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2010年12月11日

原始時代の社会期待(3)~縄文時代の精霊信仰

前回のエントリーでは、10/17『なんでや劇場』を基に社会共認の歴史を扱い、現在の状況認識を以下のように捉えました。
・近代社会は「豊かさ期待」という一つの社会意志によって突き動かされてきた。
・’70に貧困が消滅すると、豊かさを求める私権意識が衰弱し始め、40年を経た現在「豊かさ期待」に替わる「本源期待」が生起し、共同体の時代が到来した。

★本源期待の生起とは・・・?

%E7%B8%84%E6%96%87%E3%81%AE%E7%B2%BE%E9%9C%8A%E7%94%BB%E5%83%8F.jpg現代社会は、私権時代に作られた観念で覆われているため、本源期待の生起といっても、その中身がよくわかりません。
そこで今回のシリーズでは、私権時代以前の原始時代に遡って、時代検証をすることで「本源期待」の像を明確化し、共同体時代の指針を探っていきます。
今回は、日本の縄文時代にスポットをあて、縄文人の「本源期待」とはどのようなものだったのかを考えたいと思います。
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★縄文原理の概観

先ずは縄文時代を俯瞰して、縄文時代とはどのような時代であったのか。縄文原理を端的に示した記事を紹介したいと思います。

 『るいネット(縄文と日本人論をめぐって)』
①狩猟・漁・採集を生業の基本とした、自然の資源を極限まで利用する技術を発展させ、自然=人間循環系の文明原理を有していた。縄文人は自然のリズム、季節のリズムに歩調をあわせながら永続的、循環的に生きる組織化された生活様式の装置と制度系を持っていた(自然=人間共生系の装置と制度系)
②平等主義に立脚した社会制度を有していた。エジプトやメソポタミアのような巨大な王やアテネのような市民階級が出現しなかった。墓においてもその副葬品に大差はなく階級社会の装置を文明原理に取り入れない、何らかの独自の平等主義に立脚した社会制度があったものとみなされる。
生産物が貯蓄しやすく、このために容易に貧富の差や階級差が生じやすい穀物農業を受容することを回避する文明の装置と制度系を有していた。~縄文文明の環境(安田 喜憲著)
★縄文時代の自然信仰

縄文時代は、自然と歩調を合わせながら永続的・循環的な社会であったといわれています。では、そのような社会が可能だったのはなぜか。縄文人の自然信仰(=それは、現代日本人にも受け継がれている)を、探りたいと思います。

『るいネット(縄文時代の自然信仰)』
自然の恵みが豊かだった縄文時代、食料を確保する手段として、狩猟採集生産か漁猟採集生産を営んでいた。四季の変化もあり、多様な動植物が存在していた日本列島では、恵みをもたらす自然への感謝の気持ちが、精霊信仰→自然信仰へと発展していく。
各共同体ごとに恵みをもたらしてくれる自然への信仰が強まっていったが、”自然”というような抽象的な概念が登場することは無く、(精霊信仰から発展したことからも分かるように)非常に具体性を持ったもので、一つの山、一つの川、海のある部分、などへの信仰であった。例えば富士山の神や三輪山の神、玄界灘の海の神、住之江の海の神などのように、特定の場所の自然物に宿る神であった。
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このような極度な具体性が、縄文時代・日本の信仰の特徴で、中国大陸の「天」や西洋の「ゴッド」というような抽象的な信仰は生じなかった。抽象的な神は「頭の中」に存在するものであり、それはすなわち現実とは切り離され「持ち運びができる」ということである。一方で具体的な神とは、自然そのものに宿る神であり「持ち運びができるものではなかった」。また、様々な自然物に囲まれている縄文人にとっては、具体的な自然物一つ一つに宿っている神が無数に存在することになる。
「無数に存在する」「極度に具体的な」「移動しない自然神」への信仰が、縄文人の信仰形態であり、日本人の信仰の原点でもあるのだ。

上記のように縄文時代は、具体的自然物一つ一つに無数の精霊が宿っていると考えていたため、精霊に対する畏怖と感謝の思いから、自然(=精霊)との循環的・永続的な調和が可能であったのではないかと思います。
次回は、同じ縄文時代をテーマに、人と人の関係・集団と集団の関係を扱いたいと思います。

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