2010年05月19日
本格追求シリーズ2 世界婚姻史の構造解明「第8回 遊牧部族⇒武力支配国家」
前回までの記事で採取、狩猟、牧畜、遊牧部族の婚姻様式を見てきましたが、今回は遊牧部族⇒略奪部族がつくり出した武力支配国家の婚姻様式を見ていきます。

写真はギリシャ神話で軍神とされるアレース(wikipediaよりお借りしました。)
略奪闘争の広がりによって婚姻様式はどのように変わっていくのか?
気になる方は是非クリックをお願いします。
前回までの記事はこちら↓
第1回 プロローグ
第2回 極限時代の婚姻形態
第3回 採取時代の婚姻形態 採取部族編1
第4回 採取時代の婚姻形態 採取部族編2
第5回 採取時代の婚姻形態 採取部族編3
第6回 採取時代の婚姻形態 狩猟部族編
第7回 牧畜・遊牧部族編
今回扱うのは、下図の部分です。

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今回部分を扱う上で、前回の記事にも出てきた私有意識の発生が重要なポイントとなるので、最初に私有意識の発生を再度おさらいします。
③父系制になるとどうなる?・母系集団では女が移籍することはないので、女同士の結束(共認)が強かった。しかし、父系制に転換してしまうと、女が一人で他の集団に移籍することになり、しかも、各々の女の出自はバラバラなので、女同士の結束(共認)は弱くなってしまう。
・女が移籍する場合は、婚資(家畜)を持参することがセットになっていたが、婚資の良し悪し(乳が良く出ればいい等)で、嫁ぎ先の集団からの扱いは変わってくる。(婚資が少ないと良く思われない。)
・だから、母系制よりも父系制の方が、女の不安は増大する。・婚資は、初めは「嫁ぎ先の集団でも安心して暮らしてゆけるように」との親心だったかも知れないが、女の不安の増大から、しだいに「自分の娘が移籍する際は肩身の狭い思いをさせたくない」「娘が移籍する際の婚資は少しでもいいものを」という形でエスカレートしてゆく。
・そこで、女たちは、男たちにもっと家畜を増やすよう期待してゆく。この闘争期待は、自分の小集団(氏族)内の蓄財意識を生み出し、私有意識を芽生えさせてゆく。
・このような私有意識の芽生えは、氏族間の私益競争を促してゆく。(互いに家畜の多さを競い合うようになる。)しかし、氏族間の私益競争を放置しておくと、氏族間の小競り合いが増え、部族全体のまとまり(統合)がつかなくなってしまう。
・この危機的状況を打開するためには、各部族は、他の部族との縄張り闘争=部族間の私益競争を共通の課題として氏族をまとめるしかなかった。
・やがて、部族間の私益競争が高まってゆくにつれて、部族全体が私益集団としての色彩を強めてゆくことになる。
(るいネット:「遊牧部族の父系制への転換は人類史のターニングポイント」)
この私有意識の高まりを背景とした、乾燥化の進行等による自然外圧の上昇と人口増加による人類集団同士の接触頻度上昇=同類圧力上昇により、略奪闘争が勃発します。
そして、この略奪闘争は玉突き的に広がり、前回の「略奪婚」もこの略奪闘争の玉突きによって同時に広がっていきます。
この略奪婚において重要な点は、この婚姻様式は私有意識に基づく「私有婚」である、ということです。つまり、略奪婚における女は他の財産と同様に言わば「戦利品」であり、意識上は男が私有する対象なのです。これは、集団における最基底をなす婚姻様式が私有権に基づく様式へと変化したということを意味します。
その後、相次ぐ無秩序な略奪闘争を止揚し、秩序化するため、武力支配国家が誕生します。この武力支配国家は武力(略奪)闘争の勝者が敗者を支配し、(身分)序列を形成することによって成立しています。当然、財や女なども全て身分のピラミッドによって上に集中し、その状態を集団の成員が(強制的に)共認するorさせられています。つまり、私権を共認するorさせられることになります。

しかし、よく考えてみると、武力支配国家によって支配される農耕部族等は必ずしも父系制へ転換しなければいけないわけではありません。例えば、日本も弥生時代以降、私権社会となっていくわけですが、被支配部族は明治時代まで実態としては集団婚のままでした。
では、なぜ全般的に父系制へと転換したのか?
それは、仮説ですが外圧状況の程度によるのではないかと思います。
まず、支配者としては、生存圧力が高いほど、より多くの租税等を搾取したいということになり、より多くの租税を取るためには私権集団の範囲を明確化する必要があります。それまでの母系集団での緩い集団範囲では都合が悪いわけです。そう考えると、一対婚への移行が同時であったことも説明がつきます。つまり、一対婚であれば集団単位は明確であり、かつ扶養家族も少ないため、極限まで毟り取ることができます。かつ人口も順調に増やすことができ、私益存在化しつつあった女に男を操縦させれば男にも私権意識を植え付けるのにも好都合というわけです。
同時に、闘争存在である男の方が序列原理である私権原理には(本能的に)従順であり、強固でより強い私権集団をつくり出すには父系の方が都合がいいと思われます。
これらの理由から、外圧条件の厳しい西洋では父系制への転換を徹底させたのではないでしょうか。
(補足的には、父系制等の文化の強要によって、より支配しやすくする、序列を明確化するという側面もあったと思われます。)
以上の経緯から、略奪闘争の勃発によって、
・父系制への転換
・私権の共認
がなされることになります。
この転換がなされると、集団の成員は自ずと私権に強く収束し、集団がどんどん私権集団化していくのは必然です。
このようにして、一部の島国を除いて父系一対婚が強制的に浸透させられていくことになります。
今回はここまでです。次回は私権存在と化した男と女の力関係などについて見ていきます。お楽しみに
- by doUob
- at 16:03

comments
父系制への転換理由が、租税徴収の為と言う仮説は面白いですね。
日本で母系制が残り続けて、父系制に転換しなかった理由は、島国ゆえの外圧の低さ=序列支配徹底の必然性の薄さにあったと言うところでしょうか。
このように考えると、日本は非常に特異な構造にあって、それが日本人独特の体質にも繋がっていると考えられますね。
私権社会では、女性の仕事というものは極めて限られており(洗濯婦、掃除婦など)、女性が社会で職を持って私権を本格的に追求できるようになったのは、1970年代以降です。そのため、それまでの数千年の私権時代に、女性が私権を獲得する手段としては、性を背景とした婚姻によって私権上位の相手と結婚する、という方法しかなかったのではないかと想像します。そのあたりから、男と女の駆け引きといったものが生じるのではないかと思います。
一対婚と父系制への転換は、支配を強固にし税を搾取するためだった?!
なんとも衝撃的ですが、だとすると父系一対婚の現代は、国家に寄生する金貸し達にとって大変好都合ですね。支配者の論理による制度からの脱却が必要と感じました。
>次回は私権存在と化した男と女の力関係などについて見ていきます。お楽しみに
私権存在である男と女の力関係、この辺になるとかなり実感とも伴うと思うので楽しみです。
>闘争存在である男の方が序列原理である私権原理には(本能的に)従順であり、強固でより強い私権集団をつくり出すには父系の方が都合がいいと思われます。
これらの理由から、外圧条件の厳しい西洋では父系制への転換を徹底させたのではないでしょうか。
男が私権原理には(本能的に)従順というのは、面白い。
女はどうなんでしょうか?
掠奪部族による一対婚制度は、その後も様々な詐欺的行為により集団をとことん解体してきたようです。
以下るいネット「一神教が世界を席巻していった過程2~キリスト教団は結婚詐欺で資産を拡大していった」より。http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=217019
>父権制の宗教の権威者たちは、財産を男の手に置くために、いたるところで古代の母系相続制度を変えていった。ヨーロッパのキリスト教の目的は財産の獲得で、異教の母系相続の制度を打倒することにあった。強制的押収と戦争によって、教会は中世初めまでに大陸の土地財産の3分の1余りを手に入れた [註32]。西暦1200年まで、ヨーロッパの一部では、まだ女性が土地所有者として名前を記録されていて、男は母の部族の名前で身元証明をした。
>10世紀までは、聖職者たちは妻なしでは「飢えと裸」に屈服することになると主張して、財産を獲得するために結婚した。教会法がその制度を改めた。それで1031年から1051年の間に一連の教皇の教令が聖職者に妻を捨て、子どもを奴隷に売るように命じた [註33]。当然、このようにして聖職者によって取得された財産や金銭は、本人の死後教会に没収されることになった。その男の法的な相続人はもはやいなくなったからである。
結婚させた上で、強制的に離婚させ、妻方の財産を一方的に没収するというのだから、これは立派な結婚詐欺である。しかも教団ぐるみの。