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2020年03月01日

サル・人類の変異を促進するジャンクDNA(ALU配列)

ヒトをはじめとする霊長類のDNAにはALU配列と呼ばれる文字列(ジャンクDNA)が何十万と繰り返し存在する。
ALU配列は真猿以降急増したらしいが、その役割は未だ解明されていない。

以下、2004/6/9付け朝日新聞「動くDNA 進化のカギ」の要約。

DNAの変化を起こす一つに「動くDNA」がある。
遺伝情報を記す文字にあたる4種類の塩基が複数つながったDNAの断片が、ある場所から別の場所に移って遺伝子の働きを変えたり、入った場所で複製を繰り返したりする。
動くDNAが進化に及ぼす役割は大きい。塩基1個が突然、変化する。DNA断片が入ったり欠落したりして遺伝情報が少し変わる。動くDNAには、いったんRNAに変わるレトロトランスポゾンと、DNAのままのトランスポゾンがある。哺乳類ではレトロトランスポゾンが大半を占める。ALU配列もレトロトランスポゾンの一つである。

レトロトランスポゾンの多くはDNAを複製する機能を持ち、ほかのDNAのコピーを作る。動くときに周囲のDNAを一緒に連れて行くこともある。こうして生物の遺伝情報が多様化される。 動くDNAは重要な遺伝子の働きを止めてしまう場所に飛び込めば病気を引き起こす。一方で遺伝子の働きを多様に変化させ、進化の原動力にもなっている。
東京工業大学岡田典弘教授らの研究では、レトロトランスポゾンは、哺乳類が登場した2.5億年前ごろに爆発的に増加。ALUは人やチンパンジーといった真猿類が、メガネザルなど原猿類から分かれた後の約4千万年前に急増したとのこと。

日本を中心とする国際チームは、人とチンパンジーで、たんぱく質の8割の構成が異なっていたと発表。対応する染色体1本を解析して比べた所、DNA断片が欠落したり、挿入したりした結果、異なる部分が6万8千ヶ所もあった。調べたDNAはゲノムの約1%で、塩基数はチンパンジーでは3280万個。4割以上が動くDNA由来とみられ、人での比率と似通っていたが、ALU配列は人の方が8倍多かった。

ジャンクDNAは単なるがらくたでは無かった?!~ヒトゲノムに散在するAlu配列~

ヒトゲノムには、容姿や体質など、ヒトとヒトとの違いに関わる様々な遺伝情報が刻み込まれている。約30億塩基対からなるヒトゲノムでは、タンパク質に翻訳される遺伝子のエキソン領域は2 %程度で、その他の領域は、イントロンなどの遺伝子間領域と反復配列で構成されている。反復配列の中でも、レトロトランスポゾンであるSINEの一種として知られるAlu配列は、霊長類に特異的な反復配列で、ヒトゲノムの約10%を占める。その数は100万コピーとも言われているが、Alu配列の機能や生物学的な意義は明らかになっていない。ゲノム解析技術の進歩に伴い、数千人規模の個人ゲノム解読や、反復配列領域の個人間比較ができるようになってきた。これらの解析から、Alu配列の位置や分布に個人差があることや、Alu配列がプロモーター領域やエキソンまたはイントロンに挿入されることで、近傍に位置する遺伝子の機能を変化させ、病気を引き起こすことなどが明らかになってきている。かつてジャンクDNAと呼ばれ、これまで重視されなかったAluを含む反復配列が、ヒトの表現型に及ぼす影響や、ヒトゲノムにおける反復配列の生物学的意義の解明が進められている。
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レトロトランスポゾンは、哺乳類が登場した2.5億年前ごろに爆発的に増加。ALUは人やチンパンジーといった真猿類が、メガネザルなど原猿類から分かれた後の約4千万年前に急増したとのこと。

レトロトランスポゾンは変異の促進機能をもっていると考えられる。その一つであるALU配列は共認動物(サル・人類)の変異を促す役割を果たしていると考えられる。サル・人類においてはALU配列が、遺伝子の働きを変異させ、それが生み出すアミノ酸・たんぱく質が他のたんぱく質に多様に連鎖し、進化を加速したのではないだろうか。
例えば、類人猿では、体重6kgのテナガザル→80kgのオランウータンや150kgのゴリラに急速に大型化したのも、脳容量400CCのオランウータン→1000CCのジャワ原人に200~100万年で進化したのも、現生人類の言語機能や道具が7万年前に突如進化したのも、レトロトランスポゾンALU配列の成せる業ではないだろうか。人類の足の指が先祖返りして枝を掴むことが出来なくなったのも、レトロトランスポゾンALU配列などが、足の指が曲がる遺伝子の働きを止めてしまった結果なのかもしれない。

あるいは、共認機能・観念機能(の進化を促した外圧)が、ALU配列という変異促進機能を発達させたとも考えられる。

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2020年02月27日

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小した2

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小したという説が、複数の識者から指摘されている。

【2】1万年前以降、人類の家畜化によって低脳化したという説
『大摩邇(おおまに)』「人類の第2次低脳化現象(1)人類は過去に一度“低脳化”している」の要約。

人類は今、“第2次低脳化”の過程に入っている。人類は“総体”としては今リアルタイムで “より低脳化” しつつある。“第2次”と言っているのは、第1次”低脳化がすでにあったからである。

実は「人類の低脳化」についての指摘は10年以上前から出てきている。それらはほとんどが、人類が農耕生活に移行した頃に起きたというものである。

過去20万年間のヨーロッパ、アフリカ、アジアで発見された人類の骨と頭蓋骨の大きさと構造に重点を置いた調査が行われた。

その研究チームによると、最大のホモサピエンスが生きていたのは、今から2万年~3万年前であり、その種族の体重は79.83kg~85.28kgで、脳の容積は1,500 ccであった。ところが、1万年ほど前に人類の体格と脳の大きさが小さくなり始めた。

        2年~3万年前       西暦 2000- 2010

体重      79.83~85.28 kg     69.85~79.83 kg

脳の容積比率   1,500 cc          1,350 cc

翻って、2000年~2010年の10年間における人類の体重は69.85kg~79.83kg、脳の容積は1,350cc。2万年~3万年前の最大級の人類の脳の1,500ccと比べると、およそ10%の減少。

20万年近くほぼ変わらなかった人類が 急に小型化したのはなぜか?研究者たちは、9,000年前の、狩猟採集生活→農耕生活への移行に関係があるとみている。

 牛でも、羊でも、ブタでも、ヤギでも、馬でも、そして犬でも猫でも、家畜化した動物は一般的に脳が縮小し、“低脳化”していることは否定しがたい。いちばんの理由は、家畜化された動物は人間に保護されることによって、他の肉食獣(オオカミ、トラ、ライオン、クマなど)によって襲われて食べられる危険が劇的に低下したために、警戒心が不要になり、脳の負担が大きく軽減したためと考えられる。

人間が特に知能の高い個体を淘汰(排除)することによって、家畜の“低脳化”を加速してきたのである。

 人間も“家畜化”されたために脳が縮小化した。かつて人間を襲っていた大型肉食獣は、弓矢や槍といった飛び道具を集団で使いだした人間から逃げるようになり、形勢が逆転した。人間は農耕生活に移行したために定期的な安定した収穫により “食べる心配”が劇的に少なくなった。

 狩猟採集時代は家族や部族のメンバーは、食糧の供給、危険の回避といった生存の為の知識や技能を全員が身に付けなければならなかった。石器の作り方、弓矢の使い方、獣の習性や追い方や避け方、食べられる植物や木の実の見分け方、薬草の見つけ方や使い方、生活圏についての地理や植物相、動物相についての知識などなどの大自然でのサバイバルのためのありとあらゆる知識を身につけなくてはならなかった。

 しかし、農耕時代に入ると、まず食料の供給が安定した。農耕は基本的には単純な作業の繰り返しなので、頭を集中的に使わなければならない切迫した状況に直面する場面がずっと少なくなった。

穀物主体の食糧供給体制によって、飢えるリスクは大幅に減り、人口も増えたが、構造的で慢性的な人類の栄養失調の時代が始まり、発育不全や病気のため身体も小柄になった。人口密度の高い集団生活によって、疫病が繰り返し発生した。農耕によって食糧の貯えができ、飢えのリスクから解放されることによって、脳に対する“淘汰圧”が低下し、人間の一人ひとりの“生物学的な脳”という器官は退化した。

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2020年02月27日

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小した1

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小したという説が、複数の研究者から指摘されている。

【1】島泰三氏「ヒトー異端のサルの1億年」(島泰三氏)の第9章「最後の漁労採集民 日本人」

 ホモ・サピエンスの社会は、その発生のところから少しゆがんでいて、採集を過剰に行って大型魚貝や獣たちも絶滅させる傾向を持っていた。南アフリカの海岸では、カサガイの直径を測るだけでホモ・サピエンスが出現したかどうか推定できる。ホモ・サピエンスが採集を始めると、カサガイの直径は小さくなる。 

農耕社会はこのひずみを決定的に大きくした。漁労・狩猟と採集の社会では、身の回りの生き物についての長いリストこそ、生きのびるためにどうしても必要な知識だったのだが、農耕社会ではそのリストは決定的に短くなった。

 農耕社会以来、ホモ・サピエンスは栽培植物と飼育動物の知識を第一とし、それ以外の周囲の生命をすべて害虫獣と雑草として区分した。有用かどうかを基準とする世界観は、人の評価に拡張され、人を有用か無用かで分別するようになった。こうして、ホモ・サピエンスは「現代人」となり、みずからの回りの世界を単一の心の色に染めはじめたのである。それは、「現代人」の魂をやせ細らせる道だった。このやせ細った魂たちが、現代人の社会構造である階級社会を形成し、「文明化」を起こした。そこでは、支配と被支配を永続化しようとする悪辣なたくらみが日常となり、富の蓄積とその分配の不公平、富の防衛のための戦争と憎悪の拡大が毎日の仕事となり、現代人たちのお互いの関係は悪意に満ちたものとなった。 

現代人が「魂を細らせた」とは、形容や修飾ではない。現代人の脳容量は、ネアンデルタールはもとより、彼らと同世代のホモ・サピエンスよりも明らかに減少している。 

穀物は、もともと類人猿の食物リストの中にはない。イネ科植物の種子である穀物は、小鳥やネズミの主食で、類人猿は利用してこなかった。 

小麦や穀物には問題がある。穀物は脳で直接使える脂肪を含んでいない。小麦のタンパク質の一種グルテンは未消化の残存物が消化管を損ない、正常な脳機能を阻害することがある。食物に対する不耐性を調べるELISAテスト(酵素リンク免疫吸着分析評価)では、グルテン不耐性の現代人は珍しいことではない。さらに、穀粒に含まれるフィチン酸塩は、カルシウム、亜鉛、鉄などと結びついて不溶性複合体を作り、それら必須ミネラルの体内への吸収を阻害し、心筋梗塞などを引き起こす要因となる。

 ホモ・サピエンスが魂を細らせたのは、農耕・牧畜による心に映る環境世界の単純化と穀物食による脳障害のためだったかもしれない。

 日本列島住民は、近代後期に至るまで米を主食とすることがなかったので、穀物のフィチン酸塩に由来する疾患から逃れることができたし、その主食として魚介類、海藻類が豊富だったので、脳の正常な発達に必要な必須脂肪酸やエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキエン酸(DHA)、アラキドン酸(AA)を食物から摂ることができた。このために、日本人の脳容量はヨーロッパ人男性(1400cc)のような減少を示すことなく、現代人の中では例外的にホモ・サピエンス最大時の脳容量(男性1500cc)を維持しているのだろう。

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2020年02月23日

7万年前に起きた現生人類の脳の突然変異説2~前頭前野統合と言葉の再帰構造を習得できるのは幼児期まで

7万年前に突然、人類が現代のような想像力と言語能力を獲得した要因は何か?

『WIRED』「人類の文化的躍進のきっかけは、7万年前に起きた脳の突然変異だった」2019.09.01の要約。

●言葉の再帰構造を習得できるのは子どものうちだけ
誰でも生涯をかけて語彙を増やし文法を習得することができるが、メンタル統合能力だけは、5歳くらいまでの幼児期に再帰構造のある言葉に触れておかないと、大人になってもこれを習得することはできないという。

13歳までいっさい言語に触れることのなかった少女をはじめとした10人の子どもたちは、何年もの言語トレーニングを経たあとでも、英語の「in」「on」「at」などの空間的前置詞、動詞の時制、および文章の再帰構造を完全に理解することはなかった。また、途上国で、再帰構造のある手話に触れる機会のなかった聴覚障害のある子どもたちも同様で、あとになって補聴器をつけたり徹底した言語療法を受けたりしても、「緑の箱を青い箱に入れる」などの簡単な指示をこなすことができないという。

再帰言語とメンタル統合能力は切っても切り離せない関係にある。こういった指示を頭のなかで想像して理解するには、5歳までに再帰言語に晒されることで鍛えられるメンタル統合能力が不可欠である。
そして、再帰言語とメンタル統合能力が、現生人類の文化的創造力に大きく貢献したと、ヴィシェドスキーは言う。

●そして、これが人類全体に広まるには、2つの障壁がある。
【1】メンタル統合能力を習得できる期間が長くなければならない。現在の子どもは5歳前後まで言葉の再帰構造の習得が可能だが、これがいまだ言葉があやふやな2歳までとなると無理がある。このことから、脳の前頭前皮質の成熟を遅らせる突然変異があったという。

【2】脳の構造がメンタル統合に適していたとしても、親が子どもに再帰言語を教えられなければ、子どもは習得できない。従って、前頭前皮質の突然変異を持ったふたり以上の小さな子どもたちが、互いに会話しながら長い時間を過ごし、再帰言語を発明したはずである。

このような新しい再帰言語の自然発生は、1970~80年代にニカラグアの聴覚障害がある子どもたちのなかで実際に観察されている。ニカラグア手話は、かつて家庭内で必要最低限のジェスチャーでしかコミュニケーションがとれなかった子どもたちが施設に集められ、そのなかで独自に生み出された言語だ。新たに発明された手話は年少者へと受け継がれて年月とともに複雑化し、ついには数世代で再帰構造を含む洗練された言語へと進化を遂げたのである。

ヴィシェドスキーは進化の数理モデルによって、前頭前皮質遅延の突然変異とメンタル統合獲得が、ほぼ同時期に起こり、人類はほんの数世代でこのふたつの障壁を乗り越えたとしている。

前頭前野の突然変異をもつ子どもたちは、互いに会話し合うなかで空間的前置詞や言語の再帰要素を発明し、再帰的な会話によって発達するメンタル統合能力を手に入れた。これにより、記憶にある対象を組み合わせてまったく新しい何かを脳で想像できるようになった。また、子孫に再帰構造のある言葉を教えたはずである。こうして、7万年前にホモサピエンスはメンタル統合と再帰言語を獲得したと、ヴィシェドスキーは結論づけている。
「メンタル統合のプロセスで可能となった脳内で対象物の素早い並置ができる新たな能力は技術進歩の急激な加速をもたらした。どんな計画でも頭のなかでシミュレートする能力と、それらを仲間に伝達するという能力を備えた人間は、一気に支配的な種になる準備が整った」

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2020年02月23日

7万年前に起きた現生人類の脳の突然変異説1~前頭前野統合と言葉の再帰構造

洞窟壁画や道具の発達といった人類の文化的・技術的進化をもたらしたのは、7万年前の脳の突然変異だったとする説が提起されている。

『WIRED』「人類の文化的躍進のきっかけは、7万年前に起きた脳の突然変異だった」2019.09.01の要約。

60万年前には現代のような音声器官が備わっていたとされている。また、チンパンジーの音声器官に20~100の異なる発声があることから、人類の祖先が主要なコミュニケーションに使用していた単語の数は、現在とさほど変わらなかったと考えられている。
にもかかわらず、洞窟壁画、住居の建設、副葬品を伴う埋葬、骨製の針等の道具の専門化など、現生人類の文化的創造性を示すものは、7万年前よりも以前には発見されていない。

7万年前に突然、人類が現代のような想像力と言語能力を獲得したのはなぜか?

ボストン大学の神経学者アンドレイ・ヴィシェドスキー博士は、それを脳の前頭前野の発達を遅らせる突然変異だとする。
ヒトの前頭前野は霊長類のなかでも極めて発達が遅く、20代半ばから30歳くらいまで発達し続ける。ヴィシェドスキーは、前頭前野の脳障害や脳の成長過程で直面する言語的理解の発達を挙げ、前頭前野による知覚世界と内なる思考の統合が想像力獲得に不可欠だったとしている。

 ●外側前頭前野と言語の関係
ヴィシェドスキーによると、脳の外側前頭前野には「記憶にあるもの」と単語や文法を統合し、まったく新しいものを頭のなかで想像することを可能にする機能がある。

外側前頭前野に損傷がある場合、人は物と物の関係や、相対性を表す文章が理解できなくなるという。例えば「犬は賢い」という単純な文章は理解できても、「犬は猫よりも賢い」となると、どちらが賢いのかわからなくなる。「円の上に三角を描く」「春は夏の前に来る」なども、物事の上下関係や前後関係の理解がなくなってしまう。

このように、記憶のなかの複数の単語を意味のあるメンタルイメージとして合成するプロセスは、「前頭前野統合」または「メンタル統合」と呼ばれている。

 例えば、『犬がわたしの友達を噛んだ』『わたしの友達が犬を噛んだ』という2つの文がある。
使われている単語と文法がまったく同じ場合、単語か文法かのどちらかを使用して、意味の違いを区別することは不可能である。“心の眼”で「犬」と「友達」の関係をイメージできたとき、これらの文章は初めて特定の意味をもつ。「メンタル統合」とは、複数の単語とそれらの関係を脳内で統合し、想像することを可能にするプロセスなのである。

 ●メンタル統合能力の重要性
文章のなかでも「入れ子構造(または再帰構造)」になっているものの理解には、メンタル統合能力が不可欠である。
言葉の再帰構造が理解できれば、例えば「父がかつて溺愛していた猫」→「母は『父がかつて溺愛していた猫』にそっくりな猫を拾った」「『母は“父がかつて溺愛していた猫”にそっくりな猫を拾った』と兄が言っていた」といった具合に、次々に文をつなげてイメージを膨らませることが可能になる。

単語の柔軟な組み合わせと入れ子構造は、すべてのヒト言語に特徴的な機能であると、ヴィシェドスキーは言う。
しかし、複数の単語が複雑に組み合わさった入れ子構造の文章が理解できるかどうかは、受け手の前頭前野外側での統合能力にかかっている。

そして、それを可能にするメンタル統合能力の発達には、非常に重要な時期がある。それは5歳までの幼児期である。

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2020年02月20日

現生人類よりもネアンデルタール人は小脳が小さく、後頭葉が大きい。

●2018年に慶応大学荻原教授、名古屋大学田邊教授を中心とする研究グループが、数理工学的手法によって旧人ネアンデルタール人と新人クロマニヨン人(ホモ・サピエンス)の化石頭骨内の脳の形態を復元したと発表。
「脳の形態復元により、根案であるタール人のほうがホモ・サピエンスより小脳が小さいことを発見~絶滅の背景に脳の機能差が関係か?~」
その骨子は次の通り。
「脳全体のサイズには大きな違いはないが、ネアンデルタール人の小脳は、当時のホモ・サピエンス(クロマニヨン人)よりも小さい。
ネアンデルタール人の方が後頭葉が大きい一方で、違いが予想された前頭葉については、ネアンデルタール人もクロマニヨン人も差がなかった。
現代人の小脳の大きさと様々な認知課題成績の関係を調べた所、小脳の全脳に対する相対的な脳容量比が大きいほど、言語生成や理解、作業記憶や認知的柔軟性など、高度な認知的・社会的能力も高いという関係がある。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの小脳の違いが、両者の命運を分けたと考えられる。」

 ●人類の言語機能進化は、小脳の発達による所が大きいことが明らかになっている。
『脳の方程式 ぷらす・あるふぁ』(中田力著 紀伊国屋書店)に、鳥類の歌う機能と対比しながら人類の言語機能を司る脳の仕組みを論じた一節がある。

その論点は、
【1】鳥類には知性(観念機能や共認機能)はないが、言語機能(聞いて真似て発声する機能)は持っている。このことは言語機能(聞いて真似して発声する機能)は観念機能とは独立して存在し得る本能機能であることを示唆している。

【2】人類も鳥類も、運動機能を司る小脳の進化によって、言語機能を進化させた。人類の脳が相対量として最も増加させた脳は小脳であり(絶対量としては前頭葉である)、鳥の脳でその中心を占める脳もまた、小脳である。

【3】人類も鳥類も言語機能に優位半球がある(左脳優位になる)。

【4】言語(発声)機能に使われる筋肉(球筋)は、もともと呼吸や食物摂取をはじめとする基本的な生命維持に必要な筋肉である。一般の筋肉は右側の筋肉は左脳、左側の筋肉は右脳に支配されているが、この球筋は左右両脳の支配を受ける。これは、片側の脳に障害が起こっても、生命維持に不可欠な球筋が麻痺しないためである。


【5】ところが、言語機能の場合だけ、右脳の支配を抑制制御する仕組みを脳は作り上げた。これが言語機能における優位半球(左脳優位)である。

以下、その引用。
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脳科学の立場から興味深いことは、カナリヤが歌を歌うために用いる脳に優位があり、その内容が学習によることである。カナリヤは人間の言語同様に、片側の脳を優位に使って歌を歌い、父親から最初の歌を習う。

ここに、ヒトの言語が生まれてきた秘密を解く鍵が隠されている。
脳の機能画像で確認されたことの一つが、言語と音楽とは、少なくともヒトの脳にとっては、ほとんど同一の機能であること。
ここから、言語機能の発生にとって、高い知能が必須でなかったことがわかる。
オウムも九官鳥もカラスも、人間の真似をしているだけではあるが、言葉を話す。ヒトの言語が鳥の「オウム返し」の言語と違うところは、高度の知性にもとづいていることである。鳥は言語機能を獲得したものの、高い知性を獲得しなかったために、あまり知性の高くない言語しか持っていない。

ヒトも鳥も小脳の機能を顕著に進化させることで、運動機能の飛躍的進化を果たした。事実、ヒトの脳が相対量として最も増加させた脳は小脳であり(絶対量としては前頭葉である)、鳥の脳でその中心を占める脳もまた、小脳である。
言語機能は運動系の進化から、それも、小脳の進化から生まれてきたと考えられる。
音による意志伝達の方法論を既に獲得していた哺乳類であるヒトの祖先は、高度化した声を出す運動機能を用いて、音による意志伝達のための機能をも精密化することに成功する。ここに言語が生まれることとなった。
言語機能にとって小脳が重要な役割を果たすことは、自閉症の研究によって知られていた。言葉を発しない子供たちに共通の因子は、小脳の未成熟度であった。
鳥類は小脳の進化による運動機能の精密化を飛行という形で成し遂げた。中には、その能力を発声の運動機能に応用する種が生まれ、音楽機能を獲得したのである。しかし、鳥類では、高度な知能を保証する脳はなく、その結果、歌を歌う能力と、オウム返しの言語能力しか獲得できなかった。

歌を歌う鳥はその音楽機能に片側の脳を優位に使う。ヒトが言語機能に優位半球を持つこととまったく同じである。
ヒトの脳が持つ左脳と右脳との機能乖離はヒトの脳が持つ最大の特徴とされるが、歌を歌う鳥は同じような機能乖離を獲得している。人類と鳥類というかけ離れた進化の道を歩んだ種が、音楽機能と言語機能という基本的に同一の脳機能を誕生させるに至って、優位半球という極端に特殊な機能形態をも共有することになったのである。
これは、言語機能の基本構造が調音器官の精度の高い運動機能として登場する時に、優位半球を持つことが必須であったことを意味する。
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● ネアンデルタール人の方が大きい後頭葉については以下の通り。ウィキペデイア「後頭葉」

後頭葉は4つの大脳葉の中で最も小さく、頭蓋内で最も後方に位置する。後頭葉は大脳と小脳の間を仕切る硬膜である小脳テントに接している。
後頭葉は視覚や色彩の認識をつかさどる機能を持っている。網膜からの感覚刺激は視神経を通って視床の外側膝状体に入り、そこから大脳半球内部の視放線を通って後頭葉の一次視覚野に送られる。
後頭葉後部の皮質の神経細胞は、網膜上に映る視空間が再現されるように配列している。網膜が強いパターン刺激にさらされると、それと同じパターンが皮質上に応答することが、脳機能イメージングで明らかにされている。もし一方の後頭葉が傷害されると、どちらの目で見ても視界が左右の半分だけ(傷害された側と反対の側が)欠損してしまう同名半盲という症状が起きる。また後頭葉は、聴覚にも関与していることが示されている。

ということは、ネアンデルタール人は現生人類よりも視覚は発達していたが、言語機能(聞いて真似して発声する機能)は未発達であったということになる。

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2020年02月20日

原始人類の道具の進化~4.5万年前までは現生人類も旧人も原人も、同じ原始的な石器を使っていた?4.5万年前から現生人類が急進化?

『宇宙スープ』「ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの石器の変遷」の要約。

人類の石器時代は、旧石器時代(前期・中期・後期)/中石器時代/新石器時代に分かれる。

 ネアンデルタール人が棲息していたのは40万~3万年前。中期旧石器時代から後期旧石器時代の初めに当たる。この時期、ネアンデルタール人やホモ・サピエンスが使っていた石器は、荒々しいハンドアックス、そして道具としては一段階進歩を遂げた剥片石器である。

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ところが、後期旧石器時代にさしかかる4.5万年前より以前の遺跡には、剥片石器よりも洗練された石器は出土しない。つまり、4.5万年前以前には、ホモ・サピエンスもネアンデルタール人もデニソワ人もホモ・エレクトスも、原始的な技術力しか持っていなかった。

ところが、約4.5万年前あたりから、ホモ・サピエンスが所有する石器だけが急激に洗練され始める。以下のような多様な石器が次々とあらわれ、用途が分化してゆく。

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 時系列でまとめると次のようになる。

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ホモ・サピエンスがホモ・エレクトスから進化したのは約20万年前。解剖学的に現在の人類と変わらないホモ・サピエンスは、登場以来少なくとも15万年ほど、原始的な石器をつくり続けた。

ネアンデルタール人とホモ・サピエンスに言葉の質の違いがあったとするなら、その石器にもその違いが反映されているはずだが、ホモ・サピエンス登場から15万年間も道具に違いが見られないということは、同じレベルの言語能力だったと考えるしかない。ネアンデルタール人がホモサピエンスよりも劣っていたと考えることはできない。

 では、4.5万年前に何が起こったのか?

 ①脳容量の違いは20万年前から現在に至るまで生まれていない。(むしろ脳容量は現代までの間小さくなっている)

 ②言語を司る遺伝子FOXP2はネアンデルタール人も持っている。
FOXP2とは言語能力を司るとされている遺伝子。イギリスに住むある家系の数十人が、3世代にも渡って、うまく言葉を話せない先天性の障害をもっていた。彼らの遺伝子には第7染色体に突然変異が見られることが判明。この研究を契機として言語を司る遺伝子FOXP2の存在が明らかになった。
ネアンデルタール人ゲノムの解読の結果、ネアンデルタール人がFOXP2遺伝子を持っていたことが明らかになっている。

2015年NHKスペシャル「生命大躍進」では、FOXP2遺伝子の近くで、ネアンデルタール人ゲノムに変異が見つかったので、これが原因でホモ・サピエンスほどの言語能力がなかったのではないか、という見解。だとすれば、4.5万年前ホモ・サピエンスにだけその部分に突然変異がおこり、一瞬でグループ内に広がったということになる。

③ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは交雑していたことも判明している。その結果は、「現生人類ゲノムの約1-4%がネアンデルタール人由来」である。重要なのは「ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人との間にできた子どもを育てた」という厳然たる事実である。ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は協力して子どもを育てた可能性すらある。だとしたら、ネアンデルタール人がしゃべらなかったということがありえるだろうか?

 ④ネアンデルタール人はホモ・サピエンスの文化を真似た。
後期旧石器時代になって、シャテルペロン文化とよばれる文明が発達する。この文明を発展させた者が誰なのか長年議論されたが、ネアンデルタール人の化石といっしょに遺跡が出土したことで確定的になった。シャテルペロン文化は、ネアンデルタール人が発展させたものであり、かつてのネアンデルタール人にはつくれなかったはずの、高度な石器類をもつ。ネアンデルタール人はホモ・サピエンスの文化を真似たと考えるしかない。
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石器の他にも、5万年前頃から現生人類が飛躍的に知能進化したとされる傍証がある。
5万年前の海洋技術、4.2万年前貝製の釣り針、3.5万年前の精巧な骨角器、3.2万年前ショーヴェ洞窟壁画等
また、人類が著しく言語を発達させたのも5万年前とされている。「人類は5万年前頃に言語を著しく発達させた!?」

5万~4.5万年前に現生人類に何かが起こった可能性はある。

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2020年02月18日

アフリカ人にもネアンデルタール人DNA。定説が覆る。

ヨーロッパ人とアジア人のゲノムの約2%はネアンデルタール人に由来する。一方、これまでアフリカ人は、この交雑の証拠をほぼ持たないされ、それが人類のアフリカ単一起源説を補強していた。
しかし、ナショナルジオグラフィックの最新記事によると、アフリカ人にもネアンデルタール人由来のDNAがあることが判明し、これまでの定説が大きく覆っている。

以下、(リンク)より。

1月30日付けで学術誌「セル」に発表された論文は、驚くべき事実を明らかにした。現代のアフリカ人が持つネアンデルタール人由来のDNAは、従来考えられていたよりも多いことがわかったのだ。さらに、ヨーロッパ人が持つネアンデルタール人由来のDNAも、これまで考えられていたより多いことが明らかになった。
論文著者である米プリンストン大学の遺伝学者ジョシュア・エイキー氏は当初、結果を信じられなかった。「そんなはずはないと思ったのです」と氏は振り返る。しかし、1年半にわたる厳密な検証の末、氏らは自分たちの正しさを確信するようになった。

現代人とネアンデルタール人の交雑を追跡する従来のモデルでは、ネアンデルタール人などのDNAを持っていないと考えられるグループのゲノムを参照集団として利用してきた。参照集団に選ばれるのはたいていアフリカ人だった。「この仮定は妥当ではありませんでした」と米ウィスコンシン大学マディソン校の古人類学者ジョン・ホークス氏は言う。アフリカ系の人々もネアンデルタール人由来のDNAを持つ可能性があるのに、この方法で分析を行うと、それが見えなくなってしまうからだ。

そこでエイキー氏らは、大量のデータセットを使って、ゲノム中の特定の部位がネアンデルタール人から受け継がれている確率とそうでない確率を調べた。彼らは「千人ゲノムプロジェクト」の一環として集められた世界各地の2504人(東アジア人、ヨーロッパ人、南アジア人、アメリカ人、主に北部のアフリカ人)のゲノムを使い、自分たちの手法をテストした。続いて、このDNAをネアンデルタール人のゲノムと比較した。

研究の結果、アフリカ人のゲノムのうち約1700万塩基対は、ネアンデルタール人に由来することが明らかになった。しかもその一部は、ネアンデルタール人が直接アフリカに渡ったというよりも、ヨーロッパからアフリカに戻って来た現生人類がもたらしたようだ。現生人類の初期の移動については、「アフリカを出たら二度と戻らなかったという説があります」とエイキー氏は言う。しかし今回の結果や近年の研究からは、その説が正しくなかったことが浮き彫りになる。「橋は一方通行ではなかったのです」

「パズルのすき間を埋める非常に良いピースです」とドイツのマックス・プランク進化人類学研究所の計算生物学者ジャネット・ケルソー氏は話す。「きわめて複雑な全体像が見えてきました。遺伝子の流れは1つではなく、人類の移動も1回きりではありません。数多くの接触があったのです」 しかし、人類の起源の複雑さを解明するには、その曲がりくねった道を解きほぐす手法を開発しなければならない。

今回の研究には、シベリアの洞窟で発見されたネアンデルタール人のゲノムが使われている。だが彼らは、私たちがDNAを受け継いだネアンデルタール人とは別の集団と考えられている。エイキー氏によると、新しい分析法はこうした集団の差を検出できるほど精度が高いわけではないため、わずかに異なるDNAが含まれている可能性はあると言う。今回の研究は、近年行われている他の遺伝子分析と同様、ヒト族の間で常に交雑と移動が起きていたことを示しており、人類史の物語を絶えず評価し直す必要があることを示唆している。

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2020年02月18日

母系社会シリーズ~ミナンカバウ部族~

母系社会シリーズ、今回はインドネシア西スマトラ山岳部のミナン地方に暮らす、ミナンカバウ部族の母系社会についてリンクより紹介します。

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ミナンカバウ人は母系社会という世界でも特異な社会形態で知られている。
母系社会の基本は氏族の系譜を母である女性を通して辿ることである。母系社会では氏族の共有財産は女が引き継ぐ。田畑、家屋の財産は母から娘に相続さる。牛の形をした民族色豊かなルマ・ガダンという伝統家屋も母から娘へ代々引き継がれる。
夫である男(スマンド)には相続権は一切なく、男自身の財産も姉妹の娘に相続される。男が氏族の財産に対して行うことは姉妹に代り財産の管理を行うことである。ミナンの諺では「スマンドは水牛の尾にとまっている虻か、切株の上の灰のようなもの」といわれる。

結婚は妻問婚が原則である。妻問婚とは夜だけ妻の所へ訪れるもので昼は別の所で生活する。伝統家屋には娘の部屋はあるが、成人の男子の居場所はない。成人になった男は昼は生家の田畑で働き、夜はアダット・ハウスという集会場かモスクにたむろする。結婚した男は、夜、寝るためにだけ妻の家に通う。

家を取り仕切る必要な男手は夫ではなくて妻の兄弟である。男は自分の子供ではなく、姉妹の子供の扶養義務がある。子供にとって母の兄弟である伯父ママックは父よりと親しい関係になる。これが母系社会の仕組みである。

母系社会とは男が虐待された社会のように見える。しかし母系社会は女権社会ではない。長老、大家族長、スク(氏族)の長の政治権力は男性にある。政治権力を有する男性は家長である女性の兄弟である。いわば政治は男、経済は女の分業体制である。繰り返すと男は財産の管理者であるが、所有者にはなれない。

結婚についても例えばコタ・ガダン出身の女性はコタ・ガダンの男性としか結婚できない。これに対して男性にはそのような制約はない。財産を相続できない男はその替わり自由である。
財産を相続する女に個人的な自由はない。

ミナンカバウの母系社会とはいわば女性は田畑や家屋という財産に縛り付けられていることである。母系社会のこれらの実態はむしろ女性差別でないかと教育を受けたミナン人の女性が伝統社会に呪縛されることの不条理を訴えている。
しかしながら近代社会の発展によりミナン人が異郷に家庭を持つようになった。異郷ではスマンドの存在が大きくなり、1974年の婚姻法の影響もあり、異郷のミナン人の母系社会は崩壊しつつある。

最後に母親を軽んじるとどんなことになるかというミナンカバウの民話を記しておく。マリン・クンダンは故郷を離れて異国の地で金持ちの娘と結婚する。帰郷した際に母親があまりにみすぼらしかったため知らないふりをした。母親に呪いをかけられマリン・クンダンは石になった。ミナンカバウ人の諺によれば「天国は母の足の裏にある」そうだ。
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・夫である男には相続権は一切ない
・母系社会は女権社会ではない~
長老、大家族長、スク(氏族)の長の政治権力は男性にある。
・男は財産の管理者であるが、所有者にはなれない。
・財産を相続する女に個人的な自由はない。
・ミナンカバウ人の諺によれば「天国は母の足の裏にある」

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2020年02月16日

原始人類の道具の進化 セム系部族の石器等

●中東(西アジア)の石器の進化
『セム系部族社会の形成~ユーフラテス河中流域ビシュリ山系の総合研究』が詳しい。

中東において国家を形成したセム系遊牧民の原郷と考えられているのが、北メソポタミア山麓地帯南方のビシュリ山系。
セム系部族の石器が画像データで一覧化されている。1970年代のイラク国立考古学博物館展示物とのこと。
↓下記リンク【1】~【3】をクリックして参照ください。

【1】「旧石器時代(前期・中期・後期)」

【2】「続旧石器時代~無土器新石器時代」

【3】「新石器時代~金石併用時代」

シュメール以前のサマッラ期(7500~6500年前)には母神像が多数出土。ウバイド期(7500~5500年前)は女神像が多数出土。
この時期まではセム族も母系制(母権制)だったと考えられる。

ウルク期(6000~5100年前)以降は母神像・女神像がなくなり、少数の女性裸像のみ。この頃(5500年前頃?)に父系制へ転換したと考えられる。

 

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