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2008年09月06日

洞窟に隠れ住んでいた初期人類たち(1)~スタークフォンテン洞窟

足の指が拇指対向性でなくなり、サバンナを直立二足歩行をし、骨を主食とした初期人類の状況をさらに追求するためには、サバンナの状況や隠れ住んだ洞窟の状況や位置関係も抑えなければならないと思います。
『初期人類は骨を食べていた!vol.9(ヒトとサルの足の構造)』 yidakiさん

を受けて、初期人類の化石が発掘された西アフリカの洞窟について調べてみました。
site_dist.300a.jpg
今日紹介するのは、南アフリカ最大都市ヨハネスブルグから北西へ40kmほどの距離にあるスタークフォンテン洞窟(Sterkfontein Cave)です。
左のアフリカの地図上の「8」がスタークフォンテン洞窟の位置です。

この地域は、スタークフォンテン洞窟の他、スワートクランズ洞窟、クロムドライ洞窟などで人類化石が多数発掘されていて世界遺産にも登録されています。
では、高原サバンナにできた大規模な鍾乳洞の一つスタークフォンテン洞窟を紹介します。
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サバンナと洞窟のイメージが結びつかなかったのですが、写真を見ると一目瞭然でした。スタークフォンテン洞窟の入り口は、サバンナの中に唐突にポッカリ口をあけています。
317678386_fc240a036f.jpgスタークフォンテン洞窟の周囲の風景
317678003_4c64160279.jpgスタークフォンテン洞窟の入り口の一つ
317678530_b814675237.jpgスタークフォンテン洞窟の地表部(発掘エリア)

この地域は穏やかに波打つサバンナ丘陵で、南アフリカの広い範囲に分布する石灰岩に似たマルマニ・ドロマイト岩が浸食されてできた同じような大規模な鍾乳洞が無数に点在しています。スタークフォンテン洞窟も海抜1450~1480mの高原サバンナにできた大規模な鍾乳洞の一つです。
スタークフォンテン洞窟への入口は縦割れしたような裂け目状で決して広くなく、入口というより岩盤が裂けてできた「深い穴」と思うほどである。しかし比較的暗い照明の中を急な階段で徐々に地下30~35mほど下って行くと、洞窟内部は数万年単位で生成される垂れ下がる大型の鍾乳石や地面から上へ延びる円錐形の石筍や石柱が、至る所に確認できる非常に複雑で、「地面の下にこれほどのものが・・・」と、予想を遥かに越えた広い鍾乳洞となっている。
洞窟内部は複雑な空間が左右上下に立体的につなぎ合っている状態で、全体の平面投影の視野では、丁度床に落とした卵が割れてビチャーと飛び散ったような形状(イラスト図)と言えば分かり易いだろう。「ゾウが生息できる」という意味の「エレファント・チャンバー」などと名称された主要な空洞部分を含め、洞窟内の平面的な幅は東西約200m 南北で約80mほど、そのほかに入口や数か所の細い空洞が横方向へ30m~40mづつ突飛に枝別れして延びているという構造である。鍾乳洞は南北より東西方向に長いのは、水に浸食され易い石灰岩やマルマニ・ドロマイト岩のレイヤー層の成り立ちからであろう。
クリスタルの結晶が大胆に露出した岩壁面や最高23mと言われる見上げるほどの割れ目のような高い天井部分など、非常に入り組んだ鍾乳洞内を歩き、大人一人が屈んでやっと通過できる縦横幅1mもない狭い空洞を通過するなどして、右へ左へ上へ下へと順路を進むと、さらに別な大きな空洞へと続く。最深度の場所には透明な水を湛え、小さな生物も確認できる奥行30mほどの地底湖となる。足場と照明に若干難があるが、見事な「地下世界」を披露する洞窟内部は、どこでも圧倒的なスケール感に満ちている。
ig-sterkfontein.gif
スタークフォンテン洞窟内部アウトライン/概略の平面投影視野              
『世界紀行・心に刻む春かなる「時」』さんのHPから引用

洞窟の内部の様子はこのようになっています。
SterkfonteinCaves3.jpg洞窟内部(「Wikipedia」より)
SterkfonteinCaves2.jpg洞窟内の地底湖(「Wikipedia」より)
スタークフォンテン洞窟での初期人類の化石人骨の発掘の歴史
1896年:金鉱山の探索者によって発見
1924年:内部の調査で小さな頭蓋骨が発掘
1925年:『ネイチャー』誌上にて、これを アウストラロピテクス・アフリカヌス
の名で発表
1947年 ほぼ完全なアウストラロピテクス・アフリカヌス(愛称「Mrs. Ples」)
の頭蓋骨化石が発掘
1997年 「Little Foot」と令名されたほぼ完全な化石足骨が発掘
788px-Mrs._Ples.jpgミセス・プレス(「ウィキペディア」より)
スタークフォンテン洞窟で発掘されたアウストラロピテクス・アフリカヌスの年代については諸説あるようで、古地磁気層序に基づく年代推定からは 300 万年前以前に遡るとの考えもあるようです。一方、洞窟堆積物の古地磁気層序の信頼性は低いことを考えると260~280 万年前の推定がより妥当とも言われています。(参考:中新世末から鮮新世の化石人類-最近の動向-2002/諏訪元)
調べてみた限りでは、スタークフォンテン洞窟での初期人類の生活痕跡までは分からなかったのですが、この洞窟に隠れ住み外敵の目を盗んで食料となる骨を取りにいっていたのかも知れません。スタークフォンテンの周囲の洞窟でも多くの化石人骨が発見されています。初期人類の生活痕跡が残されている洞窟もあるので引き続き調べて見ます。
(さいこう@kichomさんの代打)

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