と同時に、本家と遠征集団という多段階化された部族集団が登場する)
その結果生まれた時から一緒であると言う、母系制で確立されていた女達の絶対的な安心基盤は喪われ、女たちは(持参)財に収束し、出身集団や嫁ぎ先の集団に蓄財期待を強めていく。その結果集団全体が蓄財意識に染められてゆく。これが集団私権の登場である。
『集団私権の登場が私権社会への転換を生み出した。』
また、「遊牧」という過酷な生産様式では、主要な働き手は男。女たちが生産に携われる役割は少なく、役割非充足も高かったのだと思われます。
○力の原理の登場
各遠征集団が自集団の蓄財第一へと変貌すると、部族内の集団間に利害対立が生じ、部族集団の統合が困難になる。(同時に娘達は実家集団の利害を反映しているため、単位集団自体の統合も揺らぎ始める。)利害対立する各集団を統合するためには、遠征集団を押さえ込む力の基盤が必要になり、本家も力を蓄える(家畜を増やし成員を増やす)方向に動き出さざるを得なくなる。
このようにして、純粋な課題・役割の共認に基づく「共認原理」から、力によって統合する「力の原理」へ部族集団の統合原理は徐々に転換してゆく。
『集団私権の登場が私権社会への転換を生み出した。』
「遊牧生産」「父系制」という二つの要因が重なり、ついに遊牧部族は「共認原理」から「力の原理」へと統合原理を転換(チンパンジーの共認内容に逆戻り)します。第3回で扱ったように「力の原理」の共認は「同類殺し」へと繋がることになるのですが、人類の場合はさらにもう一つの共認内容が加わることで「略奪闘争」の引き金を引くことになります。
○正当化観念と略奪闘争の開始
このようにして部族全体が力の原理に転換し、蓄財(排他的占有)意識に染められていったという条件の下で、集団全体を統合するために、自部族を正当化する正当化観念が採用される(守護神信仰)。
この、観念によって自部族を徹底的に正当化し=特別視(他部族を劣等視)した事によって、他部族に対する攻撃性が異常に強くなり、それらの部族によって、最初の略奪闘争が引き起こされたのであろう。
このように遊牧部族は、立体集団、父系制、(集団)私権意識、力の原理、正当化観念という、後の私権社会を形成する基本要因を全て取り揃えていた点が極めて注目される。
『集団私権の登場が私権社会への転換を生み出した。』
「遊牧では、家畜の生存危機がそのまま部族生存の危機となります。故に、家畜の食料源となる草地や水場の確保が第一義課題となります。しかし、当時は草原自体が乾燥化により希少になっているため、その場所に集まってくる他部族と頻繁に玉突き衝突(=縄張り闘争)が起こることが容易に想像できます。」
そして、「この地は、我々に神が約束された土地だ」「彼らは野蛮だ、この土地を奪おうとするのは神への冒涜だ」などの徹底的な他集団の否定視により、ついに、「よそ者は殺せ!」という共認が形成され「略奪闘争」へと至ったのだ思われます。
◆今回のポイント
図解化するとこうなります。
「遊牧」という生産様式への転換、それ故の「父系制への転換」が起点となり、ついに人類史上初の「略奪闘争」の引き金が引かれます。そして掠奪闘争は、部族から部族へと玉突き的に拡がり、勝ち抜き戦を通じて、次第により強大な武装集団の下に統合されてゆくことになります。
遊牧部族の父系制を含め、これまでの婚姻規範は集団課題(みんな課題)でしたが、略奪闘争の拡大とともに本源集団がことごとく解体されると、集団課題としての婚姻規範もまた解体されていきます。そして、「私権意識」「力の原理」「正当化観念」の下、新たな婚姻規範が構築される・・・。
次回、いよいよ「私有婚」の登場です。略奪闘争の下、どのような経緯で「私有婚」が成立するのか?その歴史構造に迫ります。こうご期待!
- posted by sachiare at : 2010年01月05日 | コメント (4件)| トラックバック (0)
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comments
かつて農村では、男女の性充足を基盤として集団が統合されていましたが、その充足システム「夜這い」を破壊して行ったのは、私有制の進展、財産相続などである、という記事がありましたので、是非のぞいて見て下さい。
余談 「夜這い」
http://protophilosophy.noblog.net/blog/t/10590234.html
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