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2015年08月18日

非婚の時代の先駆けを江戸時代にみる

『KASHIKO(リンク)』の記事からの引用

●江戸時代の「家」は、家族ではなく企業

江戸時代における『家』とは、現代の家族とは違い、むしろ同族経営の中小企業のようなものでした。当時仕事は『家』に着いていることが多く、世襲によって継承されました。従って、生活の糧としての仕事を維持するためには、どうしても『家』を維持していく必要がありました。

従って、当主(親)にとって嫡男の結婚は、次世代の副社長か専務を選ぶようなもの。企業経営の器量があるか、自社にとって価値ある実家を持っているか、互いの会社(家)の釣り合いはいいか、など、嫁の選定は一大事業です。ですから結婚は親が決めます。息子自身は顔も知らずに祝言を迎えることが普通でした。

現代風に言えば、結婚を親が決めるのは理不尽です。しかし会社の専務の選定だと思えば、印象は違ってきますね。こうして選ばれた妻は、いわば優秀な重役候補です。現専務の姑に鍛えられ、世代交代後は、夫婦で会社経営に精を出します。家族と家来と使用人、それぞれの生活を維持するようにがんばらなければなりません。

また、こうして選ばれた妻(正室)の地位は、揺るぎないものでした。例えばそれは、跡取りの存在に現れます。妻(正室)に子がない場合は側室を迎えますが、側室は例え妻(正室)が死去した後でも、妻(正室)にはなれません。違う役割の者と見なされていました。つまり妻(正室)は、子がいるいないにかかわらず、その地位は確保されたのです。

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2015年07月28日

江戸時代農村の婚姻(1) 十五で姐やは嫁に行く?

動揺『赤とんぼ』に、「十五で姐やは嫁に行き お里のたよりも絶えはてた」という歌詞があります。
赤とんぼ

晩婚化がいわれて久しい現在ですが、昔の日本(江戸時代くらい)の結婚年齢は何才くらいでだったのか?
『歴史人口学から見た江戸時代農村の結婚』(リンク)から、江戸時代農村の婚姻を紐解きます。

◆西高東低の初婚年齢
日本の農村における十八・十九世紀の平均初婚年齢は男25~28歳の間、女18~24歳の間で、夫婦の年齢差は5~7歳(男が年上であることが多い)。また平均初婚年齢は江戸時代を通じて上昇傾向にあり、時代を下るごとに晩婚化の傾向が強まります。

ただし、平均初婚年齢には地域差があり、東日本ほど早婚傾向が強く、西に行くほど晩婚傾向が強くなります。陸奥国仁井田村(福島県)の平均初婚年齢は男19.6歳、女15.0歳。これに対して美濃国西条村(岐阜県)の平均初婚年齢は男28.8歳、女22.5歳でした。
また平均初婚年齢の階層差も明確で、美濃西条村のデータでは、初婚年齢は地主層が男27.4歳、女21.6歳に対し、小作層は男27.9歳、女24.0歳となります。

江戸時代の結婚は早かったのか遅かったのか、という問いには農民層の場合は上記のように地域差があって、関東・東北は早婚、中部以西は晩婚の傾向が強く、階層差があります。また、出稼ぎ者が大多数を占める都市住民も、経済的状況や一旦故郷に戻る必要性などから晩婚化傾向は農村より強かったと考えられています。なので15~6で嫁入りしていたのは主に東北地方の人々で、西日本の農村の人々は平均22~3で嫁入りし、また出稼ぎ経験者は平均より3~5歳遅かった、となります。

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2015年06月04日

日本人の家族観(5) ~「家族」という言葉をやめて「親密圏」という言葉を使う人たちがでてきた。~

社会学者のなかでは、最近、「家族」という言葉をやめて「親密圏」という言葉を使う人たちがでてきた。

確かに、「家族」と言うと一つのステレオタイプ化したイメージがどうしても浮かんでしまうが、「親密圏」と言うと、「家族」のように定義から始まるのではなく、「親密な関係」という実際の「関係性」から始まるので、現実にあるさまざまな関係の豊かさをとりこぼさないで論ずることができるからではないだろうか。

私たちのまわりには、
・結婚届を出さないで共同で生活をしている人
・同性愛のカップル
・友だちどうし暮らす人
・男女のカップルとその友人たちで一つの家をシェア(共有)して共同生活を送る人
・ペットと暮らす人
・子どもを連れて再婚した人
実にいろいろな人たちがいる。

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2015年05月07日

地域づくり~住民が地域の課題を「自分ごと」として考える

こんにちは。
これまで地域活動について紹介してきましたが、
うまくいっているケースというのは、数人が中心になって推進しているわけではなく、
関わる人すべて、そこに住む人の多くが地域課題の当事者として、何らかの役割を担い、皆でその地域を創っていこうとしていることが分かりました。安全な食、健康、育児、教育などといった現在では家庭における課題も、地域課題として取り組んでおり、そこでは日常的に問題意識の高い女性たちが中心になって活動しており、大きな役割を果たしています。
今回は、地域課題を自分ごととして大きな成果をあげている福岡県大刀洗町の事例を紹介します。

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■ 政治、行政が「他人事」の日本

日本では政治や行政は全く「他人事」だと思う。街頭インタビューの受け答えを見てもよく分かる。東南アジアでも、アメリカでも、ヨーロッパでも、中近東でも、街の人はよくしゃべる。テーマによっては激しくしゃべる。日本では呑気な答えが多い(聞き手の質問もだが)。投票率が低いのも「他人事」のあらわれだろう。

政治・行政に「自分事度」という指標があったら、日本人のランキングは世界の中でも最低クラスかもしれない。政治や行政を良くするのは、政治家や官僚をいくら批判してもはじまらない。政治・行政の中身を「自分事」として考えないといけない。
「他人事」状態を変えるのは簡単ではないが、私は構想日本の活動を通じて、政治・行政のしくみに少し工夫を加えれば、住民が地域のことを、国民が国のことを「自分事」として考え行動するようになる経験をした。現在進行中の例を1つご紹介したい。
福岡県大刀洗町と構想日本が協力して行っている「住民協議会」だ。

 

 ■ 地域の課題を「自分事」に

「住民協議会」は、住民の関心が高い行政課題について、住民に集まってもらい具体的な問題整理とその解決策を考え、町として一定の方向性を出すという取組だ。

無作為に抽出した住民に案内を送付し、応募のあった人が委員として参加する。司法における裁判員制度と同様の仕組みだ。

行政への住民参加では、行政に対する要望、注文が多くなる傾向があるが、この協議会では、まず「個人でできること」、次に「地域でできること」を考え、最後に「行政で取り組むべきこと」を考える。

「住民協議会」の様子 「住民協議会」の様子

 ゴミについて住民が日常的に考えることは「分別をして出す」ところまでだが、実際にはその後に収集があり、処分がある。まずはその全体像を参加した住民全体で共有したうえで、大刀洗町のゴミ行政についてどこに課題があり、どのような解決策があるかを住民間で議論した。

回を重ねるにつれて、「自分たちが分別をより細かくすることで町の負担(税金)が減るならやっていきたい」「生ごみの出し方に色々な工夫の余地があることを知ったので試してみたい」「靴を買いに行った際、無駄なゴミを出さないようにするために靴箱をもらうのを断った」など、住民側から行政を「自分事」として考えての議論が相次いだ。

■ 「行政対住民」から「住民対住民」の議論へ

この試みは一言で言うと政治・行政への住民参加だ。自治体でも国でも、公聴会、タウンミーティング、パブリックコメントなど以前から様々な形で行われている。しかし、その多くが形式化しているのは、

(1) 行政の情報提供、説明の仕方

(2) 住民、国民の参加の仕方(行政側から言うと集め方)

(3) 議論、意見集約の仕方

すべてを行政主導で行っているからだ。

「住民協議会」はいずれもこの点で大きく異なる。

(1)について、行政主導では行政が住民に対して「説得する」ための資料を整え情報提供を行うが、「住民協議会」では構想日本がアドバイスを行い、町の実態、事実を住民に対して「さらけ出す」ための資料作成を行う。

(2)については既述のとおり、無作為抽出で行う。

(3)について、行政は進め方のシナリオは作らない。外部からのコーディネーターの下であくまでも説明者、討論者の一員として参加するだけだ。

以上の工夫によって、地域の課題が「行政対住民」ではなく「住民対住民」の議論になる。

行政の役割は、住民の質問に破綻なく答えることではなく、住民が自ら考えるための情報を用意し、その議論に耳を傾けることだ。そうすれば住民は、財政のような個人の利便を越えたわかりにくいテーマについても「自分事」として考えるようになる。議論の進め方さえ間違わなければ行政関係者が懸念するような、議論が散漫になったり要求的になったりすることはない。

 

■ 「自分事」化による民主主義の建て直し

実は、以上述べたことは、構想日本が2002年から行ってきた事業仕分けの効果と同じことなのだ。事業仕分けでも国の事業の実態をさらけ出すためにフォーマット化した「事業シート」を使い、行政と外部の専門家、住民が同じ土俵で議論する。2009年以降、自治体では無作為抽出で選ばれた「市民判定人」が評価をしている。国の場合は、政治家が議論に加わるため、政治的な色彩が加わるのは否めないが、それでも国の事業や税金の使い方が国民にぐっと近づいた。国会の予算委員会では想像もできなかったことだ。同時に、自治体でも国でも、誠実な公務員が、行政事業の現場を自分の目で確かめることも増えた。これは公務員も、(当然ながら)政治・行政の現場や税金の使い方をより自分事として捉えるようになったことの表れと言えるだろう。

自治体の事業仕分けに参加した「市民判定人」のアンケート結果を見ると、「税金の使い方への関心度」「行政の事業内容についての理解度」など、仕分けに参加した後大きく伸びていることがわかる(表参照)。

また、茨城県下の3市の市民判定人に聞いたアンケートによると、「投票に必ず行く」という人が80%(「ほとんど行く」と合わせると94%)となっている。

「市民判定人」へのアンケート結果(構想日本)より
「市民判定人」へのアンケート結果(構想日本)より
画像

住民、国民が政治・行政を「自分事」として考えるというのは民主主義の大前提だ。

住民参加を形式的なものに終わらせず、フォーマット化など資料作成や無作為抽出などの工夫を加えて、まずは自治体、そして国の政治・行政を変えていきたい。
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参考に、民主主義の前提とは何なのか、紹介しておきたい。
「民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である」より、

共同体では、まず第一に、自然の摂理に学び、部族の歴史に学び、先人の経験に学ぶことが、根本規範となっている。
従って第二に、共同体では、成員の誰もが自分たちの置かれている状況と課題を熟知している。
従ってまた第三に、何かを決めるのは、全員合意が原則であり、緊急時etcの長老一任も、この全員合意の延長上にある。

それに対して「民主主義」は、そもそも始めから共認原理を踏み外してしまっている。それは、成員の大多数が、ほとんど何も学ばず、何も知らないという点である。これでは共認原理はまともに作動しない。例えば法律については、それが日常のあらゆる生活を規制しているものであるにもかかわらず、(専門家以外)誰も知らないし、社会がおかれている状況についても、大半の成員がほとんど知らない。
とりわけ、市民運動を中心的に担ってきたのは若者であったが、学びの途上にあり殆ど何も知らない未熟者が、いったいどうして何かを主張し、評価を下すことが出来るのか、何かおかしいと感じないだろうか?

何も知らずとも、主張し判断できる主体は、一つしかない。それは、自我・私権の主体である。自我・私権の主体なら、ほとんど学ばず、ほとんど知らなくても、己に都合のいい理屈を並べたてることは出来る。子どもの言い訳や屁理屈と同じである。
また、民主主義は、自我・私権に立脚しているので全員合意は望めない。だから、多数決で決着をつけるしかなくなるが、この多数決もまた、民主主義が自我・私権に立脚したものであることの証拠である。

事実、民主主義は、何よりも「発言権」や「評価権(議決権)」を優先させ、『まず学ぶ』という人類の根本規範を見事に捨象している。だから、「民主主義は正しい」と信じ込まされた人々は、『まず学ぶ』という根本規範を踏みにじり、身勝手な要求を掲げて恥じない人間と化す。

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2015年04月17日

日本人の家族観(4) ~いつのまにか母系社会の日本~

妊婦さん&夫100組に聞いたアンケート結果があります。(リンク

Q1.「男の子と女の子、どっちがほしい?」

⇒【妊婦さん】:(1)男の子 17% (2)女の子 46% (3)どっちでもいい 37%
⇒【 夫  】:(1)男の子 39% (2)女の子 23% (3)どっちでもいい 38%

Q2.男の子/女の子がほしいワケは?

★男の子がほしい派

⇒【妊婦さん】
・男の子はママっ子が多く、単純にかわいい。
・将来、息子がいると何かと頼りになると思う。
・夫が「サッカー教える!」と、熱望しているので。
・女の子はシビアで、ママに冷たそう。

⇒【 夫  】
・将来、サッカーやドライブなど趣味を共有したい。
・女の子は大人っぽくて接するのがむずかしそう。
・自分がなれなかった、理想のカッコイイ男に育てたい!

★女の子がほしい派

⇒【妊婦さん】
・将来、一緒に買い物や旅行に行きたい。
・服選びが楽しい。
・上が男の子で、両方の性別の子どもを育てたい。
・男の子は少年犯罪などがこわいし、どう育てていいかわからない。

⇒【 夫  】
・かわいい娘と一緒に出かけるのが夢です。
・「パパをいじめないで!」なんて、妻からかばってほしい~。
・老後、面倒を見てくれるのは娘だと思う。

アンケートの結果は、自分と同性の赤ちゃんをほしがっている妊婦さん&夫が多く、特に妊婦さんの半数近くは女の子を希望。ただ、赤ちゃんが第1子の場合、「どっちでもいい」と答えた人も多数いる。いずれにしても、妊婦さん・夫の趣味や嗜好に基づく理由がほとんどです。

ここで、息子or娘をめぐる意識潮流について、ある記事を紹介したいと思います。

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2015年04月02日

地域づくりの主役は女~女性がまちを創り世界が女性を育む

地域活動における女性の活躍が目覚しいが、

その要因は何だろうか、また女性ならではの特色は何だろうか、そして今後の地域活動の課題は何だろうか、、、

 

◆個性的な人生尊重時代の到来
このところ、まちづくりの場面での女性の活躍が目覚しい。
伸長著しい民間非営利団体(NPO)の分野やコミュニティービジネスの世界でのリーダーの多くは女性である。
女性はまちづくりの世界で、なぜこのように活躍するようになったのであろうか。その背景として大きく二つ考えられる。

一つは社会側の事情である。
人々の価値観の変化や社会・文化の変化に、男性文化が対応しきれなくなってきているということである。
企業社会で新たなニーズ対応や商品開発・販売に女性が求められているように、まちづくりにおいても女性の登場が期待されるようになった。少子高齢化や子どもを取り巻く諸課題への対応、環境問題への対応、地域経済の新たな活性化、芸術文化の振興、国際化・グローバル化対応など、地域におけるさまざまな課題解決に「女性たちよ、もっと出てきてくれ!」と社会が叫び出したのである。

いま一つは女性側の事情である。
先進他諸国に比べ、日本における女性の社会参加を取り巻く環境は依然厳しくはある。しかしながら、もはやかつてのような自己犠牲を前提に人生を考えるのではなく、いい意味で自己実現を追求する時代となり、女性は多様な生き方を選択するようになった。

その両者の事情が特に結合するのが、NPO活動やコミュニティービジネスの場面である。筆者は、コミュニティービジネスとは地域資源を活かし、地域課題を解決しながら自らの自己実現を果たす地域生活のあり方の一つだと考えている。そこに女性たちは価値を見いだしつつある。かくして今まさに女性たちは、男は仕事、女は家庭という「固定的な性別役割論」から脱し、「個性的な人生尊重論」の時代に生きるようになったのである。

 

◆取り組みの中から見える特色と課題
女性たちのこうした取り組み事例に共通して言えることは、
第一に地域課題が多様化・複雑化・深刻化し、地域自らが自主的に課題解決に当たる必要性が高まる中で、それに応えざるを得ないと気付くセンスのよい女性たちがリーダーとなってきていることである。

第二に地域の再評価や地域資源活用型まちづくりが求められる時代になり、地域情報を豊富に有している女性の有利さを生かしていること、

第三に地域内外における人的ネットワークの質と密度が高く、それらをうまく生かしていると同時に、

第四に情報化・グローバル化社会によく対応し、情報量が豊富でITや語学をはじめとする情報処理やコミュニケーション能力も高いことがある。

第五に自己実現欲求が高く、新たなチャレンジ精神も旺盛で、個性的な生き方を希求していること、

第六に活動や事業に当たっての組織運営はピラミッド型よりは、水平なネットワーク型を得意としていること、

第七に生活や家庭、地域の人間関係に配慮しながら、また経済的にも無理せず、いわゆる身の丈に合った取り組みを粘り強く続けながら、活動内容の充実を図る方法を取っているなどである。

一方、課題もある。第一は、基本的にまちづくりへの女性の進出に対する社会の理解や協力がまだ十分でないことであり、
第二に社会参加に目覚め、力量を付けつつある女性に対し、男性の意識変革がついてきていないことがある。これだけ男女共同参画型社会の構築が叫ばれているにもかかわらず、依然男女の意識には差がある。

 

◆今後に向けて
今後、女性の活動を促進させるためにはどのような環境づくりや施策が必要であろうか。

第一に「地域課題解決型まちづくり」を地域社会全体で共通認識することである。地方分権時代、山積みの地域の課題は、もはや地方行政だけでは対応できない。地域の行政、住民、NPO、企業、教育・研究機関などが協働でまちづくりに取り組みながら、課題解決に挑む体質づくりを共通目標に据えることである。

その上で、第二にその担い手は誰もがなり得る、すなわち「老若男女」すべてであるとの視点に立ち、女性はもとより、今後一気に定年期を迎え、大量に地域に戻ってくる団塊の世代を含めた高齢者、高校生や大学生らを含む青少年らにも、まちづくりへの多様な学習機会や参加機会を創出していくことである。女性だけが浮き上がるようにまちづくりに取り組むことより、誰もがまちづくりの主役になり得るといった社会風土を培ってこそ、女性は活動がしやすくなるのである。

従って、第三にまちづくりへの関心を高め、最初のきっかけづくりのためのプログラムを整備する必要がある。ボランティア・NPOセミナー、関連インターネットホームページの充実、各種ワークショップなどを自由自在に仕掛けていくことである。

第四が、さまざまな交流機会の創出やネットワークを構築し、そこで触発されるシステムを整備することである。ネットワークは固定的に考えるものではなく、柔らかく多様に存在するものである。

例えば、地域づくり団体全国協議会などが取り組んでいる研修交流会などへの参加はお勧めである。あるいは女性の全国ネットワーク組織はすでにあろうが、今改めて全国的な女性起業家ネットワークやまちづくり関係女性ネットワークシステムが加わってもよいのではなかろうか。

第五に組織的、継続的、経営的な組織・事業の推進ノウハウ、マネージメント力を付ける学習システムの整備である。最近は全国各地で起業やコミュニティービジネスに関する講座が増えたが、こうした研修プログラムに参加することも一つだが、大学や大学院などにもまちづくり関連の授業や学科・コースの整備もなされてきているので、社会人入学というのもよい。たいていは生活や仕事をしながら学べるようになっているはずである。筆者がいる大学院でもそうした社会人が多く学んで成果を上げている。
また、上記のようなこととは別に、学外プログラムとして、女性起業家育成セミナー「しごと創造塾」を三カ年実施し、延べ約百人を卒業させたが、その中から多くの女性起業家が誕生している。

第六に、女性をはじめとするまちづくりにかかわる人々への日常的支援である。もちろん行政がその筆頭になろうが、それよりもいわゆる中間支援センターといわれる、民間のサポートセンターの拡充が重要だと考えている。そこもまた女性たちの活躍の場である。

第七に情報の公開、交流の活発化である。まちづくりは理論も大事であるが、優れて実践の世界である。論より証拠、全国、世界各地のさまざまな実践活動を多様な媒体を通じて公開し、相互交流させることである。ちょっとした関心、偶然なことから何かは始まるものであり、あるいは活動を続けて挫折しつつあるとき、刺激的なほかの実践に勇気付けられることは多いのである。その意味でインターネット時代の進展は、女性のまちづくり参加を促すよい環境を創出するであろうと期待している。 (参考:http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/book/monthly/0503/html/t00.html)

 

 

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2015年03月26日

地域づくりの主役は女~社会問題解決に大きく貢献する女性のNPO活動

地域活動に参加する女性が増えているなか、今回はNPO活動に注目してみました。
法人格を得られるよう法改正されて以降、NPO活動が盛んになっているが、
一方で金銭的報酬が十分でないケースもあり、地域活動を事業として展開、継続していく体制づくりが求められているようだ。

 

◆女性とNPO活動
地域づくりに女性が大きく貢献するようになってきている。
日本では、近年非営利セクターが拡大し、特にNPO法人で活動する人たちが注目されている。
その大きな転換期となったのは1998年に施行された特定非営利活動促進法である。
この法律によって特定非営利活動を行う団体に法人格が付与されることになり、法人格を得た法人がNPO法人とよばれている。
これによって、資金をもたない普通の市民たちが法人という形式をとって社会的な活動をすることについて法的認知、社会的認知が与えられた。
NPO法人の認証数は2014年2月末で4万8854法人になり(内閣府調べ)、社会のなかでの認知も広がっている。

NPO活動の促進の背景には、少子高齢化社会、子育て不安の増加、若年失業問題、地球温暖化など、多様化し複雑化する社会問題がある。
これらの社会問題の多くは行政主導で解決していくことが求められるが、地域社会による助け合いや個々人が解決しようという取り組みも必要であり、ここにNPO活動の重要さがあるといえる。

社会問題の解決をめざすNPO法人の活動はさまざまであるが、2013年に内閣府が行ったNPO法人の調査によると、もっともNPO法人の登録が多い活動は、「保健・医療または福祉の増進」(57.2%)、次いで「町づくりの推進」(39.7%)、「子どもの健全育成の推進」(38.3%)となっている。
また、年間収入の中央値は662万円、職員数の中央値は5名、有給職員数の中央値は3名と、日本においては比較的規模が小さいNPO法人が多くを占めている。

このような状況のなか、内閣府が非営利で活動しているNPO法人及び任意団体に実施した「市民活動団体等基本調査」(2008年)によると、市民活動に従事するのは女性が多く、NPO法人のスタッフも女性が多くを占めている。スタッフの性別は、NPO法人では「女性だけ、あるいは女性がほとんど」が24.4%(任意団体では40.5%)、「やや女性が多い」が21.1%(任意団体では15.7%)であった。
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また、調査した団体全体では、女性が多い団体が53.3%、男性が多い団体が27.3%であり、全体に女性が活動の担い手になっていることがわかる。
同様に年齢をみてみると(多い年齢層を二つまで)、「60代以上」が55.7%、「50代以上」が43.6%、「40代以上」が21.3%、「30代以上」が12.2%であるが、NPO法人の場合は30代、40代のスタッフで構成されている場合が多い。さらに、総務省の「事業所・企業統計調査」によると非営利セクターの従業員に占める女性の割合は2009年には全体の約6割を占めている。なぜ日本では、女性の方が男性より市民活動を行い、非営利セクターで活動し、NPO法人に参加しているのだろうか。
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NPO活動の担い手として女性が注目される理由として、

(1)性別役割分業によって女性はお金を稼ぐことから解放もしくは排除されているので非営利的な活動が男性よりも女性に親和的であること、
(2)NPOは男性によって主導されてきた営利企業と行政サービスによって十分供給されていないサービスの提供者として、新たに登場してきたので、男性による主導の程度がそれほどでもなく、周辺的であるがゆえに女性が活躍しやすい面があること、
(3)現在のNPO活動の主流をなす福祉や教育が、女性に向いている活動とみなされているので女性に参加しやすい状況を作っていることがある。

 

◆地域づくりと女性のNPO活動
事例からみると、第1に、解決しようとする課題は、高齢化社会への対処、外国人との共生、女性の就労の拡大、男女共同参画社会の実現とさまざまであるが、女性たちは地域の問題を解決しようとするなかで、地域を活性化させ、つながりを深くしている。
第2に、女性たちの活動は地域づくりに資するものになっているだけではなく、女性たち自身が力をつける土台にもなっている。
第3に、一方で、金銭的報酬があまり支払われていないケースがある。

金銭的報酬がきちんと支払われるか、そうでないかは、(1)事業志向型の活動か、提案志向型の活動であるか、(2)メンバーの経験、によると考えられる。事業志向型の場合は、行う事業が明確で事業が拡大し、収益が上がれば金銭的報酬をメンバーが得ることができる。
また、従事するメンバーが金銭的報酬を労働の対価として得るのが当然と考えて活動するのか、それとも、金銭的報酬がすべてではないという考えを持つかで、金銭的報酬が実現するか、そうでないかが異なる。

そして、労働の対価として当然と考えるか、考えないかには、ひとつはメンバーのそれまでの職業経験や状況が反映していると考えられる。専業主婦で社会とのつながりを求めていた者にとって、NPO法人で活動することで得られるものは、「労働の対価+生きがい・志」であり、一方で、働くことの延長にNPO活動があった者にとっては生きがいや志はもちろんあるが、労働の対価は金銭的な報酬であろう。さらに、彼女たちの金銭的報酬への考えには他に生計を支えるものがいるかどうかにも大きく左右されるだろう。

また、NPO法人のもつ活動そのものの特徴が、メンバーが金銭的報酬を得ることへの志向性を弱めている。社会的に貢献したいという気持ちや使命感が金銭的報酬への志向性を弱め、金銭的報酬がなくてもそれを補う満足感を与えている。メンバーへの金銭的報酬といった観点から考えるとき、このような気持ち・使命感と金銭的報酬への考えを分離する必要があるといえるだろう。さらに、NPO法人に従事するメンバーが金銭的報酬を得ることの社会的認知も必要である。NPO法人は非営利団体であり、法人としては利益を追求しないが、それはNPO法人で活動するメンバーの活動(労働)の対価が切り下げられることを意味していない。

地域づくりと女性のNPO活動について考えてきた。女性のNPO活動は地域づくりに大きく資するものであり、また、女性自身が力をつける場にもなっている。一方で、金銭的報酬をみたとき、それが十分でない場合もあり、より持続的な活動を考えれば、労働の対価として支払われるような事業展開やメンバーの意思が必要といえよう。
(参考:月刊 地域づくり http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/book/monthly/1406/html/f00.htm )

 

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2015年03月19日

日本人の家族観(3) ~姓と苗字の歴史~

女性を対象にした、「結婚したら成りたい苗字ランキング」というアンケート結果(リンク)があります。

第1位:結城(ユウキ)      第6位:佐伯(サエキ)
第2位:橘(タチバナ)       第7位:西園寺(サイオンジ)
第3位:如月(キサラギ)     第8位:桜庭(サクラバ)
第4位:一条(イチジョウ)    第9位:二階堂(ニカイドウ)
第5位:一之瀬(イチノセ)    第10位:五十嵐(イガラシ)

人気に理由は、「苗字の持つ響き」と「家柄・格式(由緒正しさ)」にあるようです。
ところで、多くの女性が結婚すると苗字が変わるのはなぜなのか? 苗字が変わるとはどういうことか? そもそも苗字とは何なのか?
先日、若い女性に「(結婚して)苗字が変わるといういうことは、父系社会で所属(=家・イエ)が変わるということだよ。」と話すと、「え~? どういうこと??」という反応が返ってきました。。。

今回は、日本人の家族観に関連し、「姓」と「苗字」について考察します。

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2015年03月16日

地域づくりの主役は女 ~地域で活躍する女性

人々にとって最も身近な暮らしの場として,地域は家庭とともに重要である。そして,地域の様々な活動に対する女性の意欲は高まっており,地域活動の担い手としての女性に大きな期待が寄せられている。また,実際に,地域を活性化する女性の活躍は全国各地にみられる。その一方,女性が地域のリーダーとして活躍する機会は少なく,女性の力が十分に活かされていないという現状もある。

女性の意欲や能力を地域に活かすことは,様々な課題を抱える地域社会にとっても有益であり,また,様々な分野での実践的な活動を通じて女性自身の成長が図られるという双方向の効果をもたらす。

ここでは,地域における女性の活動・参画の状況を様々な角度から概観した上で,女性が中心となって活躍する地域活動の特徴を分析、また女性が中心となって活躍する活動の重要性の高まりと、そのような活動が進化するためのポイント等についても検討する。

平成20年版・男女共同参画白書より(リンク

■地域における活動への女性の参加についての意識と実態

  • 地域におけるつながりが希薄化する中,女性の地域活動への参加意欲や地域の担い手としての当事者意識は高い。
  • 女性は,自分自身の成長や他人への貢献を目的にボランティアやNPO活動を行うことが多く,NPOの機能としてもつながり作りや能力発揮の場の提供を望んでいる。
  • 女性が社会貢献をしたいと考える分野には,環境,社会福祉等がある。
  • 活動を行う際の問題点として,時間・情報等の不足を感じている女性は多い。
  • 女性の地域への参画の障害となっている固定的役割分担意識には地域差がある。
  • 地域活動への参加率は全体的に低いが,その中では女性はまちづくり,子育て,介護の分野で活発であり,ボランティアの活動者率は30歳代後半,40歳代で高くなっている

第1図 地域のつながり-10年前と比較-

第2図 地域のつながりが弱くなっていると思われる理由

第3図 地域が元気になるための活動に参加したいと思うか

第5図 活動者がボランティア活動を行う目的

第6図 NPOに期待する役割

 

 

■地域の様々な分野における女性の参画状況

  • 地域において様々な活動を行っている女性の割合は総じて増加しており,その内容も多岐に渡っている。
  • 一方で,横断的分野において地域のリーダーとなっている女性は少ない。

    第13図 地域活動への参加状況

 

 

■女性が中心となって切り開く地域の可能性

  • 自らが主体となって,身近なものや人々を支え,大切にし,育てていかなければならないという強い思いが活動の原動力・推進力となっている。
  • 地域や生活に密着した視点と柔軟な発想が活動の基礎となっている。
  • 地域の多様な主体と連携・協働しながら活動を展開しており,また,調整力の優れたリーダーシップが発揮されている。
  • 実践的な活動が人々の意識や行動を変え,女性自身の人材育成の場ともなっている。
  • 活動の成果や活動に対する積極的な評価を受けることにより,活動が持続・発展している。

 

■女性が中心的役割を果たす地域活動の重要性

地域において,こうした変化が今後一層進展することが見込まれる中,地域が抱える様々な課題を解決し,豊かで持続可能性のある社会を構築していくために,女性が中心となって活躍する地域活動の重要性は今後ますます高まると考えられる。そのように考えられる主な理由として,次の三点を挙げることができる。

第一に,このような活動は,地域の実情に合致した主体的な取組であるということである。

地域は様々な課題を抱えているが,地域の多様化が進む中,その課題は地域によって一様ではない。それぞれの地域に根ざし,その実情・ニーズに的確にきめ細かに対応した地域の主体的な取組でないと,取組の効果は限定的なものにとどまってしまうだろう。その意味で,地域の女性自身から発した,身近なものを大切にし,育てていこうという気持ちと身近な地域や生活に密着した視点に基づく,主体的な活動の展開は,地域の課題解決にとって重要な意義がある。

第二に,多様な主体や新しい視点を活かすことができるということである。

女性が中心となって展開する地域活動は,地域に根ざした多様な主体を緩やかにつなぐことによって,それぞれの強みの活用や新しい視点の導入を図る。これによって,これまで十分に活かされていなかった力を活かし,これまで気付かなかった新しい視点や発想を活かすことができる。新しい視点や発想は,地域の新しい魅力や可能性を発見することに役立つ。こうした緩やかなつながりは,希薄化した地域のつながりを再生し,その機能を回復する。きめ細かなコミュニケーション能力と高い調整能力に基づく女性のリーダーシップは,こうした緩やかなつながりを持続させ,発展させる。

第三に,波及効果や浸透効果が大きいということである。

女性が中心的な役割を果たして実践する地域活動は,地域に根ざした地道に日々継続して実践される活動である。こうした地域に根ざした地道に取組の蓄積は,容易に変わることが難しい意識の変革をもたらし,そして,人々の行動を変え,大きな波及効果や浸透効果を地域にもたらす。地域活動によって育成された人材が,更なる活動を展開する。場合によっては,そうした人材が政策・方針決定の場に参画することにより,政策や方針の決定を通じて,地域により大きな波及効果を創出する。こうした波及効果や浸透効果は,地域に幅広く着実な変化をもたらし,地域の抱える課題を解決し,地域を支える大きな力となる。

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2015年03月12日

日本人の家族観(2) ~家制度の歴史~

21世紀も10年以上経ったいま現在、家制度の痕跡らしきものは、結婚式場のホールに掲げられている「○○家・××家披露宴会場」といった案内板や、墓石に刻まれている「○○家先祖代々の墓」といった墓碑銘を除くと、社会の表舞台からほとんど消え失せてしまった。
かつて家制度をめぐって華々しい議論を繰り広げていた社会学・民俗学をはじめとする諸学問の研究成果を踏まえ、日本の家の特色をあげるとすれば、それは「世代を超えた永続」ということに尽きる。

つまり、家とは家産と呼ばれる固有の財産と、家名と呼ばれる固有の名前、そして、家産を用いて営まれる家業―の三点セットを、父から嫡男へと父系の線で先祖代々継承することによって、世代を超えての永続を目指す社会組織なのである。

いわゆる「アラフォー」世代よりも若い方々には、実感として理解しにくいことかもしれないけれども、つい数十年前までは日本の各地でごく当たり前に見うけられた家こそはまさに、日本人の意識や行動、価値観などを長年にわたり律してきたものにほかならない。

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