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2009年05月14日

三ルート渡来説

モンゴロイドの成立北方起源説に続いて、三ルート渡来説を紹介します。
ところで、人類学における遺伝学的な研究は、1960年代のタンパク質の多型解析などの生化学的な分析からスタートし、70年代後半からDNAレベルでの解析に移行しました。構造が比較的単純で塩基の数も遺伝子数も少ないミトコンドリアDNA解析が80年代からはじまり、それよりかなり長大なY染色体の研究は遅れ、ようやく世界各地の人が持っている変異の全貌が明らかになりつつあるところです。
ここではもっとも古典的なタンパク質の多型解析の成果から紹介します。
尾本恵市著『分子人類学と日本人の起源』(1996年)より。
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世界の集団の系統樹 
古典的遺伝マーカーの23種類の遺伝子座のデータを用いて、世界の25集団の間の遺伝的系統関係をあらわした類縁図。図版は邪馬台国の会よりお借りしました。
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アジア・アメリカ・太平洋の集団、つまりモンゴロイドは今まで均質なグループでアジアの一地域から拡がったという考え方が有力だったが、遺伝子データではおなじ東アジアでも北方と南方の集団はかなりはっきりと区別される。もともと中国人は遺伝的に均質な集団ではなく、おそらく長江あたりを境に北と南との集団がわかれていた長い時期があるのではないか。
ただし近い関係にあるのは、約1万年前に始まる新石器時代以降、北アジア系の集団が南に拡がり混血が起きたからと考えられる。北アジア人の拡散は、東南アジアの人々を太平洋に押し出す原因にもなったであろう。
北の原モンゴロイド
原モンゴロイドにすでに北と南の二つの系統があった。アジアにヒトがやってくる経路には、西アジアからインドを東南アジアにいたるものと、中央アジアからヒマラヤ山脈の北をまわって中国にいたるものとがあり得る。根井正利氏の拡散経路参照。
今まで、アジア・太平洋地域で3万年またはそれ以上前の新人の化石が、主にインドネシアやオーストラリアでのみ発見されていたことが南方ルートを支持していたが、最近、シベリアで4万年前の地層から新人の石器が続々と発見されていることは、北回りルートでやってきた系統もあることを示唆している。
新モンゴロイド
marita1%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%BF%E9%81%BA%E8%B7%A1%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%83%8F.jpg約2万年前のマリタ遺跡(バイカル湖の西、イルクーツク市)から出土したマンモスの牙で作った女性像(右図 比較文化史からお借りしました)の顔は、平たく新モンゴロイド的といわれる。同じ約2万年前のアフォントヴァ・ガラ遺跡から出土した顔面骨の一部は、鼻根部の隆起が低く、顔は平坦であったといわれる。
もしこれらの観察が正しいなら、約2万年前のシベリアにすでに新モンゴロイドが分布していたことになり、上洞人に代表される原モンゴロイド的な集団と併存していたことになる。あるいは後者はもともとシベリアにも拡がっていたが、約2万年前の氷河期の最盛期には寒冷適応をとげた前者にとって代わられ、北東アジアでは比較的南部で暖かかった現在の中国や日本列島に残ったのかもしれない。
原日本人の由来
日本列島にやってきて縄文人の祖先となった後期旧石器時代人はどのような人たちだったのだろうか。約2万年前には海水面の低下により日本列島は数ヶ所で大陸と陸続きか、またはそれに近い状況にあった。その頃のヒトの渡来ルートとして可能性の高いものは次の三つ。
(1)シベリアからサハリンを経て北海道にいたる
(2)中国北部から朝鮮半島を経て日本へ
(3)中国東部から琉球を経て九州へ
細石刃、土器、竪穴住居は北方からのヒトの移住を示している。問題は、この事実が形態人類学の考え方とうまくあわないこと。つまり、もし縄文人の先祖が北方からやってきた後期旧石器時代人だとすると、かれらは新モンゴロイド的な集団であるはずで、縄文人の原モンゴロイド的な形態とは矛盾する。しかし、北東アジアの後期旧石器時代人にもいわゆる原モンゴロイドがいたと考えればよい。
北からの拡散
約1万年前に始まる新石器時代になると、新モンゴロイドの集団は人口増加を遂げ、シベリアから南へ、またおそらくアメリカへと急激な民族大移動が始まったと考えられる。現在の中国にあたる地域では、このような拡散する新モンゴロイドの集団によって原モンゴロイドは吸収され、痕跡がなくなったではないか。中国では新石器時代のおびただしい数の人骨が発掘されているが、これらのなかに縄文人に似た原モンゴロイド的なものは見られないという。
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後期旧石器時代の大陸にいたと思われる原モンゴロイの発掘成果が待たれます。
次回から、もっともデータの豊富なミトコンドリアDNAの解析成果をみたいと思います。Y染色体との突合せも楽しみです。

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comments

「日本人の共認内容と変遷」は、面白そうですね。
以前から、日本人は世界の民族と何が違うのか、それは何故かを是非とも知りたいを思っていました。
例えば
多くの民族では、「物作り」を継続していると、早く作れてお金になるために、手の抜き方を考えてたくさん作るや、どの様により高く売るかという質も低下に繋がりかねない発想をしだす。
日本人は、金儲けを差し置いて、より質の高い「物作り」を極め出すそうです。
確かに日本は、剣道、柔道、茶道、華道など直ぐに「道」を極めたがります。
このような、目の前の課題を追求し続けるという文化の、源泉も知りたいところです。

  • アンニョン
  • 2009年8月13日 18:42

言葉(言語)は、集団内の最も基底的な共認ツールですね。
世界では様々な言語が用いられていますが、それによって民族性の違いが明確にできれば面白いと思います。
続編を期待しています。

  • 緑一色
  • 2009年8月13日 22:52

すごく次を、期待してしまうプロローグですね。
『縄文的精神風土』=本源的で柔軟、勤勉で生産性が高い等、他の民族にない強い本源的共認性は、日本人として感じるところがあります。
その(能)力の源泉はどこにあるのか?非常に興味を惹かれます。
続きを楽しみにしています。

  • マニマック
  • 2009年8月16日 13:53

アンニョンさん、緑一色さん、マニマックさん、コメントありがとうございます。
苦戦すると思いますが、皆さんの応援と期待を力に、シリーズ化がんばってみます。

  • nandeyanen
  • 2009年8月16日 23:54

共同体社会と人類婚姻史 | 日本人の言葉と共認内容~プロローグ

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