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2010年01月19日

遊牧部族の父系制社会から私有婚誕生までの歴史構造-6<市場化に伴う婚姻制度の変化>

昨今、婚姻に伴う選択的夫婦別姓の議論が話題を呼んでいます。こうしたことが議論になるのも、現在の婚姻制度が揺らぎ、行き詰まりをみせていることの現象事例であると考えます。
そこで本ブログでは、 「行き詰まりを見せる現在の婚姻制度=私有婚制度の成立構造を解明し、私有婚制度の本質とは何か?」をシリーズで考えています。
前回は、古代イラン高原で始まった略奪闘争から私有家族が成立し、それを背景に土地が家族単位で私有されていく構造を展開しました。
今回は、日本における土地と集団・婚姻の関係に着目し、中世から近世・近代にかけて、婚姻制度がどの変化していったかを追求してみたいと思います。
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班田収受法による土地調査(周南市のHPからお借りしましたリンク
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●土地と集団・婚姻について考えるにあたり、冒頭でも触れた、婚姻に伴う『姓』について考えてみたいと思います。
そもそも『姓』とは何なのか? 『名字』とも言いますし、名前を書く欄は『氏名』が一般的です。
これらの意味にふれた記事を紹介します。

るいネット『市場社会では、氏名の意味が希薄化する』よりリンク
荘園制度によって所有した土地に名をつけ名田といいました。氏から分かれて独立すると、所有地の字名を家名とするようになります。集団を表す氏、職制や身分を表す姓、所有権を表す名字は、当時の社会統合のありようを反映しているとも、個々人の意識を統合しているとも言えるのではないかと思います。名前は、古くは規範意識や期待の中身に直結し、氏姓とは集団や社会の統合と不可分な関係にあったのだと思われます。
しかし、市場社会にいたって、集団がことごとく解体されてきたことは、氏における集団性の意味を失わせてしまいました。(核家族化はその血縁集団という意味を矮小化させ、個人主義はこれを正当化しました。)生産と生殖の分離は姓から役割の意味を失わせました。貧困の消滅以降、私権規範の解体は名前から規範意識と期待さえ失わせてしまいました。

上記の記事では、『氏姓』が集団や社会の統合と不可分な関係にあり、市場社会に伴う集団・規範の解体によって、『氏姓』の意味が希薄化することが述べられています。
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明治時代の土地調査(周南市のHPからお借りしましたリンク
●次に、市場化に伴う土地と集団・婚姻の関係に着目した記事を紹介します。

るいネット『私権統合軸の変化が、家父長制→個人婚への流れを促した』よりリンク
日本が近代的な市場経済に入る以前、江戸時代中期までの日本の経済は基本的に米を単位とした農本社会です。当然ながら生産基盤は「土地」であり、私権闘争とは「いかに多くの土地を私有するか」という側面がありました。
しかし江戸時代後期以降、社会が安定するに従い市場経済が台頭します。江戸時代は封建制度と身分制の中で顕在化はしませんでしたが、明治以降、私権闘争の中身は「土地」から「金」に一気に移り変わります。そしてこの「土地」から「金」という私権統合軸の変化は、実はそのまま婚姻形態の変化に結びついています。
「土地」は世代を越えて相続して行く必要があり、必然的に「家」という単位が私権獲得の基本単位となります。ところが市場社会とは全てに置いて「金」が必要となる社会であり、「家」や「土地」よりも個人の生産と消費が前提となります。むしろ「家」という単位から「個人」という単位に解体したほうが消費の裾野がひろがり市場にとっては都合がよい。
社会の単位が「家」から「個人」へと移り変わった背景には、私権をいかに獲得し、市場をいかに拡大させるかという点に依拠しています。

市場化に伴う土地→金という私権統合軸の変化により、婚姻集団の単位が家→個人に解体・移行したことが解ります。こうした出来上がったのが、現在の『家庭』だと言えます。
次回改めて、家庭の意味・構造について、ふれてみたいと思います。

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