2010年09月30日
共同体の原基構造-2~極限時代の外圧状況
『共同体の原基構造』に迫るシリーズの2回目です。前回は、私権体制の崩壊⇒共同体の時代が到来しているという状況認識の下、シリーズの課題意識を整理しました。
共同体の歴史は古く、それは人類の誕生と同時に始まり、約500万年前~私権時代に転換する約6000年前まで、実に500万年に亘る共同体の歴史があります。
本ブログでは、この有史以前(=人類史の99%を占める)の期間こそ、共同体の原基構造を解明する鍵となると考えます!
★人類はどこに住んでいたのか?
下の写真は、イスラエルのタブン洞窟です。最下層は100万年前のホモエレクトスの遺跡が発見されており、それ以降4万年前のネアンデルタール人の遺跡まで、連綿と初期人類が住み続けた洞窟です。
【画像引用元】
人類は洞窟に住み続けていた!この事実について書かれた記事を紹介します。
★なぜ、人類は洞窟に住んでいたのか?
るいネット『洞窟と死肉あさりについて』より
人類500万年の歴史のうち大部分を洞窟に隠れ住んでいたのは、人類化石の発掘調査から明らかです。
人類のゆりかご、人類発祥の地とも呼ばれる南アフリカ北東部のスタークフォンテン渓谷と周辺地域からは、多数の人類化石が発見されているが、ここは石灰岩の洞窟地帯です。アウストラロピテクス・アフリカヌスの頭蓋骨など450万~250万年前の人類化石や330万年前に人類が居住していた洞窟、石や骨でできた道具が多数発掘されています。180万~100万年前のものと思われる火を使用した痕跡も見つかっています。
人類遺跡の宝庫とされている東アフリカの大地溝帯からも、数百万年前の最古の人類アウストラロピテクスから数万年前のより進化した人類まで多数の化石人類が発掘されているが、ここは渓谷の断崖から発見されており、必ずしも洞窟の跡をとどめていません。しかし、火山地帯であることから地形の変形は十分考えられます。
何より、この大地溝帯の北端にあたるアフリンの谷一帯で、約4万年以上の古さを示すネアンデルタール人の洞窟遺跡が7ヶ所、4~1万年前の後期旧石器時代人の洞窟遺跡が2ヶ所、約1万年前の中石器時代の洞窟遺跡が1ヶ所発見されていることから、移動もとである大地溝帯にいたそれ以前の人類が洞窟に住んでいたと想定することは、論理的に整合します。
しかも、このような洞窟地帯には連綿と人類が住みつき、中でも有名なイスラエルのタブン洞窟は、ホモ・エレクタスからネアンデルタール人まで数十万年にわたって利用されたことがわかっています。人類が隠れ住むのに最適な洞窟がいかに死命を決する砦だったかがわかると思います。
●イスラエル タブン洞窟
その他洞窟遺跡の事例は上げればキリがありませんが、そうでない事例もあります。例えばジャワ原人は洞窟ではなく、ケンデン丘陵周辺域とソロ川地域で発見されており、人類最古と騒がれている約700万年前の猿人は、アフリカ中部のチャド湖の湖岸付近で発見されています。しかし、このことが洞窟以外に住んでいたことにはなりません。河川の氾濫で流されたり、密猟途中で外敵に殺傷された等の可能性があるからです。
★洞窟に住んでいた事実から解かること!
重要なのは、2万~1万5000年前頃においてさえ洞窟に隠れ住んでいたという大量の遺跡事実です。この確かな事実から出発すれば(加えてそれ以前の洞窟遺跡の多さから)、それまでの劣る知識や道具では到底地上に出て移り住むことなどできないと考えるのは妥当ではないでしょうか。因みに、地上に移り住むことが可能になったのは、1万5000年前頃の弓矢の発明によって、外敵から防衛することが可能になったからです。
ところで、生きている動物が食べられるようになる、つまり洞窟から出陣して狩猟をするようになる時期ですが、170万年前の原人の段階からハンドアックス等の多様な石器や火を使って、死肉あさりと並んで行っていたとされています。ただ防衛が主目的で、本格的に狩猟目的に出て行ったのは、4~2万年前に殺傷能力に優れる尖頭器(槍・銛)、投槍器、投石器等が開発されて以降と想定されます(最古の洞窟壁画は3万2000年前)。
人類史の99%は、洞窟に住んでいた。むしろ、圧倒的な外圧状況故に洞窟に隠れ住むしかなかったという方が妥当であると言えます。この外圧状況の中で、共同体としての原基構造があると考えます。
次回は、その原基構造について、より詳しく解明していきたいと思います。
- posted by matuhide at : 2010年09月30日 | コメント (2件)| トラックバック (0)
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