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2020年07月22日

殖産分断を引き起こした犯人は?

前回の記事では、母親の「勉強しなさい!」は子供の為ではなく、母親自身の子育て不安から発せられる言葉であること。そして、その母親の子育て不安は、母親の役割が子育てのみとなり、かつ母親一人に集中しているという、核家族の問題を述べました。今回は、核家族が何故生まれたか、その主軸にある「殖産分断」が何故起きたのかを記事にします。

 

現在は、仕事等の生産活動は「企業」出産や子育て生殖活動は「家庭」というように、生産と生殖は別々の集団が担っています。これを殖産分断と言います。現代は殖産分断が当たり前のように思ってしまいがちですが、生物界に殖産分断は見当たりません。人類史をみても殖産活動は同じ集団で行われるのが通常で、日本でも戦前までは殖産一体が過半です。つまり現代の殖産分断の状況は、人類史や生命原理に反した特殊事態である可能性が濃厚です。事実、生産圧力の無い家庭は、“外圧にもまれて成長する”という最も根本的な子育て機能を全面的に喪失しています。子ども達の生きる力が育まれないのも当然です。

何故、殖産分断は起きてしまったのでしょうか。

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日本で殖産分断が一般化・大衆化したのは都市労働者が生まれてきた戦後です。集団就職というかたちで、次男・三男坊が農村から都市へ移住し、サラリーマン家庭を築いていきます。現象的には、市場の拡大に伴って核家族のサラリーマン家庭が都市部で増大し、殖産分断へと繋がってきたように見えます。

しかし、農村から都市に移っても、企業内で子育てする道もあったはずです。企業が昔の村落共同体のように生殖活動も受け持つ存在になれば、婚姻も子育ても現在とは全く違ったカタチになったでしょう。しかし現実はそのようにならなかった。これは、殖産分断を引き起こした原因が市場拡大だけでは説明しきれない別の原因があるという事を示しています。

 

では、なぜ企業は生殖活動を受け持つ存在にならなかったのか。

真っ先に考えられるのが「企業内に女性が入ると生産性や戦力が落ちる」という企業側の論理です。企業側が女性や子供を受け入れず、その結果殖産分断が起きたのではないかという論理ですが、これは現在の状況を見れば事実ではないことは明らかです。企業だけでなく行政も国家も、女性が重要な役職に就くのは現在では当たり前で、企業は積極的に女性を受け入れてきたのが現実です。現在では企業内保育、育児支援など、積極的に子どもを企業内に受け入れる動きも見られます。つまり殖産分断を引き起こした原因は、企業の論理とは別にあるということです。

 

そこで、最も核心的な原因として考えられるのが性の論理です。性の論理は、男と女で違いますが、男の性=「女を囲い込みたい」ということが原因か、あるいは女の性=「働きたくない、楽をしたい」ということが原因か。

 

男の性or女の性、どちらが殖産分断を引き起こしたのか。

女の性から見ると、女性の根本部分には生物から連なる強者選択の本能があります。と同時に一匹の雄に留まらず、多様な雄を受け入れ続けることで優位な子孫を残す本能も備わっています。人類の場合は、子孫を残すためだけが性の目的ではなく、相手との深い充足を得る目的もあるため、長らく日本で続いてきた夜這い文化のように、多様な男と性関係を結ぶことで深い充足が得られるように女の性はできています。つまり女の性からみると、一人の夫と家のなかで一生閉じ籠るのは矛盾しており、殖産分断を女性が望んでいたと考えるのは無理があります。

 

一方で男の性はどうか。男の性の根本には闘争本能がありますが、私権時代は土地も財産も女でさえも私有物として私権の対象となり、私権(女)の獲得闘争に明け暮れることになります。すなわち私権時代の男の性とは、女の性を独占・支配する独占欲がその原動力にあります。私権時代の頂点には、例えば日本の中世~近世では将軍という存在がいます。将軍のお膝元には大奥という組織があり、最盛期は3千人もの女達がいます。そしてこのうち将軍と目通りが適う女達の役割は子育てや家事は全くなく、見事に性の相手のみとなっています。私権時代の男とは性を独占することこそ勝者の証であり、言い換えれば性を独占することしか頭になかったと言えるでしょう。

当然この時代、性を独占できる男はごく一握りで、被支配者は独占欲があろうと実現しません。しかし高度成長期のサラリーマンはどうでしょうか。雇われ人であるサラリーマンは現代の被支配者ともいえますが、市場が開かれたことで女を得られる可能性が開かれ、誰もが奥様を独占するため都会に出てあくせく働いてきました。金を稼ぐのも、マイホームに夢見るのも、最終目的は「女を独占する」ことであり、この時代のサラリーマンの原動力は独占欲に突き動かされてきたといっても過言ではないでしょう。

男の独占欲から見れば、自分の女に虫がつかないよう家に閉じ込め、家庭と企業は分断します。そして女房に対し貞操観念や不倫のタブー等の性規範や、女たるものは貞淑であり上品であり清楚であれという風潮を作り上げてきました。つまり、元々のテーマである【殖産分断を引き起こした犯人は男の独占欲】であると考えられます。

 

では男の独占欲はどのようにして解体されていくのでしょうか

男の独占欲のもとでは、上記のような女への性規範により、女が元々もっている性本能は抑圧され封鎖されていきます。この性を抑圧する男の独占欲に対する、女性の反乱、解放が現在に至るまで続く離婚、未婚の上昇という見方もできそうです。

もはや「彼女を独占したい」「嫁を独占したい」という男は時代遅れも甚だしく、独占すればするほど女は逃げていくというのは、逆らいようもない事実です。男がどのようにあがこうが、独占の性は女によって解体されていくでしょう。

男の独占から彼女も妻も解放し、皆の中で沢山の役割を担う女性になっていくと、元々持っていた女の性が解放されて自ずと輝いてきます。そうやって彼女、妻も心から愛おしくなるものです。

また女性も「独占されたい!」という気持ちがあるとすれば、それは元々の性本能から発せられたものではなく、存在不安から生じていることが多いです。独占関係のトキメキは一時の事。未来はありませんので、独占関係にしがみつくことなく、多様な男たち女たちのなかに飛び込むことをお勧めします。そのような女たちが増えてくれば、集団も社会も明るくなります。

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