第二次世界大戦が話題になる季節、戦争が何を残したのかを書いておくのもいいかもしれない。
最近、「GHQ」について学習したいという若い日本人が増えてきています。
その理由は、日本が第二次世界大戦で敗戦して70年近く過ぎても、GHQがプログラミングした日本の制度・システムが、国内にそのまま残っている事実をネットなどで知ることができるようになったからです。
◆◆◆ 教育によって日本の無力化を図る
GHQにとって、第二次世界大戦でアメリカと戦った日本人に対して、教育によって「無力化」することは至上命題でした。
今後も半永久的に日本人を従順させ、また「弱体化」させるためには、最初に日本人の教師や生徒を「洗脳」し、幼い頃からの教育によって、「心理的側面」、つまり過去の思想を変える方法が一番効果的であると、GHQは考えたのです。
それを彼らは「日本人の再教育」と呼びました。
GHQが日本人に対して、最も力を入れた政策は「教育政策」と「宗教政策」の2つです。
この2つは「武装解除」と「戦犯の逮捕」の次に早く着手せれた政策であると同時に、お互いを密接に関連させながら、彼らが強く指導したテーマです。
◆◆◆教育4大指令
「教育4大指令」と呼ばれるマッカーサー命令があります。
これは昭和20年10月22日から同12月31日までのわずか2ヶ月強の短期間で次々に出された4つの指令です。
内容は、
▼ 日本教育制度に対する管理政策
▼ 教職追放令
▼ 神道指令
▼ 修身、日本歴史及び地理に関する件
の4つです。
日本占領開始から言えば約4ヶ月の間に、この「4大指令」が矢継ぎ早に出されている事実から見ても、彼らが日本の教育に対して重大な関心を持っていたことがわかります。
最初の「日本教育制度に対する管理政策」では、「自由」や「人権」などの「民主教育」を教師・学生に指導する一方で、「軍国主義」、「封建主義」などの国威発揚につながる過去の教育内容を禁止しました。
次の8日後に出された「教職追放令」では、全国約45万人の教師のうち、11万5778人が自ら辞職、約5200人が教職追放させました。
詳しくはこちらのブログ記事に書いてあります。
『日本の常識は世界の非常識!戦後の日本はこうやって作られた!』
http://kanouseiji.com/security-3/
◆◆◆神道指令の本当の意図とは?
「教育4大指令」のなかで、とりわけ奇妙なものは、3番目の「神道指令」です。
彼らの行った「教育改革」のなかに、なぜ「神道改革」が含まれていたのでしょうか?
実はGHQは、日本人の「教育」を変えるためには、日本の「マスコミ」や「宗教」を改革しなければならないと考えていました。
日本の教育現場の背景から「神道的なもの」を取り除こうとしたのです。
ここでいう神道的なものとは、精神的なものと思ってもらえれば分かりやすいです。
人間の思想は、唯心論と唯物論に分かれています。
唯心論は、“心”と書きますが、“神”と書いて唯神論とも読みます。
神も心も同じだからです。
つまり唯心論とは、一切の存在は心が変化したもので、心が唯一の実存で在るという主義です。
当然、そこには神仏の存在があります。
精神世界なので精神とか魂とか神とか霊が入ってきます。
その逆が唯物論者です。
左翼思想は、一般的に「唯物論」を指します。
物質のみが真の存在であるとする主義です。
いわゆる唯物史観とも言われるマルクス主義です。
そこには神などは存在しません。
つまり神道指令の目的は、日本の精神文化を破壊することでした。
なぜなら、マッカーサーは日本の強さの秘密が武士道を核とした精神性にあると分析したからです。
詳しくはこちらのブログ記事に書いてあります。
『日本人のアイディンティティーを説明するのに神道を抜きに語れない!』
http://kanouseiji.com/shintoism-shinto/
◆◆◆修身、日本歴史および地理に関する件
4番目の「修身、日本歴史および地理に関する件」では、明治以来の日本人が使ってきた過去の修身・地理・歴史教育の教科書および教師用参考書の再使用を「封建的制度」として一切禁止しました。
そのため、しばらくの間、日本人には日本の地理や歴史が教えられなくなりました。
教育改革以降は戦前の「国史」ではなく「日本史」と呼ばせ、その代わりにGHQの検閲を受けた「国のあゆみ」や「公民教科書」などを使わさせました。
新しい教科書はGHQにとって「不都合な真実」なものは、異なるものに書き換えられるか、また「黒塗り」しました。
例えば、教科書で教える「偉人」とされる人物は、戦前までの「楠木正成」、「吉田松陰」、「東郷平八郎」の3人が、「豊田佐吉」、「ガリレオ」、「野口英世」に書き換えられました。
◆◆◆教育基本法による弊害
昭和22年3月31日、憲法施行に先駆けて、教育の基本法であり「教育の憲法」と呼ばれた「教育基本法」と、「学校教育法」が同時に成立しました。
形式上は日本の国会で可決された形ですが、基本的な中身は、憲法と同じくGHQの指導により作られたものです。
「教育基本法」は平成18年に改正されるまで60年間、一度も改正できませんでした。
この教育基本法のなかで戦後、常に問題となり続けたのが「教育権」とは一体、誰のものなのかという点です。
旧文部省(現文科省)など国や政治家は、「教育権は国」が持つと主張しました。
一方で日教組は、「教育権は教育現場(日教組)が持っている」と譲らなかったのです。
そして民法820条では、両親が「子の監護および教育をする権利を有し、義務を負う」と書かれています。
つまり「教師」と「国」と「地方公共団体」、さらには「親」が、「教育権とは一体誰のものか」という論点で対立させる仕組みを作ったのです。
とりわけ「国」つまり文部省と日教組は、戦後はことごとく対立するようになり、この決着は昭和50年代に文部省と日教組が「歴史的和解」を行うまで続けられました。
まさに日本人同士の不毛の戦いだったといえるのですが、その最大の原因が、GHQが「教育権」という権利を日本に押しつけながら、「教育権は誰が持っているのか」という内容を記載しなかったことです。
◆◆◆自虐史観の植え付け
GHQの教育やマスコミに対する方針は、「日本人の再教育」と並行して「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」という計画に基づいて行いました。
簡単に言うと「自虐史観」の植え付けです。
日本人が日本を悪く言うようになったのは戦後のGHQの政策によるものです!
戦後、「真相はかうだ」というラジオ番組を通じて「日本国民は軍に騙されていた」「日本軍は大陸で残虐なことをした」と刷り込み、新聞紙上でも日本軍の”蛮行”という捏造記事が連載されました。
仕上げはあのインチキな東京裁判です。
こうして日本の国民精神を衰退させようとしたのです。
日本が主権回復後も、革命思想を持った人たちが教育界やマスコミに入り込み、日本を破壊して共産主義革命を起こすために続けて洗脳していきました。
そして近年は中国や韓国などの日本崩壊を目論む国が、それを利用して日本をプロパガンダ攻撃しているという図式です。
GHQの歴史教育による影響は、外交にも及んでいます。
たとえば、世界を相手にする現役のある外務省幹部は、「相手国の外交官と議論をする時、日本はお互いの歴史認識がテーマになると、決まって負けてしまう」と述べています。
外交交渉上も無用な譲歩や謝罪をさせられ、この歴史認識問題は大きな外交敗北の原因になっているのです。
詳しくはこちらのブログ記事に書いてあります
『歴史を忘れた民族は滅びる!日本人なら知っておきたい日米開戦史』
http://kanouseiji.com/warfare/
◆◆◆日本人の最も得意な応用力が収奪された
GHQは、日本の「軍国主義」だけでなく、古き良き日本の教育制度まで破壊しました。
たとえば、自由でエリートを育てる気風のあった旧制中学や旧制高校を無くて、「6・3・3・4制」という学制を確立しました。
GHQは、日本の専修学校や専門学校、師範学校などを基本とする「複線」による制度を廃止し、直線的に「6・3・3・4」と上がるだけの「単線」に変えました。
そのため、その制度の実施に伴い、歴史ある陸軍士官学校や海軍士官学校など、軍関係の幹部学校はもちろんのこと、教師を養成する師範学校、各種の専修学校や高等商業学校などの「高等専門学校」も、彼らの方針により、すべて廃止しました。
ちなみに戦前の「複線」による学校は、尋常小学校さえ卒業していれば進め、高等学校に行かなくても誰でも進学できました。
一方、現在における日本の学校制度では、短大などの一部を除いて国立大学と同じ4年制大学に進むためには、必ず高等学校を卒業しなければならなくなったのです。
このようにGHQの影響下で旧文部省が決めた「学制」あるいは「学区制」で、日本人の志望学校の選択肢を極めて狭くなりました。
この結果、必然的に基礎学習に追われ、日本人の最も得意な「応用技術力」や「専門知識」を身につける機会は、少なくとも高校か大学まではなくなってしまったのです。
GHQは、「リベラルアーツ(教養)を日本人に身につけさせる」といいながら、実際には「応用力」という日本人の「得意分野」を収奪していったのです。
参照:日本の歴史から学ぶ、日本人の精神性