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2019年08月06日

【定説】哺乳類だけが赤血球に細胞核がない理由

●現在の鳥類・魚類・爬虫類・両生類の赤血球にはすべて核があるが、脊椎動物の中で赤血球に核がないのは、哺乳類だけである。その理由として定説では、効率よく酸素運搬するためとされている。

3 億年前、両生類から進化した有羊膜類が哺乳類を含む単弓類と、爬虫類・鳥類を含む双弓類にわかれた。恐竜は双弓類に分類され、 赤血球に核があったとされている。
では哺乳類は、なぜ赤血球の核を捨ててしまったのか。その理由は未解明だが、考えられる理由は次の3点で、それによって組織全体に効率のよい酸素の運搬を行うことができるとされている。
① 核をなくすことで容積が増し、細胞内に酸素と結合するヘモグロビンをより多く含むことができる。
② 赤血球の特徴的な円盤状の形をとることで体積当りの表面積が大きくなり効率的なガス交換が行える。
③ 円盤状になることによって、微細な毛細血管もスムーズに通過できる。
東邦大学医療センター佐倉病院「気軽に読むサイエンスの話題⑤赤血球ヘモグロビンの進化」

生物進化の途上では、赤血球に先行してヘモグロビンが登場する。酸素運搬に必要な分子の登場は細菌にまで溯る。チューブワーム(羽織虫)の巨大ヘモグロビンは体液中に拡散している。チューブワームは熱水噴出孔に棲息しており,多様な細菌とともに硫黄からエネルギー産生を行っている。生物進化の中でヘモグロビンの登場に比べて赤血球が登場するのはかなり遅く、脊椎動物以降の動物である。ヘモグロビンを体液中に拡散させておくのではなく,1個の細胞に入れる,つまり赤血球を分化させたことは,体内への酸素運搬効率を飛躍的に高めたと考えられる。

●中生代における哺乳類と恐竜類の進化

中生代とは2回の大量絶滅、約2.5億年前の大絶滅から約6550万年前の大絶滅までを言う。古生代は高い酸素濃度だったが、中生代の15%以下の低酸素環境下で、哺乳類と恐竜類は同時に進化したと考えられている。一部の恐竜は現代の鳥類と同じように気嚢システムを持っていたと考えられている。また、化石から有核の赤血球と思われる構造物が証明されているが、血液を循環していた赤血球の核の有無は不明である。獣脚類から鳥類が進化したと考えられていることから、恐竜類も有核の赤血球であった可能性が高い。一方、哺乳類は、腹式呼吸をしていたと考えられるが、中生代の哺乳類の赤血球が現代の哺乳類と同じように無核であったかどうか、また、いつ無核になったかは不明である。
「赤芽球の脱核:その仕組みと生物学的意義の考察(日本生化学会 布村 渉)」

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2019年08月06日

覆る人類の起源(2) ホモ・サピエンスはユーラシア大陸で誕生した可能性が高い

1980年代まで、人類の歴史については「多地域進化説」と「アフリカ起源説」の2つの説が対立していた。
「多地域進化説」では、180万年ほど前にユーラシアに拡散したホモ・エレクトス(原人)が各地で進化し、アフリカ、ヨーロッパ、アジアの異なる地域で並行的にサピエンスに進化したとする。それに対して「アフリカ起源説」では、サピエンスの祖先はアフリカで誕生し、その後、ユーラリア大陸に広がっていったとされた。

しかし1980年代後半、遺伝学者が多様な民族のミトコンドリアDNAを解析して母系を辿り、すべてのサンプルがアフリカにいた1人の女性から分岐していることを明らかにした。いわゆる「ミトコンドリア・イブ説」で、約16万年(±4万年)に生存したとされる。この発見によってアフリカ起源説に軍配が上がったのだが、これはサピエンスが10~20万年前のアフリカで誕生したということではない。

その後2010年代に入り、古人類を含めた全ゲノム解析が進み、ネアンデルタール人の系統とサピエンスの系統が分岐したのは約77万~55万年前へと大きく遡ることになる。サピエンスの起源は、従来の説より50万年も古くなったのだ。

ここで、従来の人類学では、人類はアフリカで誕生し、約180万年前にホモ・エレクトス(原人)がユーラシア大陸に進出した後も、ネアンデルタール人の祖先やサピエンスなど、さまざまな人類がアフリカで誕生しては繰り返し「出アフリカ」したことになっている。

★だがなぜ、新しい人類はアフリカでしか生まれないのか? 
ユーラシア大陸にも180万年前から多くの人類が暮らしていたのだから、そこで進化したと考えることもできるのではないか。

人類学者のデヴィット・ライクは古代人のDNA解析にもとづいて、ユーラシアに進出したホモ・エレクトスから超旧人類が分岐し、さらにサピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人と分岐していったのではないかと考える。デニソワ人は東ユーラシアから南ユーラシアに広がり、ネアンデルタール人はヨーロッパを中心に西ユーラシアに分布した。

★だとしたら、サピエンスはどこにいたのか?
ライクの説によると、サピエンスは脆弱な人類で、ネアンデルタール人に圧迫されて中東の一部に押し込められていた。その後、ネアンデルタール人がさらに中東まで進出したことで、約30万年前には北アフリカや東アフリカまで撤退せざるを得なくなった。これが、モロッコでサピエンスの痕跡が発見された理由だ。

ところが5万年ほど前に、そのサピエンスが「出アフリカ」を敢行し、こんどはネアンデルタール人やデニソワ人などを「絶滅」させながらユーラシアじゅうに広がっていく。このときネアンデルタール人は中東におり、サピエンスと交雑した。このように考えると、アフリカ系にネアンデルタール人のDNAがなく、東アジア系がヨーロッパ系と同程度にネアンデルタール人と交雑していることが説明できる。ネアンデルタール人の遺跡がヨーロッパで多数見つかるのは、サピエンスと遭遇したのち、彼らがユーラシア大陸の西の端に追い詰められていったからだろう。

中東でネアンデルタール人と交雑したサピエンスの一部は東に向かい、北ユーラシアでデニソワ人と、南ユーラシアでアウストラロ・デニソワ人と遭遇して交雑した。その後、彼らはベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へ、海を越えてオーストラリア大陸へ、そして千島列島から北海道、本州へと渡り縄文人の先祖になった。

【参考】橘玲・著『もっと言ってはいけない』

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2019年08月01日

明治維新政府による試験制度=エリート教育が日本の国家を衰退させた原点

★日本の官僚制度は明治以降にどのように導入されたのか?  で官僚制度までの成り立ちを見てきましたが、もう少し詳しく見ていきます。
最初は、各藩の優等生が推薦により高等教育機関の難関校に入学しましたが、明治維新政府は科挙試験のようなペーパー試験を採用しいきます。
この試験制度を導入したエリート教育が日本の国家を衰退させる原点となりました。
リンク より

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最初は各藩にあった藩校の優等生が推薦されて日本の高等教育機関の難関校に入学しましたが、この入学は文字通りの推薦入学で、藩校の教師や周囲から秀才と認められたものが選ばれました。従って最初はペーパー入学試験はありませんでした。旧制中学の第一回卒業生が出始まったころから、入学試験が始まりましたが、小学から中学を終えるまで、難関校は入学者がいなかったわけではありません。すでに学齢に達していた子供や青年は推薦でそれぞれの学校に入学しましたから、入学試験が始まるまで5,6年の年月が必要でした。
この期間、中国の科挙のような試験はなかったのです。週刊新潮にコラムを連載している帝京大の高山教授によると、遣唐使の時代から日本の政府は中国の政治制度や文化を取り入れましたが、採用しなかったものに科挙試験、宦官そして纏足の3つを挙げています。内閣や大臣、昔の関白、相国などの官名も中国の文献に由来します。しかし科挙はそれ以後の歴代政権でも採用しなかったので、科挙官僚による亡国の歴史を見ずに済んだと述べています。ところが明治維新政府は高等教育学校に科挙試験のようなペーパー試験を採用してしまいました。
さて、明治維新に生きた日本の英傑を、現在の偏差値入試に当てはめて、どの程度のものかを推定するのも意義があると思います。(中略)結論からいうと、明治維新を起こした日本人で東大に合格したものは恐らく一人もいなかったと推定されます。なぜなら彼らは我利我利ではなく、この国家の近代化に興味があり、立身出世のために一日中机に向かうことなど考えられなかった人間達だったからです。

日本の政治腐敗や国家としての後進性は実はこの日本のエリート教育にあったと私は考えています。つまり日本の政治の腐敗の原点は創立順に陸軍士官学校、海軍兵学校そして東大なのです。いずれも当時、超難関という教育機関の名門中の名門でした。
明治維新から日露戦争までに至る日本の近代化は、藩閥政治という腐敗を抱えながらも近代教育を受けない世代に担われてきました。
日本の高等教育は藩閥政治や士農工商という旧弊を克服するために意味があったかもしれませんが、継ぐべき財産を持たないけれども学業に覚えのある旧士族や有力農家の次男、三男が立身出世を目指してこの難関に挑戦したのです。
そしてこの教育機関は入学試験や学業成績を重視し、点数の高低により人間の頭の良し悪しの順位を決めることに使われました。 日本の知性はこの時から入学試験の点数で決定づけられるようになり、それが人物評価の絶対的尺度となったのです。 日本の国家が腐敗する原点はここにありました。
頭の良い人間が決めたことに一般の国民は文句が言えなくなりました。 そしてこれらの高等教育機関とその生徒達は、国家を、そして国民を睥睨し、自らの立身出生にのみ強い関心を抱くようになったのです。
山本権兵衛首相は成人後に教育を受けた受験世代ではない首相でしたが、極めて優れた政治家でした。 しかし山本内閣は、中堅幹部になりつつあった陸士、海兵出身の軍事官僚の汚職によって崩壊したのです。 日露戦争以後、軍事官僚に東大出身の官僚が加わりますが、日中戦争の遠因となる近代外交史上でも恥ずべき、「21か条の要求」は東大首席の加藤高明外務大臣(後に東大出身の最初の首相)が世界第一次大戦のドサクサに紛れて中国に突きつけたものでした。
彼は三菱財閥の娘婿でもあり、国家と財閥企業との癒着と、それを取り持つ高級官僚の腐敗を象徴する人物だと思います。このように、日本の構造的な汚職政治は近代日本の高等教育機関が育んだ天下の秀才達により始められたのです。

 

日露戦争後は世界の5大国として、陸奥宗光や小村寿太郎が江戸時代に締結された西欧諸国との不平等条約の解消に努力した成果と相俟って、日本の内政・外交は近代教育を受けた文官官僚により取り仕切られていました。軍事は勿論、天下の難関、陸士、海兵組が進出していました。しかし、20世紀に入り、世界が大きく変化する時代にあって、日本の国家運営は独善的な政策の連発により、国際的に孤立してゆく道でもありました。
その一つはロシア革命後に列強がロシアに干渉した時にも、地理的理由から日本のシベリア出兵は日米共同歩調という原敬内閣の計画に反し、すでに形成されていた陸軍参謀本部は勝手に、そして世界の情勢分析も何の将来展望もなく、アメリカの撤兵後も居座り続け、国際的な非難を一身に浴びることになったのです。義和団事件までは整然としていた日本の軍隊も、無学な山県有朋より酷い、陸士出身の司令官に指揮されるようになり、政治も東大卒官僚によって運営される時代に入っていました。

 

加藤内閣の後継でもある浜口雄幸内閣で大蔵大臣を務めた井上準之助も東大卒ですが、この内閣が強引に推し進めた金本位制の解禁では内外で論争がありました。井上も加藤に劣らず傲岸不遜な人間で、石橋湛山などの平価切下げ金解禁論を一蹴しました。早稲田や一橋出身者の意見には耳を貸さない傲慢さで、満州事変へつながる国家経済破綻のデフレを引き起こす大失策を犯した人物でした。浜口自身は日本経済の政商・財閥もたれあい体質を改善する意味があると信じ、「玉砕するとも男子の本懐」という名台詞で有名ですが、この政策は金貸し財閥の三井銀行などが円買いドル売りで大儲けしただけで、アメリカの大恐慌の煽りを喰らって日本の外貨準備は底をつき、昭和の大恐慌を招いたのです。
東大卒の官僚が政治の世界に進出してその実像を現した所見は、雑多な出身者が多い政界や官界或いは実業界の中で、傲岸不遜や慇懃無礼が飛びぬけて顕著であったことです。若槻礼次郎は線が細いと言われた人物でも慇懃無礼な人物でした。「ああ玉杯に花うけて」の天下の秀才達は、欧米に向かっては劣等感を、内にあっては「人民ばかりでなく、元勲や貴族までをも見下す」集団でもありました。

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2019年07月30日

覆る人類の起源(1) ~現生人類(ホモサピエンス)とネアンデルタール人、デニソワ人は同種~

進化の歴史のなかでは、ホモ・サピエンス(現生人類)にはさまざまな祖先や同類がいた。ラミダス猿人やホモ・ハビルス、北京原人やネアンデルタール人などの化石人類を含めた人類(ホモ族)は、700万~600万年前にアフリカのどこかでチンパンジーとの共通祖先から分かれた。

近年、遺跡などから発掘された遺骨からDNAを解析する技術が急速に進歩し、歴史時代はもちろん、サピエンスが他の人類と分岐する以前の古代人の骨の欠片からDNAを読み取ることもできるようになった。この「古代DNA革命」によって、従来の遺跡調査からはわからなかった人類の移動や交雑の様子が明らかになり、古代史・歴史の常識が次々と覆されている。

【1】遺伝学的には、サピエンスは「アフリカ系統」と「ユーラシア系統」の大きく2つの系統に分かれる。
ユーラシア系統は5万年ほど前にアフリカを出て世界じゅうに広がっていき、アフリカ系統はそのまま元の大陸に残った。この2つの系統は、ネアンデルタール人のDNAを保有しているかどうかで明確に分かれる。ネアンデルタール人はユーラシアにしかいなかったため、アフリカにいるサピエンスとは交雑せず、そのためアフリカ系統の現代人にネアンデルタール人のDNAの痕跡はない。

従来の説では、ネアンデルタール人の遺跡がヨーロッパで多く発見されたため、出アフリカ後に北に向かったサピエンスが交雑したとされていた。だが現代人のDNAを解析すると、非アフリカ系(ユーラシア系)はゲノムの1.5~2.1%ほどがネアンデルタール人に由来するが、東アジア系(私たち)の割合はヨーロッパ系より若干高いことが明らかになったのだ。

【2】その後も、単純な「出アフリカ説」では説明の難しい人類学上の重要な発見が相次いだ。
2008年、ロシア・アルタイ地方のデ二ソワ地方の洞窟で、約4万1000年前に住んでいたとされるヒト族の骨の断片が見つかった。サピエンスともネアンデルタール人とも異なるこの人類は「デニソワ人」と名づけられたが、DNA解析でニューギニアやメラネシアでデニソワ人との交雑が行なわれたいたことがわかった。――ライクは、これをシベリア(北方)のデニソワ人とは別系統としてアウストラロ(南方)デニソワ人と呼んでいる。

【3】さらに、アフリカ系と非アフリカ系のDNAを比較すると、ネアンデルタール人、デニソワ人とは別系統のDNAをもつ集団がいたと考えないと整合性がとれないこともわかった。
人類学者のデヴィット・ライクはこの幻の古代人を「超旧人類」と名づけ、サピエンス、ネアンデルタール人、デ二ソワ人の共通祖先(約77万~55万年前)よりもさらに古い140万~90万年前に分岐したと推定した。超旧人類はデニソワ人と交雑し、その後、絶滅したと考えられる。

∴約5万年前にサピエンスが「出アフリカ」を遂げたとき、ユーラシアにはすくなくともネアンデルタール人とデニソワ人(アウストラロ・デニソワ人)という人類がおり、サピエンスは彼らと各地で遭遇した。交雑というのは性交によって子どもをつくることで、動物の交配(品種改良)を見ればわかるように、きわめて近い血統でなければこうしたことは起こらない。
分類学では、子をつくらなくなった時点で別の「種」になったとみなす。ということは、サピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人は(あるいは超旧人類も)「同種」ということだ。
【参考】橘玲・著『もっと言ってはいけない』

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2019年07月28日

殖産分化の始まり~ゾウリムシの生殖核(小核)・代謝核(大核)の分化

原核生物はひとつの細胞で全ての機能を担う、単一の万能細胞である。
真核単細胞から生殖細胞と体細胞への分化の萌芽が見られる。

例えば、真核単細胞生物のゾウリムシは、小核と大核の二つの細胞核を持っている。
大核は通常の細胞分裂に関わるタンパク質合成を行っている。小核は細胞分裂時にはほとんど働いていない。大核は、接合または自家生殖時には一旦消滅し、減数分裂→受精によって生じた新生小核から分裂生成される。
つまり、大核は体細胞の起源(代謝核)であり、小核は生殖細胞の起源(生殖核)である。

大核(代謝核)・・・代謝に必要な情報を持ち、通常はこの核の情報により細胞は活動する。

小核(生殖核)・・・全ての遺伝情報をもち、細胞が生殖を行う時に遺伝情報を次の世代に受け渡す。

また、ゾウリムシの生殖方法も特徴的で、未熟な段階での細胞分裂による増殖以外に、成熟すると他のゾウリムシと接合することによって、有性生殖をするようになる。ゾウリムシの場合、ひとつの細胞の中に大きさと機能が異なる二つの細胞核が備わっていて、小さい方の小核は、有性生殖を行う時のみ働く細胞核なので、生殖核とも言われている。

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ゾウリムシでは、2核のうち1核を交換して合体し二倍体になっている(上図)。
その後、2核のうち1核が交換専用の小さくて運動性が高い核となり、もう1核が交換しない大きくて安定性が高い核となった。これが運動能力と変異能力が高いが極めて小さい精子と、栄養を貯め安定度は高いが運動能力はない卵子への分化の始まりだと考えられる。これが精卵分化である。

■分裂の限界と接合による再生

単純な細胞分裂だけでは、700回(種によって約150回~約700回の幅がある)が限界で死んでしまう。他の個体と接合し、減数分裂を行って小核を融合することで再生し、再び700回の分裂ができる。

■未熟期と老衰期
接合により生まれ変わった個体は、すぐには次の接合ができない未熟体である。約50回の分裂を行うことで性的に成熟し、接合が可能になる。また逆に、600回以上の細胞分裂を行った個体は、接合能力を失ってしまい、残り約100回の細胞分裂を経て死を待つ老衰体となる。

■小核と大核
先に述べたように、ゾウリムシは、小核と大核の二つの細胞核を持っている。小核が二倍体なのに対し、大核は数百倍体のゲノムを持ち、通常の細胞分裂に関わるタンパク質合成を行っている。小核は細胞分裂時にはほとんど働いていない。
通常分裂時(栄養期)には、細胞は2分裂によって増殖する。
このとき、大核も小核もともに分裂する。
大核は、接合または自家生殖時には一旦消滅し、減数分裂→受精によって生じた新生小核から分裂生成される。

■細胞分裂の回数は大核DNAが規定している
分裂回数の少ない若い個体の大核を、分裂回数の多い(老化した)個体に移植すると、老化個体の分裂回数は若い個体の残存分裂回数分だけ回復する。逆に、老化個体の大核を若い個体に移植すると、その個体は老化個体の残存分裂回数分だけしか分裂ができなくなる。同じように老若個体の小核を交換移植しても、このような現象は起こらない。
こうしてみると、ゾウリムシの小核は明らかに『生殖細胞の起源』であり、大核『体細胞の起源』であることが分かります。

無性生殖では、環境外圧により一度DNAに傷がつき変異がおこると、それがそのまま分裂します。その変異が環境に適応していれば問題ありませんが、適応していない場合、種全体が死滅する可能性が高くなる。そこで、ゾウリムシの場合、この状況を克服するために生殖を行う小核(のちの生殖細胞)と、タンパク質を合成し細胞を大きくする大核(のちの体細胞)に役割を分化させた。

ゾウリムシが接合し、小核は減数分裂によりお互いの遺伝子群を組み合わせて、変異を取り除くことが可能です。しかし、もともとの大核が存在していれば、その核が持つ変異した情報により、外圧に適応できないタンパク質の合成を繰り返します。そこでゾウリムシは、接合と同時に、もとの大核を消滅させる仕組みを獲得した。

大核を消滅させ、新しくできた小核により新しい大核を作る。
しかし、この過程はもともとのゾウリムシの細胞内で行われるため、新しい小核と大核の周りは、古いタンパク質で作られた細胞質で覆われている。

その環境の中で、新しい大核は、古いタンパク質とは多少違う新しいタンパク質を合成し細胞内を塗り替えていきます。新しいタンパク質を合成し一定の大きさになると分裂する。そして、次の接合が可能となるまで約60回の分裂を繰り返します。これを性成熟するまでの分裂と呼ぶ。この性成熟するまでの分裂とは、細胞内を全て全く新しいタンパク質に塗り替える過程ではないかと考えられている。 

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2019年07月25日

【佐野千遥説】地球内部→地表を循環する海水が、地球上の物質世界と生命世界を作っている

スミルノフ物理学派の佐野千遥氏は、地球と生命の関係について、次のように述べている。
「宇宙創生から生物進化まで。佐野理論の概要」の抜粋要約。

あらゆる物体は自転すれば若干の双極磁場を生成する。太陽表面から生まれたばかりの惑星も、自転による双極磁場の軸部分が北極の穴、南極の穴を貫く負の誘電率・負の透磁率の円筒空洞となった。惑星のこの負の誘電率・負の透磁率の円筒形空洞が生命を進化発展させる上で多大の役割を演じた。

①土はケイ素Siが主であるが、負の誘電率・負の透磁率の地中円筒空洞はSi → C + Oの分解を行い生物の体を造るのに必要な炭素Cと呼吸するのに必要な酸素Oを大量に生成する。
②土壌中に有るカリウムと円筒空間へと還流して来た海水に含まれるカリウムをK → Na + Oの反応で酸素Oを作り出すとともに、海水と生物の血液に含まれるNaClを作り出した。

北極の穴、南極の穴を貫く負の誘電率・負の透磁率の円筒空洞から発したS極N極磁気単極子から成るオーロラが地表全体に広がって電離層を創り、その電離層が放射能帯域であるバンアレン帯の放射能が地表まで降りて来ないように遮蔽している。その他、太陽からの距離が適切である為に、地球は暑すぎる事もなく、寒すぎる事もない。このように地球上に生命体が誕生し、生存できるための環境が整備されている。
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①確かに原子番号(陽子と電子の数)14のケイ素Siを分解すれば原子番号4のC+同8のOになる。
②また、原子番号19のカリウムKを分解すれば原子番号11のナトリウムNa + 同8のOになる。
この通常空間では起きない現象が、地球内円筒空間では起こっている。それを起こすのが負の誘電率・透磁率の空間だということだ。

海水が地球内(負の誘電率・透磁率の)円筒空間を循環することで、K→Na + Oが地表のNaClと酸素O2・オゾン層O3を作り出す仕組みについて、佐野氏は次のように説明している。
「海水中・血液中NaがKより圧倒的多量である謎 スミルノフ学派Dr佐野千遥」(以下、その要約)

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地球は他の太陽系惑星に比べて圧倒的分量のNaと酸素Oを持っている。

海、血液以外の地球上の至る所、土壌の中、そして生命体の全ての細胞の中、腎臓の中、乳房の中においてKの分量の方がNaの分量を上回る。にも拘らず、海や血液では圧倒的にNaの方がKよりも分量が多い。
※土壌中のKの方がNaより多いのだから、従来の学説「岩塩が雨で解けて海に流し込まれ水が蒸発して高濃度のNaCl食塩水になった」は道理が通らない。
これ程大量の塩NaClが何故海水に含まれているのか、しかも時代が下る程、海水中のNaClの濃度は濃くなってきているのは何故なのかは、大きな謎なのである。

その原因は、海水は北極の穴と南極の穴とを貫く地軸の周りの負の誘電率・負の透磁率の円筒空間と地表との間を循環する際に、負の誘電率・負の透磁率の内部円筒空間でK → Na + Oへと分解されるからである。
負の誘電率・負の透磁率の空間でK → Na + Oへと分解されるのは、Na+とO-は負の誘電率・負の透磁率の空間では+と-だから互いに斥力を及ぼすからである。
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また、佐野氏は、水と生命体内も負の誘電率・透磁率であると言う。

「海水中・血液中NaがKより圧倒的多量である謎 スミルノフ学派Dr佐野千遥」
「ポラック,モンタニエ,江本勝「水からの伝言」の厳密物理学による論証」より。

生命体の体内には水分が豊富に有る。水は負の透磁率である。その生命体の中にピエゾ物質のコラーゲン、DNA、セルロース、が生成した時、生命体の中は負の透磁率の上に更に負の誘電率となった。逆に生命体が生命体である由縁は、その負の誘電率・負の透磁率に有る。

水の液晶相に於いては水が構造化し、強誘電率(“自発分極が生じ強誘電性が生じる”)になる、即ちピエゾ物質となる。よってコラーゲン、DNA等のピエゾ物質が原因で負の誘電率・負の透磁率となった生命体の体内では、負の誘電率・負の透磁率を液晶相のピエゾ物質となった水が強化している。生体内の負の誘電率・負の透磁率の空間内で、ソマチット=物理的生命体=常駐するS極磁気単極子=電子e- → “マイナス・イオンが健康に良い”という生体内反エントロピー代謝、反エントロピー進化が準備され進行する。
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つまり、負の誘電率・透磁率である地球内円筒空間を、同じく負の誘電率・透磁率の海水が循環することで、海水に大量に含まれるK → Na + Oに分解され、地表のNaClと酸素O2・オゾン層O3を作り出す。こうして、地球上の大気が作り出されているということだ。

負の誘電率・透磁率をもつ水が地球内円筒空間から得たエネルギーを地表にもたらすことで、地球上の物質世界と生命世界が成り立っている。
では、水はどのようにして作り出されているのか?
佐野千遥氏によると、水を作り出しているのは植物であるということだ。
S極磁気単極子の集まりである太陽の黒点から飛来したS極磁気単極子が元で、地球上に生命が発生し、その生命は秩序が高度化する合目的的進化により植物界を創り出した。そして、植物が太陽エネルギーと宇宙のエーテルエネルギーを使って水を作り出している。「環境厳密科学:宇宙空間に大気散逸、母なる地球と草木が飲水・大気の質量創出補填」

 

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2019年07月23日

★日本の官僚制度は明治以降にどのように導入されたのか?

明治時代初期:なぜ、学校一揆や学校焼き討ちが起こったのか?」リンクで、明治時代初期に始まった教育制度を紹介しましたが、その後どのような歩みを進めたのか?
現在日本の抱える、政治・経済、教育、原発、環境etc…、様々な問題に答えを出せず、国を滅亡へと向かわせている試験エリート=官僚に繋がる官僚制度までの成り立ちを見ていきたいと思います。リンクより

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■明治政府発足当初は地縁血縁重視

明治政府が発足した1868年、政府は総裁・議定・参与からなる三職制を定めた。そして、参与としての人材を得るため、徴士貢士制を定めて各藩から藩士を集めた。もっとも実際には、薩摩・長州出身者から官吏を登用することが多く、地縁・血縁を重視した藩閥政府が形成された。

■官僚養成のため帝国大学を設立。文官試験は補助的方法として出発

この情況を憂えた伊藤博文は、ドイツ・フランスが官吏養成所を作り成功した事例を調査させた。伊藤は1885年内閣総理大臣に就任し、1886年(明治19年)に帝国大学令を定めて東京大学を帝国大学とし、藩閥にとらわれない官吏養成機関(主として文官の養成機関)とした。

翌1887年(明治20年)には文官試験試補及見習規則を定めた。この試験は後の私立大学出身者に受験資格を付与した。帝国大学の法科大学・文科大学の卒業者は、この試験を経ずに各省の試補として採用され、こちらの方が採用人数は多かった。入省後、学士試補が主流で試験試補は傍流という実質的な差別待遇も行われ、後の官学・私学による待遇格差の遠因となる。

■武官も藩閥政治からスタート

他方、文官と共に官吏をなす武官についても、薩長藩閥によって占められる状況(海軍は薩摩、陸軍は長州)が続いた。

1878年(明治11年)近衛兵の一部が西南戦争後の待遇や俸給への不満などから、暴動を起こす(竹橋事件)。この事件をきっかけに、軍令と軍政を分離すべきという主張が唱えられ、同年、陸軍省から独立した参謀本部が陸軍に設置される(1893年には海軍に軍令部が置かれる)。これは後に大日本帝国憲法の下、統帥権独立の端緒となる。これにより、初めて官吏のうちに文官と武官の区別が生じる。

■大日本帝国憲法制定後、文官任用令

1889年(明治22年)に大日本帝国憲法が制定され、再度内閣総理大臣となっていた伊藤博文は、1894年(明治27年)、文官任用令と文官試験規則を定める。この文官任用令と文官試験規則により、技術官でない高等文官は文官高等試験合格者から採用されるのを本則とした。

■藩閥政治と政党政治の対立から自由任用が制限
1898年(明治31年)にわが国最初の政党内閣(憲政党)である第一次大隈内閣が誕生したが、同内閣は藩閥政治への対抗上、行政機構への政党勢力の拡大を意図して政党員を勅任官である各省次官、局長、知事等に大量に任用した。政党員の猟官運動も激しく、その改革を望む声は高まった。

4ヶ月あまりでこの第一次大隈内閣が瓦解した後、再び、藩閥を代表する山縣内閣が登場し、猟官の弊への反省そして政党勢力の伸張を抑える目的から、文官任用令が改正され、自由任用とされていた勅任官の資格要件が定められ、勅任官は3等の奏任官に在職した者又は勅任官在職1年以上の者等に限ることとされるなど、自由任用の範囲が縮小される。

その後も、政党政治と藩閥政治の力関係で、自由任用の範囲はたびたび変わることとなる。

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2019年07月21日

【定説】生物のエネルギー源ATPと熱・体温

生物のエネルギー源と言われるATPと熱(体温)の関係はどうなっているのか?
ここでは定説を紹介する。
「エネルギー代謝とミトコンドリア機能II .ATP 産生と熱産生、そして TCA サイクル複合酵素の構造」田中 信行鹿児島大学名誉教授・大勝病院顧問から転載。

我々は筋肉や心臓の活動、神経、肝、腎機能等の維持のために、ATP という「化学エネルギー」と 37 度の体温を維持する「熱エネルギー」も産生している。1 日の必要エネルギー 2400カロリーと言うとき、それは ATP エネルギーと熱エネルギー、いずれのことだろうか。

全ての生物のエネルギー源は、植物の葉緑体が太陽の光エネルギーを用いて炭酸ガスと水を糖や脂肪等の化学結合エネルギーとして固定したものである。それ故に太陽と植物は「全ての生命の母」である。そこには光(電磁波)エネルギーを糖や脂質、そして ATP という化学エネルギーに変換し、更に体温維持の熱(赤外線)エネルギーにするという量子論的転換がある。つまり我々は食物から、ATP という「化学エネルギー」と体温という「熱エネルギー」の二つのエネルギーを得ているように見えるが、両者はどんな関係にあるのだろうか。

解糖系やミトコンドリアの TCA サイクルは糖や脂肪をCO2と H2O に分解するが、その過程で生じたNADH2、あるいは FADH2等の水素は電子を失って H+となる。その電子は CoQ からチトクローム b、c、a という「電子伝達鎖」を経て酸素に渡され、2H++ O- -→ H2O となる。この水素イオン、電子の濃度勾配を利用して「ATP合成酵素」により ATP が作られる。
最終的な電子受容体は酸素であり、これが酸素がないと電子伝達鎖、そしてATP 合成も止まり死に至る理由である。

しかし ATP 合成に流れる電子エネルギーは約 40%で、残りは脱共役回路で直接熱になる。生命とは「熱力学第 2 法則」、すなわち拡散・無秩序(エントロピー増大)への流れに抗して、ATP エネルギーで分子を結合し、イオン濃度勾配を維持することである。一方、ATP消費と熱産生は表裏一体で、ATP 分解時のエネルギーの 75%は熱となり、残りが分子流動や他の物体の移動等の力学的エネルギーとなるが、最後は分子相互や地面、空気との摩擦熱となって放散する。

摂取した 2400 カロリーのエネルギーの40%はATP を経て、60%は脱共役回路で、最終的には全て熱になり、これが ATP としての「生命活動」と「体温の維持」という 2 つの活動ができる理由である。糖や脂肪は完全に炭酸ガスと水になり、その結合エネルギーはすべて熱になり、「物質不滅の法則」も「エネルギー保存の法則」も完全に保たれる。太陽の光エネルギーが植物の糖や脂肪の合成、そして ATP への変換を経て我々の生命活動と体温を維持し、最後は全て熱として宇宙に拡散するというエネルギーの流れである。

一日の 2400 カロリーとはどの程度のエネルギーか?
糖質 1g の熱量4Cal(4000cal)は、水1mlを4000℃、あるいは水1000ml(1kg)の温度を 4℃上げる熱量である。2400Cal はその 600 倍、つまり水と類似の 60kg の人の体温を 40℃上げる熱量であるが、元々の体温が 36℃あるため、その熱は体から放散される熱の補充、つまり体温維持に使われることになる。因みに 2400Cal は糖質なら 600g、脂肪なら267g に相当するが、灯油 1g の熱発生量は10Cal なので、我々は 1 日 240g の灯油を消費するエンジン、又はヒーターである。ATP 合成に回るエネルギーは前述の様に約 40%(960カロリー)であり、ATP(MW=507)の発生エネルギー 16Cal/ モルから 960Cal/16Cal = 60モル=30420g、すなわち「1 日約 30kg」と言う大量の ATP に相当し、TCA サイクルや ATP合成酵素の活発な活動が理解される。

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2019年07月21日

運動中は無酸素呼吸の変温動物(両生類・爬虫類)と、運動中でも酸素呼吸する恒温動物(哺乳類)

未解明だが、恒温動物が統合系の電磁波エネルギーを分散系の赤外線エネルギーの転換する仕組みがあるはずである。
その仕組みと関連しているかもしれないが、変温動物(両生類・爬虫類)は運動中は呼吸できないので解糖系の無酸素呼吸によってATPを産生しているが、恒温動物(哺乳類)は運動中でも酸素呼吸によってATPを産生できるらしい。
解糖系無酸素呼吸ではブドウ糖1からATP2しかできないのに対して、酸素呼吸ではATP38ができる。ATPの産生効率が19倍も高いので哺乳類は長時間の運動が可能になったという説である。

「脊椎動物の陸上移動とエネルギー代謝」山岸 弦記、朴 民根(東京大学 生体情報学研究室)より転載。

両生類と爬虫類は陸上を生活空間として活用するが、そこでの移動能力は決して高くない。これらの動物群は最大でも10 km程度しか移動せず、同じ陸生脊椎動物でありながら数千kmを移動する哺乳類や鳥類とは対照的である。この理由の少なくとも一部は、脚の構造にあるようだ。両生類や爬虫類は上腕と前腕、大腿と下腿がそれぞれ90度で関節し、「がに股」の姿勢をとる。この姿勢では運動中に体幹がくねって肺を圧迫するため、呼吸を続けることができない。

そのため、「がに股」動物は運動中のATP供給を無酸素下で反応が進行する解糖系に頼っている。しかし、解糖系はATP産生効率が低く、短時間で基質(グルコース)を使い果たすため、運動の持続性に乏しい。

ただし、現生の両生類のうち無尾類にはこの状況への挑戦がみられる。無尾類の多くは強力な後肢で跳躍し、一動作あたりの移動距離を稼いでいる(跳躍型)。このため、跳躍型の後肢は解糖系酵素の活性が高く、収縮速度が大きい骨格筋繊維で占められている。また、ヒキガエルなどは呼吸に干渉しない速度で歩き続ける(歩行型)。このような種の後肢はクエン酸回路の酵素活性が高く、持続性に優れた骨格筋で構成されている。

「がに股」動物とは対照的に、直立姿勢をとる哺乳類と鳥類は運動中も体幹をまっすぐに保つ。そのため運動と呼吸が両立し、好気呼吸によるATP産生を利用できる。好気呼吸のATP産生効率は解糖系の15倍以上に達するため、長時間の運動が可能となる。運動の持続性をさらに向上する仕組みとして、哺乳類には乳酸シャトルが存在する。解糖系の副産物である乳酸は、骨格筋に蓄積するとATP産生を阻害する。そこで哺乳類は、骨格筋(特に解糖系の活性が高い繊維)から乳酸を血中に放出し、遅筋や心臓、肝臓でピルビン酸に変換する。遅筋と心臓はピルビン酸を自身の好気呼吸に用いる。一方、肝臓はピルビン酸を基質として糖新生を行い、グルコースに変換して血中放出する。放出されたグルコースを骨格筋が取り込み、ATP産生に利用することで運動の持続性が確保される。

興味深いことに、哺乳類では血中の乳酸が情報伝達物質としてはたらき、ホルモン分泌やエネルギー代謝を制御することが報告されている。この仕組みは、乳酸シャトルにより血中の乳酸濃度が生理状態を反映するようになったことで獲得されたのかもしれない。そうであれば、歩行姿勢という「外側」の変化が、運動能力の向上を通じて内分泌制御という「内側」の変革を迫った例として、生物の進化・適応に内分泌現象からアプローチするうえで興味深いテーマである。残念ながら、乳酸による情報伝達が脊椎動物でどのように獲得されたのかは定かでない。今後このテーマに迫るには、「がに股」動物で乳酸の生理作用を検証する必要があるだろう。

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2019年07月21日

【仮説】恒温動物は、秩序系の電磁波を分散系の赤外線に転換している

恒温動物の仕組みを解明する前提として、熱や温度とは何か?
熱を生み出す電磁波として赤外線があるが、物理学の定説では、次のように説明されている。

絶対零度(-273℃)より温度が高いものは赤外線を発する。つまり、地球上の全ての物体は、赤外線を発している。
電磁波の一種である赤外線は、それ自身は熱のエネルギーではなく、可視光線より長い波長を特った光のエネルギーである。

物質を構成する分子は、物質自体が持っている温度に応じた分子運動(熱運動)を行う。この運動(振動)に一致した電磁波を投入すると、電磁波のエネルギーが分子の運動を増幅させ、物質の温度が上昇する。
光源から赤外線が放射されると、被加熱物において反射・吸収・透過という三つのエネルギーに分けられ、その中で、被加熱物に共振吸収されたエネルギーが分子の運動(振動)を誘発し、振動させられた物質間ではその摩擦より熱が発生する。これが赤外線加熱の原理とされている。

赤外線の概要 赤外線加熱 | 赤外線加熱 | 岩崎電気

それに対して、佐野千遥氏は、赤外線とは方向性を失った電磁波であるとしている。
※秩序レベル(方向性、構造)が高い物は低温であり、秩序レベルが低い物(構造が崩壊し、方向性を失った物)は高温。

「光速電子放射線治療だけは圧倒的善を成す物理学的理由1:ロシア科学院スミルノフ学派Dr佐野千遥」第2章:熱とは何か?温度とは何か?現代熱力学の誤りを正す

熱とは元々方向性を持ったエネルギーが細分化しそれぞれ違った方向に向けられ、総体として方向性を失った形態のエネルギーの事であり、実際の物質世界においては電子が振動すると電磁波を発するその仕組みにより、初めの方向性を持ったエネルギーの衝突の衝撃が電子を約3万ギガ・ヘルツの振動数で振動させあらゆる方向の赤外線、つまり総体として方向性を失った赤外線エネルギーへと変換されたものが熱エネルギーである。

温度とは秩序レベル(方向性、構造)が高い物は低温であり、秩序レベルが低い物(構造が崩壊し、方向性を失った物)は高温である。よって、構造が崩壊する、またはエネルギーの方向性が失われる、又は方向性を失った形態のエネルギーである熱エネルギーがやって来る、または発生すると温度が上がる。

そして方向性を持ったエネルギーが方向性を失った熱エネルギーへと変換される過程はエントロピー増大過程である。自然の過程の中に時間の進むに連れてこの方向性を失った熱エネルギーへの変換過程=エントロピー増大過程が有る事は否定できないが、ニュートンの動的作用反作用の法則F1 * v1 = – F2 * v2に見られるように、エントロピー増大が全てではない。

よって宇宙の外面、内面に向かったフラクタル分割の過程の結果、高度に秩序だった構造を持つに至った原子核が極低温である事実とそのスミルノフ学派による論証が、この熱・温度の定義と矛盾無く相符合する(ところが「正統派」現代量子核物理学と素粒子論は、原子核内をフェルミ統計、ボーズ統計のように方向性の無い混沌とした世界としており、上記熱・温度の定義より、原子核内が極高温であると導かれる事となり、現実の極低温と大きく矛盾する)。

具体的に気体の熱力学を古典に立ち戻って考察して見よう。
ボイル・シャルルの法則p * V = R * T (pは気圧、Vは体積、Rは気体定数、Tは絶対温度)

左辺は体積Vを断面積Sと長さXの積と考えると、p * S = F力となり、F * Xは方向性を持った仕事=方向性を持ったエネルギーである事が分かる。ところが右辺は方向性を失った温度、言い換えると方向性を失った熱エネルギーとなってしまっている。

熱エネルギーとは方向性を失っているために最も利用価値の少ない、「つまらない」エネルギーである。

しかしこの「つまらない」エネルギーも、その熱により湯を沸かし或る噴出孔から方向性を以って噴射されるとタービンを回す運動エネルギーに変換できる事が近世の産業革命の口火となった蒸気機関の発明である。この過程を物理学的に厳密に見ると、噴出孔から方向性を以って勢いよく(速度v1で)噴射される水蒸気はタービンの羽に当たる瞬間、速度(v2)へと大きく減じる過程で F1 * v1 = – F2 * v2の|v1|>|v2|だから|F1|<|F2|つまりエネルギーの集中=エントロピー減少が起こっているから、方向性を持ったエネルギー=運動エネルギーへの変換が可能となっている事がわかる。それでも噴出孔から勢いよく(速度v1で)噴射される水蒸気が或る方向性に纏められる過程で相当なエネルギーのロスが生じる。つまりエントロピー増大で熱エネルギーとなり、その相当部分がロスされた残りがエントロピー減少で運動エネルギーになるだけだから、熱エネルギーは「つまらない」エネルギーと言ったわけです。
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哺乳類は爬虫類等から寒冷地へと逃げ延びた。寒冷地で適応するために、体内の熱生産によって高い体温を恒常的に維持する恒温動物となった。
そこで、体内で熱生産するために統合系の電磁波エネルギーを分散系の電磁波である赤外線に転換したと考えられる。換言すれば、恒温動物は体内で熱生産するために、あえてエントロピーを増大させたということになる。

電磁波の波長(周波数)を変えることは簡単である。
例えば、白色光を赤色フィルターを通すだけで、波長(周波数)が変わり赤色光になる。

未解明だが、恒温動物が統合系の電磁波エネルギーを分散系の赤外線エネルギーの転換する仕組みがあるはずである。

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